カテゴリ:四国へようこそ
昨年の6月1日。
父の日でも母の日でもない、なんでもない日曜日であったが、両親を連れて愛媛県は宇和島市にある南楽園へ花菖蒲を見に行った。 片道230kmの運転も、もうその頃には苦にならないくらいドライブ好きな私だった。 すでに足腰が弱っていた父のため受付で車いすを借り、のんびり押しながら庭園を歩く。 大きく2つの池に分けられた広大な庭園には、西菖蒲園と東菖蒲園におよそ3万株、25万本の花菖蒲が植えられており、とりわけこの季節は賑やかになる。 車いすを借りたものの、うっかり座布団を持ってくるのを忘れ、「尻が痛い、痛い」と父に文句を言われながらの散策であったが、柔らかく大きな花菖蒲の花弁の波は私たちをひと時楽しませてくれた。 そして、それが父との遠出の最後の想い出となった。 あれから一年、また花菖蒲の季節がやってきた。 「南楽園に行こうか。」 どちらからともなく声を掛けた。 一年、母も歳をとった。 来年もまた来られますように。 ふくよかな花弁をかすかに揺らす風が、ほのかな雨の匂いを運んでいた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.06.05 18:45:35
|
|