カテゴリ:旅行記 モスクワ '10.5月
「クレムリン」といえば、まずモスクワのそれを頭に浮かべる方が多いでしょうが、
もともとロシア語で「城壁」を意味するクレムリンは、中世ロシアの多くの都の中心部に備えられていたのだとか。 ここ『トロイツェ・セルギエフ大修道院』も、同じくクレムリンで囲まれております。 その中に、金色の星型の入ったブルーの屋根を持つ「ウスペンスキー大聖堂」(写真)をはじめ、 金色の屋根が眩しい「トロイツキー聖堂」他いくつもの教会、そして神学校、僧坊、宮殿、病院などがあり、 ロシア最大の修道院として、またロシア正教において最も重要な修道院のひとつとして、 常に多くの信者で賑わって(ごった返して)おります。 その為か、ここの修道院長は、ロシア正教の長たる"モスクワおよび全ロシアの総主教"が務めることになっています。 実務はセルギエフ・ポサード駐在の院長代理が行うそうです。 呑気にカメラを構える私とは対照的に、多くの信者達が 正面入口からトロイツキー聖堂に向かってずら~っと並び始めました。 何? 何かあるの? 図々しくも列に割り込み、これから現れるであろう その偉大なる人物を私も待つことにしました。 周囲の女性信者達は、頭にスカーフをかけ、恭しく手を合わせて入口を覗き込み、 観光客と思われる者達は、カメラを掲げ、同じく入口を向いて待機しています。 熱狂者に備えてか、はたまた怪しい人物に備えてか、目の前には多くの護衛兵がキツい表情で立っています。 そこで、私が大学時代に親しかった三谷君という友達によく似た兵隊さんが目に入りました。 あらー、久しぶり!って感じで、ちゃっかり彼の隣りに立ちました。(^m^) 「(ねぇねぇ、三谷く~ん!) 一体 これから 誰が来るっていうのぉ~?」と、 すっかり友達気分で慣れ慣れしく声を掛けてみるものの、、、 もちろん、彼は三谷君でもなければ日本人でもなく、今 自分が遂行しなければならない任務に超真剣です。 彼はギッと私を睨みつけました。 それでも私は全く怯みません。「ねぇ、誰が来るのか教えてよ~!^^」 ですが結局、何度も睨まれ無視されて、これ以上 しつこくすると 今にも監禁されそうでしたので、 仕方なく、彼の隣りで静かに待つことと相成りました。(笑) * 一瞬、辺りがざわめき立ちました。 誰? 誰? やっぱりプーチン首相なの??? 私も必死に背伸びしてみるものの、多くの信者にもまれて 何が何やら分かりません。 三谷君は相変わらず無表情で任務を遂行しております。^^ そのうちに、黒い服に身を包んだ修道士達を先頭に、厳かなる列が目の前に現れました。 深々と頭を下げる人々に混じって、私は必死で頭をあげてキョロキョロ辺りを見回しました。 グラッ! 前へ前へとのめり込む信者の波に押されて、私の身体が前方へと押し出されてしまいます。 ガシッ!!! これほど強く掴まれたことがないほど、勢いよく力強く、護衛兵の手によって 私の肩が抑え込まれました。 ひぃ~~~! ここで捕まえられては堪らない。(><) ドキドキしつつも何事もなく、ホッと一息ついた頃、、、現れたのです、現れたのです!!! レニングラード(現サンクトペテルブル)生まれのウラジーミル様が!!! 緑色の特別な衣装に身を包み、頭には十字架の付いた白いクーコリを頂いて、、、。 ("クーコリ"とは、正教会における最上位格の修道士によって着用される帽子のこと) そうです。 目の前に現れたのは、ロシア正教のモスクワおよび全ロシアの現・総主教、キリル1世。 1946年11月、レニングラードにて生を受け、 2009年2月1日、正式にモスクワ総主教としてご着座あそばされました。 本名、ウラジーミル・ミハイロヴィチ・グンヂャエフ。 正しく、レニングラード生まれのウラジーミル様です。(笑) 私が待ち焦がれていたウラジーミル様は、レニングラード生まれのウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン様。 誰もが知る第2代ロシア連邦大統領なのでありまして、、、。(T_T) 総主教といえば、カトリックでいうローマ法王に値するお方。 そのような有難いお方のお出ましに、本来なら感謝しなければいけないところ、 思いっきり落胆してしまったpicchukoなのでありました。 * * * * * * * 余談ではありますが、 ロシア革命の主導者、かの初代ソビエト連邦共産党最高指導者 レーニン氏の名前も、ウラジーミル。 ロシアには、ウラジーミルという名の人物は、掃いて捨てるほど(失礼…^^;)存在します。 ロシア人の名前の種類は日本よりも随分と少なく、ですから ウラジーミルさんとか、ニコライさん、セルゲイさんなどが わんさといるわけです。 そこで(?)、ロシア人の発想はなかなかユニークでして、名前と姓の間に父称を入れ、 "ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン" のプーチン首相の場合でしたら、 "プーチン家のウラジーミルさんの息子のウラジーミル君"となるのだそう。 プーチン首相はお父さんの名前もウラジーミルなのね。(^^) また、名前にはそれぞれ愛称が決まっており、ウラジーミルなら「ヴァロージャ」が一般的。 部下などが、敬意を表す場合には、「ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ」と呼び、 英語の「Mr.」に当たる「ガスパジン」を用いて、「ガスパジン・プーチン」と呼ぶのはよそよそしい言い回しになるので、ロシア人同士ではまず使われないのだとか。 そして、ロシアで人気のロシア大統領ブランドウォッカ「プーチンカ」は、"プーチンちゃん"となるようです。(爆!) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.06.10 06:36:49
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