第十九話「イービルリング」

…森の中を歩いている一同。
ゲンキ「…なぁ、ところで…イービルスパイラルって、一体何なんだ?」
タワーとリングとスパイラル

グミ「ま~簡単に言えば~、モンスターを操る機械のコトさ~。」
ゲンキの問いに、グミモンは簡単に答えた。
ゲンキ「…いや、それは何となく分かるんだけどさ……それだと、イービルリングと変わらないよな~…って思ってさ。」
サンダー「へ~ぇ、よく気付いたじゃん。……さすがは  ってか?
サンダーはゲンキの言葉を聞くと、ニィっと笑ってそう言った。
ゲンキ「…サンダー、最後のほう…聞き取れなかったんだけど……。」
サンダー「あー、いいのいいの。気にしないで♪……でね、イービルスパイラルって言うのは、言わばイービルリングの強化版なんだ。」
サンダーは、さりげなく話題を元に戻した。
チョコ「…イービルリングは、ダークタワーって言う、邪悪な力の受信塔が近くにないと使えないし、あんまり強いモンスターも操る事は出来ないんだ。」
アメ「でも、イービルスパイラルは、ダークタワーも要らない上に、どんなに強いモンスターでも操る事が出来るんだ。」
チョコモンとアメモンは、そう説明した。
サンダー「…本っ当、タチの悪い事この上ない。」
そんな二人(匹?)の言葉に、サンダーは頷きながらそう言った。
オルト「?…サンダー、ダークタワーってさ、進化を妨げる塔なんだろ?……ケド、グミモン進化してた…よな?」
オルトは、よ~く思い出しながら、サンダーに聞いた。
サンダー「あぁ。…ダークタワーが妨げるのは、通常進化だけだからな。」
モッチー「つーじょうしんかって何だッチ?」
モッチーは、即座に聞き返した。
サンダー「通常進化ってのは、アメモンとチョコモンがしてるような、進化の事なんだけど……分かんないよね?言ってるコト。」
サンダーがそう言うと、一同(特にゲンキとモッチーが)大きく頷いた。…それを見ると、サンダーは大きなため息をついた。
アメ「…通常じゃない進化のほうから言った方が解り易いんじゃないか?」
サンダー「そうだね…。」
アメモンの提案に、サンダーは快く乗った。
グミ「あのね~、通常じゃない進化のうちの~、アーマー進化って言うのが~、さっき僕がした進化だよ~。」
サンダー「…アーマー進化ってのは、デジメンタルって言うアイテムを、アーマーのように身に纏う進化なんだ。」
サンダーはそう言って、羽の生えた球体を取り出し、「これがグミモンのアーマー進化に使った、運命のデジメンタルだ。」
グミ「デジメンタルにはいくつかあって~、〔勇気、友情、愛情、純真、誠実、知識、希望、光、奇跡、運命〕とかって~、それぞれに名前がついてるんだよ~♪」
グミモンは、自慢げに説明した。
アメ「で、2つ目がスピリットエボリューション。…これは、伝説のスピリットって言うアイテムを身に纏う進化なんだ。」
チョコ「伝説のスピリットはね、大昔にDWを救った十闘士の魂が宿ってて、〔火、光、風、氷、雷、土、闇、水、木、鋼〕の、10属性に2種類ずつ…つまり、全部で20種類存在してるんだvv」
チョコモンは、目を輝かせて言った。
サンダー「……で、これ以外の進化が、通常進化…ってか、ダークタワーに妨げられちゃう進化って考えて。」
一同「へ~~。」
サンダー達の説明に、一同は思いっきり納得した。……サンダー達が(本当は他にもあるのかも知れないけど…)なんて思っているとは知らずに。



…所変わってワルモン達のアジト(と言うか城)。
ハーピー「グレイ!ブイモン!!あんた達、一体ドコふらついてたのよ?!!」
グレイ「…んな、帰って早々怒鳴り散らすなよ…。」
グレイは、うんざりとした顔で、ハーピーに答えた。
ヴァンデモン「任務の後で何の報告もせずに何処かへ行ったお前達が悪い。」
ヴァンデモンは、冷静な(でも怒っているような)顔で、そう言った。
ブイ「悪ぃ……何か、急に散歩に行きたくなっちまってさ。」
ブイモンは、きまりが悪そうに笑ってそう言った。
グレイ「そうそう。…ホラ、オレって猫だろ?…だからつい放浪癖が…さ。」
グレイが悪戯っぽく笑ってそう言うと、ブイモンは「オレは猫じゃない。」と即座にツッコミを入れた。
ハーピー「……まぁ良いわ。…さっき、黒マント様が呼んでいたわよ。」
ブイ「え゛…オレらだけを?」
ブイモンは、心底嫌そうな顔をしてそう言った。
ヴァンデモン「いや、我々…四天王全員だ。」
グレイ「そっか…じゃ、早く行こうぜ。黒マント様が首を長~ぁくして待っておられるかもしれないし。」
グレイは、ニカッと笑ってそう言った。
ハーピー&ヴァンデモン「誰の所為だ!!」
グレイの言葉と態度に、ハーピーとヴァンデモンは大声でツッコミを入れた。
するとグレイは、そんな2人から逃げるかのように走り出した。…そんなグレイを、2人は追いかける。……そんな光景を見ながら、ブイモンは束の間の平和に微笑んだ。



…そして再び所変わって、森の中を歩く一同―――…
サンダー「?!」
サンダーは“何か”を感じ、一度立ち止まり、その“何か”のほうに振り返った。…すると、一同もそれに気付いて立ち止まった。
チョコ「サンダー?…また、ワルモン?……あ、もしかしてイービルリングをつけた奴…?!」
サンダー「いや…別に。何かが来るわけじゃないんだけどね…。」
グミ「な~んだ、じゃ~行こ~よ、サンダー。」
サンダー「うん……。」
サンダーがそう生返事をすると、一同はまた歩き始めた。…しかし、サンダーはある方向を見つめたまま動かない。
サンダー「(…何だろ…この感じ……グレイ…?)」
ライガー「サンダー!置いて行くぞ!!」
サンダー「あ!待ってよ!;;」
サンダーはそう言うと、慌てて一同に駆け寄った。
オルト「…サンダー、どうかしたのか?」
サンダー「あ、ううん。ベツに……。」
オルトの問いに、サンダーは笑顔を作って答えた。
ギンギライガー「……俺達には言いたくないことか?」
サンダー「…ベツに…そう言うワケじゃないんだケド…。」
サンダーは、ちょっと困ったような顔をして、そう答えた。
オルト「…じゃあ、話してくれたって良いじゃんか。」
サンダー「………あのね、何かちょっと…嫌な予感がしたんだ。……あ、おれらに…じゃなくて、グレイに…。」
サンダーは、俯いて、声も小さくして言った。
ライガー「…アイツはワルモンにいるんだ。…多少の危険は仕方がないだろう。」
サンダー「……うん…そうかもしれないけど…でも、そう言うんじゃなくて……………もっと違う……何か…。」





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