昼頃、来宅中の看護師を玄関に見送るためにドアを開けると、小雪がまるで小雨のような速度で降っていた。
「まあ、雪ですね!」と看護師。
「傘をお持ちください」
「いえ、いいんです。雪ですから」
午後2時、酸素濃縮装置の定期点検にスタッフが来訪したときには、雪は止んでいた。寒さは一段と増した。外遊びが好きな猫たちは、出たいけれど躊躇って、階下と二階を行ったり来たり。「うるさいよ」と叱られて、そのうちに諦めて眠ってしまった。
閑話休題。
女優の淡島千景さんが今日、亡くなられたそうだ。
豊田四郎監督作品『夫婦善哉』をすぐに思い出す。私は小学校4,5年生で、八総鉱山小学校の体育館兼映画館で見た。森繁久彌が大阪船場のヘナチョコ若旦那、淡島千景さんはしっかり者の芸者を演じていた。その美しくきりりとした様に、小学生の私は見蕩れた。森繁・淡島千景コンビは、その後、東宝のいわゆる「駅前」シリーズにひきつがれるが、このシリーズも何本も見ている。『駅前旅館』『駅前団地』『駅前温泉』『駅前怪談』等々。
小津安二郎監督の『麦秋』を見たのは、ずっと後年のこと。作品については今更言うこともあるまい。
淡島千景さんの声。このことはちょっと注意を向けておく。ややハスキーな、めりはりのしっかりした、不思議な色気がある声だ。一度耳にしたら忘れられない特異なニュアンスがある。この声が、役に幅をあたえているような気がするのだ。
映画史に残る作品をつくられた淡島千景さんのご冥福を祈ります。
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Last updated
Feb 16, 2012 05:30:47 PM
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