カテゴリ:ぴかままの仕事部屋
今ベルリンでは、「アジア・パシフィック・ウィーク」(リンクはドイツ語ですが英語版も選べます)という文化フェスティヴァルが行われています。もちろん日本からも、パフォーマンスだの展示だので参加している人が何組もいるようですよ。
そのフェスティヴァルの一環として行われているのが、「サウンドブリッジ」という現代音楽のコンサート。3日間に分けて、主に東南アジアの作曲家の作品が演奏されます。 9/11(火)に私が出演したのはその1回目。 歌ったのはフィリピン人ベテラン作曲家の作品です。 本来は、フィリピン特集のコンサートを16日(日)に行うため、出演依頼も当然16日に、ということだったんですが・・・16日は・・・こまんだー君その他と共演の例のオペラの本番ですから無理。そう言っておいたら、私の歌うべき曲を11日のプログラムに回して、私が出られるように調整してくれました 16日のほうにももう一曲ソプラノが入っている作品があり、そっちは、ベルリン芸大で一緒に勉強した、フィリピン出身で、ベルリン・ドイツ・オペラ専属歌手のソプラノAちゃんが歌います。聴きたいのになぁ・・・後で録音聴かせてもらおうっと。 さてさてこの作品・・・歌詞がタガログ語なんですよ ・・・ひとっっっっこともわかりません・・・・ ・・・いや、中にひとことだけわかる言葉がありました。 「Arkitektura」って・・・アーキテクチャーね いずれにせよ、全くわからない言葉を歌うというのは説得力に欠けるので、本来ならば避けたいところなんですが、仕事とあればそうも言っていられないのが現実 これまでにもアルメニア語だのアゼルバイジャン語だのといった、自分にとっては全くワケのわからない言語の作品もやってきてますからね、やるっきゃないでしょう。 タガログ語の場合、作曲家が注釈に書いてくれたところによれば、発音は難しくは無さそう。アルファベット表記だし、どうやらローマ字読みすればだいたい合っているらしい。そして、それをなんとな~くアジアっぽく発音すればいいんじゃないか、と狙ってみました。 コンサートを聴きにいらしたフィリピン人女性からも、昔この曲の作曲家に教わったというフィリピン人作曲家からも、「聴いてて言葉がよくわかったよ!」と発音を褒められてしまい、うれしいのはもちろんですが、逆に恥じ入ってしまいましたよ・・・ そしてこの作品、音階がどう聞いても沖縄民謡風なんですよ~。 ドミファソシド~なんです やっぱり沖縄って、文化的にはむしろ東南アジアに繋がっているんだなぁ・・・。 初回の合わせの際、曲中の或る部分にテンポの表示が見あたらなかったので、指揮者は当然その前と同じテンポでやろうとしますよね。でもその部分、同じアジア人である私にとってはどう考えてももっともっとゆっくりじゃなきゃおかしい感じなんです。その部分がまさに東南アジアふうなテイストに溢れていたんですもん。それで、ここはゆっくりなテンポでやらせて欲しい、きっとテンポ変更の表示が抜け落ちてるんじゃないだろうか、と指揮者に言って、ゆっくりめにやらせてもらったんですよ。 そしたら、次の稽古の時に指揮者が、「フィリピンまでメールで問い合わせてみたら、まさにその通りだった!」と 私が提案したテンポよりもむしろ遅いくらいのテンポを作曲家は言ってきたそうです。指揮者はドイツ人だし、ヴァイオリニストはアメリカ人、ヴィオラはフランス人、打楽器はドイツ人。皆それぞれとっても素晴らしい演奏家ばかりなんですが、曲想の細部がどうも欧州的になってしまう箇所がいくつか気にはなっていたんです。とはいっても私は作曲家でもフィリピン人でもないので「こうだ」と断言は出来ないから、このテンポのこと以外は指摘しませんでしたけどね さてさて本番。 曲の最後の部分で、歌いながら外に出て行くという指示が書いてあるんです。 で、いざ出ていこうとしたら、私が通るつもりだった場所に、予備の椅子だの譜面台だのが並んでいて通れないじゃないですか しょうがないのでそこで右折し、そこにかかっているカーテンの隙間を探しつつ客席方向に向かいますが・・・隙間が見つからないっっ!!! 結局カーテンの反対側の端まで歩いてそこから姿を消しましたが、曲が足りなくなりそうになってえらく焦りました ところで、この日午前中のゲネプロの時に、共演のアンサンブルの代表でもあるフルーティスト&ピアニスト夫妻から、庭でとれたというマルメロ(西洋カリン)を大量に頂戴してしまいました。これ、生のままでは固くて酸っぱくて食べられないんですよ。火を通して初めて美味しくなる果物。家に持ち帰って量ってみたら、20個で8kgもありました・・・こんなにたくさん、どうしたらいいのでしょう・・・ これの料理話は次の記事にて。 マルメロっていうと、昔読んだ外国の民話に、大きく立派に育ったマルメロを王様に献上しようとした男に、ケチな女房が「もったいない、イチジクでいいよ」と言ってイチジクを持たせたところ、ありふれたイチジクをもらって腹を立てた王様がそれをその男に投げつけ、男は「これがあの固いマルメロじゃなく柔らかいイチジクで良かった!うちの女房はなんて賢いんだ」と言ったという話がありました。当時はこれ、どんなに美味しい果物なのだろうと思ったものですが・・・実は作業が大変なコマッタチャンなんですよ~ ちなみに、ゲネプロとはドイツ語である「ゲネラルプローベ」の日本での略称で、本番前の最後の練習のことです。学芸会なんかでは「総練習」って呼んでた記憶があります。 ドイツではGP(ゲーペー)と略します。英語だとドレスリハーサル。でもオペラ以外では、ドレスリハーサルには衣裳を付けるわけではないんですけどね。 楽天ブログ以外のブログをお持ちのかたへお願いします。 コメント記入の際、ご面倒でなければ、貴ブログのアドレスを 本文欄内の最後の行にそのまま(HTMLタグを使わずに)貼り付けて下さると助かります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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