2468393 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

山田維史の遊卵画廊

山田維史の遊卵画廊

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Freepage List

☆Tadami Yamada's Paintings 新アダムとイヴの誕生


☆Tadami Yamada's Paintings 新アダムとイヴの誕生2


☆Tadami Yamada's Paintings 無量寿経シリーズ


☆Tadami Yamada's Paintings「私は美しい」シリーズ


☆Tadami Yamada's Paintings りんご充満空間シリーズ


☆Tadami Yamada's Paintings 花のマスクシリーズ


☆Tadami Yamada's Paintings 回 顧 展 part 1


☆Tadami Yamada's Paintings 回 顧 展 part 2


☆Tadami Yamada's DRAWINGS 1


☆Tadami Yamada's DRAWINGS 2


☆Tadami Yamada's DRAWINGS 3


☆Tadami Yamada's 小さな絵日記より


☆Tadami Yamada's Still Life:静物画(1)


☆Tadami Yamada's Japanese style:「和」


☆Tadami Yamada's 素描(1)野菜シリーズ


☆Tadami Yamada's 素描(2)貝殻シリーズ


☆Tadami Yamada's 素描(3)はんなりシリーズ


☆Tadami Yamada's 素描(4)人形シリーズ


☆Tadami Yamada's Paintings 回顧展Part3


☆Tadami Yamada's Paintings 回顧展Part4


☆ディクスン・カーの為のブックカヴァー


part 2  早川書房版


☆Tadami Yamada's Poetry 詩画集「遊卵飛行」


☆Tadami Yamada's Works: ブック・カヴァー選集


☆Tadami Yamada's イギリス・ミステリ傑作選カバー


☆Tadami Yamada's サンリオSF文庫他


☆Tadami Yamada's 光瀬龍、宇能鴻一郎、泡坂妻夫、志水辰夫他カバー


☆Tadami Yamada's ハヤカワ・ノヴェルズ、他


☆Tadami Yamada's 絵のない装丁


☆Tadami Yamada's ドラキュラ叢書


☆Tadami Yamada's Illusto., Part1『闇の国の子供』


☆Tadami Yamada's『妖怪博士ジョン・サイレンス』


☆Tadami Yamada's Part3『プラネタリウム』


☆Tadami Yamada's Part4『世の終わりのイヴ』


☆Tadami Yamada's Part5『洪水伝説』他


☆Tadami Yamada's Part6 児童書その他の挿画


☆Tadami Yamada's Part7 『心霊術入門』その他


☆Tadami Yamada's Part8『別冊宝島仕事の本』


☆Tadami Yamada's Part9 初期雑誌挿画


☆Tadami Yamada's ドラキュラ叢書『ジャンビー』挿画


☆Tadami Yamada's ドラキュラ叢書『幽霊狩人カーナッキ』


Tadami Yamada's monochrome cuts -#1


Tadami Yamada's monochrome cuts -#2


■Yamada's Article(1)卵形の象徴と図像


■Yamada's Article(2)ユングの風景画


■Yamada's Article(3)画家ムンクの去勢不安


■Yamada's Article(4)夢幻能と白山信仰


■Yamada's Article (5) 城と牢獄の論理構造


■Yamada's Article(6)ムンク『叫び』の設計と無意識


■Yamada's Article (7) 病める貝の真珠


■Yamada's English Article (8) 能の時空間の現代性


■Yamada's Article (9)『さゝめごと』に現われた十識について


■Yamada's Article(10)狐信仰とそのイコノグラフィー


■Yamada's Article (11) 江戸の「松風」私論


■Yamada's Article (12) 伊勢物語「梓弓」について


☆自画像日記


☆インタヴュー Vol.1


☆インタヴュー Vol.2


☆インタヴューVol.3


☆インタヴューVol.4


☆Tadami Yamada's Collage:日替りコラージュ


☆Tadami Yamada's Collage:日替りコラージュPart2


☆Tadami Yamada's Collage:日替りコラージュPart3


☆Tadami Yamada's Collage:日替りコラージュPart4


☆Tadami Yamada's Collage:日替りコラージュPart5


☆Tadami Yamada's Collage:日替りコラージュPart6


☆Tadami Yamada's Collage:日替りコラージュPart7


☆Tadami Yamada's Collage:日替りコラージュPart8


☆Tadami Yamada's Collage:日替りコラージュPart9


☆Tadami Yamada's Collage:日替りコラージュPart10


☆Tadami Yamada's Collage:日替りコラージュPart11


★山田芝恵書道展


☆ Tadami Yamada's short story


Death Mask


That Man


The Infancy Lover's Suicide


★Poetry of Tadami Yamada(1)


Poetry of Tadami Yamada(2)


Poetry of Tadami Yamada(3)


Poetry of Tadami Yamada(4)


Poetry of Tadami Yamada(5)


Poetry of Tadami Yamada(6)


Poetry of Tadami Yamada(7)


Tadami Yamada's HAIKU


Tadami Yamada's HAIKU (2)


★山田維史の画集・年鑑


Free Poster (無料ポスター)


Free Poster 2 (無料ポスター)


Free Poster 3 (無料ポスター)


ウクライナ連帯の無料ポスター(1)


ウクライナ連帯の無料ポスター(2)


ウクライナ連帯の無料ポスター(3)


戦争反対・表現の自由/無料ポスター(1)


戦争反対・表現の自由/無料ポスター(2)


ウクライナ連帯の無料ポスター(4)


✴️Tadami Yamada’s Brief Personal Record


✴️ CONTACT ✴️


Archives

Oct 20, 2005
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 櫻井淳さんのサイトで、ここ数日、可愛い犬の写真を掲載している。かなりの老犬だということだが、とてもそうは見えない。まだ世慣れぬ無邪気な幼顔をしている。この写真を見ながら、私は私のカピを思い出しているのだ。小学1年生の頃の飼い犬だから、52年もの昔のことだが、街で狐色の姿のいい小型犬に出会うと、その犬のことがチラと胸をよぎる。人間のことは名前さえ思い浮かばなくなっているのに、カピのこととなると、私はいまだにこころのどこかでその姿を探しているのだ。

 そのころ私たち一家は、長野県川上村に住んでいた。そこに住友金属甲武信鉱山があった。甲武信鉱山は昭和12年に露頭が発見されて稼行し、戦後、昭和24年に住友金属鉱山株式会社が所有権を取得した。父が赴任したのはその2年後で、まだ探鉱の最中だった。じつはこの鉱山はそれから更に2年後の昭和28年頃までに、埋蔵量が稼行しても採算が合わないことが判明した。そのため父は、次の赴任地、八総鉱山へ転勤することになる。我家が川上村にいたのはわずか2年ばかりの間だった。
 私の愛犬カピは、父の会社の事務員をしていたアッチャンの家からもらった。私が子供用の竹編みの背負籠を背に、生まれたばかりの子犬をもらいに行った。アッチャンの家は農家だった。表口から裏口まで土間が通じていて、外光のなかから屋内に入ると、一瞬目のまえが真っ暗になった。トンネルのように裏口の向うに光がふりそそいでいた。
 子犬は裏庭にいた。狐色の芝犬だった。私は子犬を背負籠にいれてもらい、驚かさないようにそっと、しかし急いで1kmほどの道のりを帰ってきた。カピという名前をつけた。当時、ラジオドラマの『家なき子』が放送されていた。エクトル・マロー原作の『家なき子』である。そこに登場する犬の名前をもらうことを、私は初めから決めていたのだ。
 カピは利口な犬だった。一度、父が事務所につれて行ったことがある。それからは、夕方になるとカピは家を出て、遠い道のりをひとりで事務所まで父を迎えに行くようになった。どのくらいの距離があっただろう。1里(約4km)はあったにちがいない。父の終業時間を見計らい、自分の歩行時間を見計らって、カピは家を出るのだった。

 ちなみに川上村は、川上犬として知られる純粋稀種の産地である。優秀な猟犬と定評がある。現在ではTV放送されることもあり、比較的一般に知られているようだが、当時8歳の私は川上犬のことを耳にしていてもそれにはまったく関心がなかったと思われる。父が『犬の飼い方』という青い表紙の本を買ってきて、私もそこに載っている写真を見ていたけれど、私にとって犬はカピだけだったのだ。

 我家にはカピのほかに猫のチョマコがいた。これは山二本家からもらってきた。真っ白い日本猫で、名前の由来は私の赤ん坊時代の呼ばれ名チョンコである。チョンコでは可哀想だからと、すこし変えてチョマコにしたのだ。誰が可哀想だったのだろう。私だろうか、猫だろうか。どうも猫だったような気がしたものだ。
 おもしろいことに、カピとチョマコはとても仲良しだった。赤ん坊の頃からともに育ったので、犬猫の区別がなかったのだろうか。ついぞ喧嘩したことがないのだ。いつも一緒に遊んでいた。

 昭和28年9月末、先に書いたように、私たちは八総鉱山に移転した。カピは檻に入れて、私たちと同じ列車の貨車に乗せた。ところが会津若松を過ぎ、荒海駅に降り立ったとき、駅員がやってきた。そして、カピが東京・八王子で何かのひょうしに檻が開いて、貨車から逃げたと告げた。捜索をしてはいるが、国鉄としては大変な不手際を謝罪したいというのだった。私たちは茫然としてしまった。もう捜せはしないだろうと思った。

 こうしてカピは私のもとから姿を消した。可哀想なことをしてしまったという思いが、いつまでたっても私の胸を離れない。
 現在、私は八王子の近所に住んでいる。この地に家を持ったとき、「ああ、昔、ここでカピが列車からいなくなったのだ」と思ったものだ。散歩しながら狐色の犬に出会うと、ふとカピではないかと、こころのなかで「カピや!」と呼んでいる。52歳のカピに出会わないかと----。バカなはなしである。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Oct 21, 2005 02:52:24 AM
コメント(6) | コメントを書く


Comments

AZURE702@ Re[1]:映画脚本家の名誉のために(07/15) 赤坂ささんへ コメントありがとうござい…
赤坂さ@ Re:映画脚本家の名誉のために(07/15) 脚本家が原作者をないがしろにし自死へと…
AZURE702@ Re:会津若松市の雪のない十日市(01/21) akiさんへ 私のブログ日記にあまりふさわ…
aki@ Re:会津若松市の雪のない十日市(01/21) この様な書込大変失礼致します。日本も当…
AZURE702@ Re[1]:木星にメッセージを届けます(01/10) おのま@四国さんへ 「ニンゲンは複雑で…

Favorite Blog

新渡戸稲造著『修養… New! 釈迦楽さん


© Rakuten Group, Inc.