さて、アルゼンチン人のマルッシオ君とpicchukoさんには モスタルでの残り僅かな時間を仲良く楽しんでもらうこととして(笑)、
まず、私が帰国後に出会った、バルカン半島を舞台とする優れた漫画をご紹介いたします。 それは、あの手塚治虫先生でさえ一目置いていた坂口尚さんの作品『石の花』。 時は第二次世界大戦時、ナチスドイツが旧ユーゴスラビアを侵攻するところから話が始まるわけですが、、、 これを読むだけで、後に続く内戦の火種を理解することもできるし、 当時 枢軸国に分割占領されたユーゴスラビアが、いかにナチスドイツに立ち向かい、その中で国をどう模索していったかを知るのに、非常に勉強になりました。 それも、政府ではなく民衆の力で。 もちろん、これは第二次世界大戦下のユーゴ対ドイツとして読むこともできるし、 これを世界の縮図として、人類共通の物語として読んでみても面白いのではないか、と私は思います。 坂口さん自身も、「なぜ、ユーゴを選んだのか?」という問いに、 民衆が抵抗に立ち上がったパルチザンに興味を引かれたことと、 5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字が存在する複雑な環境であることが、積極的な創作動機になったと答えています。 そして、その極限の時代を生き抜いた一人の少年と仲間を通して、人間の本性と平和の本質に迫るという大きな挑戦に挑んでいるわけです。 一見、戦争もの、歴史ものということで抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、 これ、本当に面白い! 中身が濃いぃ~! 最初はパルチザンって? チェトニクって~?っていう状態から読み始めた私です。 ですが、知らず知らずに もっとユーゴについて、その現代史について勉強したいと思わせる引力が並みではなくて…。 ちょっと私の中で、ユーゴスラビアブームが巻き起こっております。(笑) * * * * * * * モスクの塔からも目に付いた、ネレトヴァ川対岸のカトリック教会の前に私達はいました。 「ほら~、ドゥブロヴニクにもあっただろう? クロアチア最古の薬局があった修道院と同じ、ここもフランシスコ会の修道院なんだ。」 「ここの鐘楼は、この辺りで一番高い建物なんだってさ。 登ってみる~?」 悪戯っぽく目をキラキラさせながら、マルッシオは私の顔を覗きこみました。 「ふんっ、いじわる~!><」 「あははは~。」 私達は教会の扉を引いてみました。 けれど、残念なことに どの扉にも固く鍵がかけられており、私達は中に入ることができませんでした。 「もう時間だし、、、。」 私の腕時計は、すでに1時55分を示していました。 「じゃぁ、戻ろうか。」 「あ、でも最後にここだけは行った方がいいよ!」 マルッシオはますます早足で、私に付いて来るよう合図します。 「ほら、ドゥブロヴニクまでは遠いから、タクシーに乗る前にここだけは済ませておかなくちゃ。」 私は思わず笑ってしまいました。 「あはは、そうだね。ここだけは済ませておかなくちゃね。^^」 マルッシオが真顔で案内するもんだから、いったいどこへ連れていかれるかと思ったら~、 そうです、公衆トイレでした!(爆) こんな細やかな気遣いまでできるマルッシオとのお別れまで、後10分です。 ★ FC2ブログ『I love Salzburg』においても、同記事をアップしております。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.04.04 18:29:28
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