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テーマ:洋楽(3280)
カテゴリ:80年代洋楽
音頭を取ったのは、Boomtown Rats('79年の全英No.1ヒット「哀愁のマンデイ」が有名)のボブ・ゲルドフ。 エチオピア難民救済のため全英のミュージシャンがレーベルを越えて集まったプロジェクトで、参加メンバーはポール・ヤング、ボーイ・ジョージ(カルチャー・クラブ)、ジョージ・マイケル(ワム)、スティング、ボーノ(U2)、フィル・コリンズ、デュラン・デュラン、ポール・ウェラー、バナナラマ、ヒューマン・リーグ、ユーリズミックス…そしてポール・マッカートニー(曲の中間のナレーションのみ)、といった具合で、当時の一流のミュージシャンが湯水のごとく集結した。 翌年の'85年に実現したビッグ・イベントLive Aidの布石となったプロジェクトでもある。 当時ろくな音楽知識もなかった僕も、ワケも分からず「スゲー!スゲー!」と興奮していた事を思い出す。 一般的な知名度という点では、USA For Africaの「We Are The World」の方が有名だが、コンセプト、曲の構造、ビデオ・クリップの作りまで、まんまBand Aidの二番煎じである。 500万ドルの義援金を集めることに成功したと同時に当時のエチオピアの独裁政権を強めることにもなってしまったという結果を生んだこのプロジェクトは、当時から様々な批判を呼んだ。 お題目は立派であるものの、「自分達=正義」と信じて疑わない者が、その薄っぺらな正義を他者に押し付ける事で自己満足してしまう西欧人の傲慢さが表れている、とも言われた。 確かに「クリスマスを知ってるかな?」というタイトルとこのような歌詞(下記参照)を持った曲は、キリスト教信者でもないエチオピア難民(※)にとっては「そんなもん知るかよ」というものでしかないかもしれない。 「結局は西欧人による、アジア=アフリカ諸国への文化的侵略に過ぎない」という辛辣な意見まで飛び交った。 こういった批判は全く的外れとは言えないものの、トップアーティストが損得抜きで一同に集まったという事実は、我々一般大衆に「何か」を働きかけるささやかな力を持ち、この「Do They Know It's Christmas?」が今も聴き継がれるスタンダードとして残っている事も揺ぎない事実である。 この曲のビデオクリップを見るたびに僕は心の中で叫んでしまう。 おお!ポール・ヤングだ!おお!ボーイ・ジョージだ!おお!ジョージ・マイケルだ!おお!ポール・ウェラーだ!おお!ドラムを叩いてるのはフィル・コリンズだ!おお!サイモン・ルボンだ!おお!ボーノだ! ひとつの曲の中で、超一流のミュージシャン達がバトン形式で次々とボーカルを分け合う姿を見て心が躍るのを止めるのは難しい。 そしてクライマックスにおける大合唱での高揚感は、音楽が好きな人間だけが味わえる至福の瞬間だ。 このプロジェクトや翌年のLive Aidの立役者であるボブ・ゲルドフは後にノーベル平和賞にノミネートされた。 また、この曲の20年後の2004年に今度はスーダンのダルフール紛争での難民救済のためにBand Aidが違うメンバーで再編成され、「Do They Know It's Christmas?」を再びレコーディングしている。 以下、歌詞と対訳 It's Christmastime; there's no need to be afraid At Christmastime, we let in light and we banish shade And in our world of plenty we can spread a smile of joy Throw your arms around the world at Christmastime But say a prayer to pray for the other ones At Christmastime It's hard, but when you're having fun There's a world outside your window And it's a world of dread and fear Where the only water flowing is the bitter sting of tears And the Christmas bells that ring there Are the clanging chimes of doom Well tonight thank God it's them instead of you And there won't be snow in Africa this Christmastime The greatest gift they'll get this year is life Oh, where nothing ever grows, no rain or rivers flow Do they know it's Christmastime at all? Here's to you, raise a glass for everyone Here's to them, underneath that burning sun Do they know it's Christmastime at all? Feed the world Feed the world Feed the world Let them know it's Christmastime again Feed the world Let them know it's Christmastime again クリスマスだ。恐れることは何もない。 光を受け入れ闇を消し去るのだ。 満ち足りた世界に喜びの笑顔を届けるのだ。 さあ、クリスマスの時、世界に手を差し伸べよう。 隣人の為に祈ろう。クリスマスなのだから。 幸せな人には難しいかもしれない。 でも、窓の外にも世界があるんだ。 不安と恐れがあり、流れている水は身をきるような涙の水だけの世界。 そこで鳴るクリスマスのベルは世の終わりを告げる。 今夜は神に感謝しよう。自分がそこにいないことを。アフリカでは今度のクリスマスにも雪は降らない。 今年彼らが受け取る最高の贈り物は命。 ああ、何も育たない、雨も降らない。 こんな地で彼らはクリスマスの時だという事を知っているのだろうか。 さあ、みんなの為に乾杯しよう。 太陽の下にいる彼らの為にも乾杯 彼らはクリスマスの時を知っているのだろうか。 食糧を世界に。 食糧を世界に届けよう。 食糧を世界に。 彼らにクリスマスを知らせよう。 食糧を世界に。 またクリスマスが来る事を知らせよう。 ※エチオピアは多宗教の国。 キリスト教のコプト派(エチオピア正教会)が50%、イスラムが30%、その他はアニミズム、カトリック、プロテスタント、ユダヤ教などである(コプト派よりもイスラム教徒の方が多いという説もある)。 また、エチオピア連邦憲法11条は、日本と同様、政教分離を定めており、国教を禁じている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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ポムさんの日記いつもすごいです!いつも楽しみに訪問してますよー
(2005.12.13 19:43:54)
こんばんは~!
そうかぁ、「We Are The World」の方が後なんですね~。私はCyndiの「yeh, yeh, yeh, yea~h!!」がかわいくてたまりませんが(笑)。 しかし、ボノまで出ていたんですかぁ。確かに豪華ですね。 (2005.12.13 23:38:56)
この曲は何故かあまり知らないです。もちろん存在は知ってるし、何度か耳にしてますが。
二番煎じの「We are the world」の方は良く知ってて全員のモノマネして自分で録音しては楽しんでおりました(笑)。 ちょっと、これ書きたいことがいっぱいあるので、近日中に自分のブログでまとめてみたいと思います。 (2005.12.14 00:27:47)
yasu49216さんどうもです。
>ポムさんの日記いつもすごいです!いつも楽しみに訪問してますよー もったいないお言葉ありがとうございます。 これからもポム・スフレをよろしくです。 ではでは。 (2005.12.14 01:32:55)
さっぱりサラリーマンさんこんばんは~!
>そうかぁ、「We Are The World」の方が後なんですね~。 たとえ二番煎じでも出てる人の有名度が違うとこうなるのか…(泣 >しかし、ボノまで出ていたんですかぁ。確かに豪華ですね。 ボノは2004年度版にも参加していますよ~ ではでは。 (2005.12.14 01:37:01)
junktionさんどうもです。
> 二番煎じの「We are the world」の方は良く知ってて全員のモノマネして自分で録音しては楽しんでおりました(笑)。 その音源今度muzieにUPしてください(笑 > ちょっと、これ書きたいことがいっぱいあるので、近日中に自分のブログでまとめてみたいと思います。 楽しみにしております。 ではでは。 (2005.12.14 01:39:32)
この企画は当時一大事件でしたねぇ。
私もポム・スフレさんとまったく同じリアクションで、ただひたすら「スゲー!スゲー!」って感じでした。(笑) で、個人的にはなんと言っても作曲者兼音楽監督のミッジ・ユーロ。ウルトラヴォックスは私の中でのニューウェイヴ系3大巨頭の一つでしたから、この抜擢は嬉しかったと同時に、英国におけるミッジの存在の大きさを実感した次第です。 と言うか、日本とイギリスでの彼の知名度のギャップを痛感したってコトになるのかも。 さらに、それをきっかけにミッジはウルトラヴォックスにこだわらずソロアーティストとして独り立ちしていった感じもあるので、ちょっと罪作りな企画でもありました。 (2005.12.15 01:26:04)
私が自分で初めて買ったレコードです。
にしても、集まったメンツは衝撃的でしたよね! たしか、日本でもそのときの様子のVTRが放送されましたね。 チャリティのために、無償でこんなに大スターたちが集まるなんてスゴイ!と、無邪気に感動していましたが、歌を聞くうちに、ちょっと「え~? そういうこと??」って気持ちが渦巻いたのもたしかですが…。 え~、書きたいことが山のように出てきたので、こんど私もネタにしようっと。 (2005.12.15 01:38:49)
PeTeRさんおひゃ~
>で、個人的にはなんと言っても作曲者兼音楽監督のミッジ・ユーロ。ウルトラヴォックスは私の中でのニューウェイヴ系3大巨頭の一つでしたから、この抜擢は嬉しかったと同時に、英国におけるミッジの存在の大きさを実感した次第です。 B級アイドルバンドのSilkから出発したこの人がその後、リッチキッズ→ウルトラボックスと経てここまで来たんだからスゴいキャリアですよね。 ちなみにワタシはウルトラボックスに関しては断然ジョン・フォックス時代の方が好きです。 ではでは。 (2005.12.15 07:12:11)
akikkiさんおコンチです。
>私が自分で初めて買ったレコードです。 なんと!そうでしたか! となると一言では語れない程の思いがいっぱい詰まってる一曲ですねakikkiさんにとっては。 >チャリティのために、無償でこんなに大スターたちが集まるなんてスゴイ!と、無邪気に感動していましたが、歌を聞くうちに、ちょっと「え~? そういうこと??」って気持ちが渦巻いたのもたしかですが…。 本人達は悪気はないんでしょうが、「白人の傲慢」が滲み出る歌詞である事は否定できないと思います。 もっともそんな事当時小学生の僕にはどーでもよく、何も考えずこの曲を歌ってました(笑 >え~、書きたいことが山のように出てきたので、こんど私もネタにしようっと。 楽しみ楽しみ♪ ではでは~。 (2005.12.15 07:21:25)
どうもです。
12インチシングル買いましたよ。 どこいったろ??? いやぁ~ほんとびっくりしました。これ。 こんなことできるんだって正直思ったものです。 ではでは。 (2005.12.17 15:41:14)
kawasima9さんどうもです。
>12インチシングル買いましたよ。 >どこいったろ??? うう…懐かしい(泣 >こんなことできるんだって正直思ったものです。 メンバーが豪華なのはいいけど、曲中に挟まれたミュージシャンのコメントがウザかったっす。 ポールもデヴィッド・ボウイもケチケチしないで歌えよって(笑 ではでは。 ----- (2005.12.18 01:19:58)
とおりみちさんコメントありがとうございます。
>随分前の記事でアレですけども、一点だけ。 >エチオピアは古くからのキリスト教国です。 >だからこそのクリスマスソングなんです。 -----確かに上の本文は、自分の文章表現が不適切で、読み手の誤解を呼んでも仕方がないですね。 すいませんでしたm(__)m 以下、言い訳だとか見苦しいとか言われる事を承知の上で、真意を述べさせていただきたいと思います。 エチオピアは、確かにキリスト教のコプト派によるエチオピア正教が多く存在しますが、それは全体の半数であって、残りはイスラム教ほかの宗教が占めていると言われます(イスラム教徒の方が多いという説もある)。 後者の方達にとっては「今日がクリスマスだという事を知ってるかい?」と言われても「知るかよ」でしょう。 ゆえに、このような内容の歌詞は、一部から批判が出るのは致し方ないという意味で書きました。 以上、自分の文責を認めた上で、上記の本文を訂正したいと思いますm(__)m それではまた。 (2007.12.26 03:27:54)
最近この曲を聴こうと思い、自分のCDをひっくり返してみましたが、見当たらず(泣)購入しようとしたら廃盤で(泣)中古CDを買いました。
やっぱり名曲ですね! (2014.01.11 18:11:15) |