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どーもーはじめまして〜こんばんはこんにちはおはようございます〜(^ω^)
ここには小説とか、徒然とか、あと小説とか、あ、あとは小説とかも置いてます〜(^ω^) ツッコミ大歓迎っす。 まあこんな阿呆な管理人が運営しているのです。 詳細はプロフィール参照です〜(^ω^) 詳しいラインナップは今んとここんな感じっす↓↓↓ 【小説】 SUPER BLUE PLANET! 畑山勇と地球外生命体との交流日記です。(学園青春ラブもあるよ!) #1:秋雨みゅうみゅう プロローグ その壱 その弐 その参 その四 その伍 その六 その七 それ以降→毎週金曜更新予定 ……はい、これだけです。 あとは小説に登場するキャラを描いたりして載せてみたいんですけど、いかんせんペンタブがありませんで……しばらくは小説一本でうすっぺらんに運営していくと思います。 あとは管理人のしょぼい日常が時々ポロリするかもしれないですが、そっちは盛大にスルーしていただいて結構ですはい〜(^ω^) ランキング、サーチサイトに登録しました〜(^ω^) ネット小説ランキング様 Wandering Network様 HONなび様 ペパックの日記 [全14件]
どうも〜こんばんは〜(^ω^)ノ いかがでしたでしょうか?本編。 あと1話で終わりですが、田代直哉の平平凡凡な語り口をお楽しみくださいまし(^ω^) 今読み返すとアレですね、かなり臭い喋り方させてますねえ…… まあ無事上げられてよかったって事で(;^ω^) 来週は回想が終わり、「わあ、超展開☆」です。 SBP#1もとうとう終わりが見えて来ましたね〜一安心です〜(;^ω^) 自分かなり飽きっぽいのでちゃんと全部載せ切れるか心配だったのですが、#1はなんとか大丈夫そうです〜(^ω^) ただ今#3を書いている途中なのですが、ちょっと詰まり気味です…… 小説って、難しいっすね!(^ω^)b まあこれからも体に気を付けてゆったり運営してこうかと思います〜(^ω^) それではまたどこかで!
それから俺は毎週当番通り花壇の水やりに行った。チューリップが好きだったわけじゃない。校舎裏で猫を飼っているような、そんなわくわく感がそこにはあったんだ。 美雨はどんどん人間らしくなっていった。スカートをめくられた時の可愛らしい恥ずかしがり方だとか、周囲の空気を読む事、上手な照れ笑い、女の子は体重を異常な程気にしているから触れちゃだめだ、とか、しょうもないことばっかり教えていたのに、それでも美雨の成長は著しかった。 俺は美雨の事を妹みたいに可愛がった。ほめて、頭をなでて、日常生活で気づいたことがあったらなるべく優しく叱って、本当に兄弟のような間柄になっていった。と、この時は思っていたなあ。美雨が奇妙な質問をしてくる時まではな。 「直哉、恋ってなあに?」 この言葉が俺たちの関係をぶち壊したと言っても過言ではない。 「うぇっへえぇい!? いきなり何言ってんの!?」 俺もうぶだったものさ。まあ今現在もウブだって言われても否定はできねえけどな。 そりゃあもう凄い勢いでたまげたさあ。こういう話題には慣れてねえんだよ悪かったな。 「なんかね、西村ちゃんたちが『え〜まだ恋したこと無いん!? え〜マジ美雨ピュアじゃん、やばいって本当国宝級の純真さでしょ、いやあ〜あんたには一生そのまんまでいてほしいね、切に願うわ』って言ってたんだけど、私的にはこういう人間の感情は知っていないと色々マズイかなあ、って思って……そんなびっくりすることなの?」 美雨は西村の、現代人かぶれした、無理やりギャルっぽくした感じの気だるそうな喋り方を完璧にトレースしてみせた。 西村、一番初めに美雨の悪口を言い始めた奴だ。そして一番初めに手のひらを返して仲良くし始めた奴でもある。本当に賢くて、幼稚な奴だ。資料集めとはいっても、美雨があいつと関わることでつらい思いをするようなら俺は少し困る。あいつなら、少し気に食わない事を美雨が言おうものなら全力で美雨を潰しにかかるだろう。持ち前の頭の良さとガキ大将のような、残酷な幼稚さで、ぺしゃりと。 何故俺がこんな心配をするかって? やっぱ美雨の事を妹のように心配していたからさ。大切な家族が傷つけられたら、みんな嫌だろう? まあそんな感じで、『西村』というワードに警戒心を覚えつつも、先程の質問に対する鼓動の乱れは収まる事を知らなかった。 「えっそんなに衝撃的な事なの!? 恋って!」 美雨は俺が退いた分距離を詰めて、いや、それ以上に俺に詰め寄ってくる。いや、年頃の男子にそういう質問するときは、そんなに身を寄せちゃあいけませんよお嬢さん……。当然、俺はまともに答えられねい。 「しょ、衝撃的だ。俺は、そういうの……したこと無いから、その……わからん。」 『。』は意図的に付けてみたんだぜ。 したこと無いと言ったらウソになる。一応俺は恋多き少年時代を送っていて、幼稚園の時から通算4回程恋をしてる……と、思う。……すみません、ぶっちゃけあの幼稚園で好きな子と手をつないでお散歩しているようなテンションの恋しかしたこと無いです。なので未経験が一番近いでしょう、はい。見栄張ってみたかったんだよ畜生。 「そっか……直哉でさえ経験していないということは、とってもレアで凄い経験なんだね!」 「お前が俺にどんな印象を抱いているのか知らんが、そんなに珍しい事ではないと、思うぞ?」 「そうなんだ。じゃあ参考までに、恋ってどんなことするの? 教えて!?」 美雨はさらに距離を詰めてくる。いや、ちょ、近いって。お前の口臭ブレスケアのいい匂いし過ぎて人間らしくねーよマジで。 「しっしらねーよ! そんなの西村たちの方が詳しいんだから、あいつらに聞けよ!!」 「当たり前の事を知らないのは、『恥ずかしい』んだよ?」 「たまにはそういうちょっと恥ずかしい仕草を見せた方が可愛げあるもんなんだよ、ってか近けえよさっきから!」 「おお、ごめん」 美雨がさっと身を引いて、酸素の巡りが一気によくなった。心なしか動悸も落ち着いたようだ。とはいえなんかよくわかんないけど、なんか恥ずかしかったので、俺は最初より一歩距離をとった。 「なるほど、知らない事が少しあった方が好意的に見える場合もある。人間って、複雑……」 「そうだよ、恐ろしく複雑なんだよ。実際世の中なんて俺の手に負えないような事ばかりなのさ」 「直哉の手に負えないなんて、『この世』は凄いんだね〜」 「お前、さっきから気になってたんだけど、俺のことなんか勘違いしてねーか?」 「??」 なんか、完全無欠の知識人に思われているようだ。確かに他の奴より冷静に物事を観察している自信はあるが、実際自分などまだアマちゃんだって事くらいしっかり把握している。なので、そう思われると困る。すっげえ困る。なんかよくわかんねえけど情けなくなっちまう。 「俺はお前の秘密を知っているだけで、実際普通の男子中学生だぞ? てか普通より若干立場下かも知れないぞ?」 美雨は俺の言うことはよく聞いてくれる奴だ。また『ああ、そうなんだ』とか言ってあっさり認めてくれると思っていた。が、なんかちょっと様子が違った。 「そんなことない!」 「うぇ?」 「直哉はすごい! ヒーロー、鉄人28号!」 「いや、よくわかんないから」 ああ、こいつにも義理とか気遣いとかあるのか、もうそんなことも覚えたのかあ、その気持ちだけいただいておこう。 「直哉は私の恩人、直哉いなっかたら私は今絶対総理大臣とかに捕獲されて職務質問されて解剖されているかもしれない。それを教えてくれたのも直哉、私は直哉のこと尊敬する」 「そ、そんなの他の誰でも教えられるだろ、俺じゃなくたって」 俺は照れてしまって先程同様身引いてしまった。顔真っ赤だぜ、どうしてくれるこの状況。 「違う、絶対直哉じゃなきゃ駄目だったと思う。直哉じゃなかったら、私は……」 美雨が真っ赤な顔をして、やはり先程同様こちらに迫ってくる。本当になんなんだよこの状況! と、そこで美雨の頭部から懐かしい機械音が響き出した。と、思ったら、耳から湯気を吹き出し始め……。 ……ぴたり、と美雨はそのまま静止してしまった。 『思考回路が容量オーバーのため緊急停止しました。しばらくそのままお待ちください』と、これまた懐かしい、謎の女性の声が響き、数分間の沈黙が流れた。 その間、俺は困惑の中、色々な事を考えていた。どうしていきなりこんなことを言い出したんだ、これまで俺の言うことに抗うようなことなんてひとつも……あ、ひょっとして、さっき言ってたように、俺の事尊敬してるから、そういうことが一度も無かったのか? そ、それならそれで恐れ多いがまあ嬉しいことだが、だからってそんな顔を赤くしなくても、ってかなんなんだよ今日は、いきなり変なこと聞いてきやがって……恋なんて、知らねえよ。 ……とか、そんなことを思いながら、間近に迫ってきた美雨の瞳、唇、四つん這いになった状態の、体操着の襟から見えそうで見えない胸とかを、股間をがっちがちにしながら思い出していた。後半は聞き苦しいかと思うが、これがマジなんだ。本当、男って生き物はやだねえ。この異常なまでの困惑の理由を、頭より先に下半身が教えていたんだ。まあ、頭がそれを理解するまでには少々時間がかかるわけだが。 無事意識を取り戻した美雨は、何事も無かったかのように、「ごめん、ちょっと誤作動」と笑って言って、水やりの続きを始めた。しかし今思うと、少しもじもじしていたかもしれない。 俺はというと、美雨の顔が、ていうか姿を視野に入れることさえままならず、終始ぎくしゃくと、隣にいるアンドロイドよりロボットらしい動きをしていた。困惑と興奮と、気まずさと、その他もろもろが絶妙に混ざり合い、この時の俺の脳味噌は今までにも、これからも無いくらい『青春』を絶賛展開中だったのである。 ひととおり責務を終えた後、美雨はあっけからんと「じゃあ、帰ろうか」と言って、さっさと帰ってしまった。 その日、一人でオレンジ色をした田んぼのあぜ道を歩きながら、先程のもやもやを丹念に磨き上げ、俺はとうとう輝ききを放つ一つの答えに辿り着いたのだ。 ――俺は、美雨が好きだ。 それから半年位たったが、俺たちに何かしらの進展は、全く無かった。 ただ、会う頻度は確実に増していった。週1が3日に1回になって、ほとんど毎日会うようになって、2学期に入ってからは堂々と一緒に下校するようになった。なので周囲には付き合っているように見えたかもしれない。 しかし、話している内容はいつも通り、美雨のシステムについての雑談や、美雨の問題行動を諭したり、他には他愛もない談笑が少々、という具合で、恋人と呼ぶには程遠い間柄のままだった。やはりそこには、『アンドロイド』と『人間』という壁が俺らの間に立ちふさがっていたからだ。 それに、俺がどんなに美雨を思おうと、アンドロイドである美雨が見向きをするはずがない、という確信が自分のどこかにあったのだ。 しかし、自分でこんなことを言うのは癪だが、美雨は俺に惚れていた。恋について質問した時にショートして、何が起こったかよくわからないが、何故か気づいてしまったらしい。これが恋だ、と自分で理解したそうだ。 ……うん、勇の事鈍感鈍感ってからかっていられるほど敏感ではないのさ、俺も。 そんな感じで平凡に続いていたある日、美雨が水やりの最中に盛大に花壇にダイブした。正式に言えば、こけた。で、その時俺は美雨を全力でかばおうと突進していった。ここからは、お決まりの展開だ。 花を傷めずに済んだものの、俺たちは思いっきり体を重ねて地面に投げ出された。ふと目を開くと、好き合っている男女の、お互いの顔が間近にあるわけだ。あとはやることひとつだろう。 ……畜生、やっぱり説明しないと駄目か。 口づけを、だな、いや、もっとドライに言うべきか。キスを、しちまったわけだ。なんつーか、その、雰囲気でだな。しかも奥深いやつだぞ!? やっべーよ今思い出しただけで俺の息子が……すみません自重します。 まあ、しばらくキスするわな。で、唇は離すだろ? 糸とかひ……いや、なんでもない。で、もっかいするわけだ。うわああああなんなんだよこれなんて羞恥プレイだよ! この話はその辺にしてだな、そんな一件があり、俺たちはべたべた具合を増していったわけだ。お互い何も意識せずとも、気が付いたら一緒にいる事が多くなっていったのさ。ただ、思いを伝えあうことは無かった。俺はキスをしたその日からある事に気づいてしまったからだ。 ――美雨の行動は、彼女本人の意思で行っているわけじゃないのではないか? 俺が教えた事や、周囲からえた知識をもとに、それっぽい、普通の女の子を頭がプログラミングしているだけであって、そこに美雨の気持ちや意志はこもっていないんじゃないか? ってことだ。 そこから、俺は今の勇とほとんど同じ思考を巡らせていた。恋に気づく前のもやもやとは質が違う、もっと悪質なもやもやが俺の周りを付いて回った。恋は心の病気だ、本当にそう思う。 その六←<最初>→また来週。 ランキング、サーチサイト、今日ものんびり参加中です! 縁側 緑茶 黒猫
どうも、直哉です。話は突然変わるが、ちょっと時間を1年半程時間を遡ってみようと思う。 1年半前何があったかって? そうだな、ひとつは、俺と勇が2年生に進級した。これはまあ別にどうでもいいな。さて、もう一つ、何があったかっていうと、美雨が転校してきたんだ、俺のクラスに。 みんなの前に立たされても緊張する素振りもなく、月並みな自己紹介文を並べて、俺の隣の席に座った。 第一印象としては、冷たそうな女だなあと思ったよ。 みんなが話しかけても「ええ、そうよ」しか言わねえし、友達作る気配も無くて、いっつも一人で行動していた。だから最初の数週間はクラスの連中に『調子に乗ってる』『根暗だ』とか酷い言われようだった。多分この時はまだ対人プログラムが未完成だったんだと思う。本当にロボットらしい奴だった。 この当時の俺はまあ、あこまで徹底して他人に関心を持てないのはある意味才能だと思ったよ。すげーって、素直に思ったわ。そう思ったのも一理あり、あとはこのままクラス単位でいじめなんかが始まったら面倒だから、今勇とやってるみたいに委員会を二人でやることにしたんだ。いや、やらされた、だな。 クラスのどこの連中とも広く浅く関わっているが実質いつも一人の俺は、今回のように美雨のような『はみだし者』とグループを組まされることが時々あった。 クラスの連中は『流石に美雨と組むのはかわいそうだ』って止めようと必死だったけど、先生には俺がどうやら『はみ出し者』に見えるみたいで、半ば無理矢理同じ委員会をやらされた。まあ俺は特別嫌だったわけじゃなかったし、上記の理由もあるから何も言わなかった。 一緒にやることになったのは園芸委員。学級花壇とかの手入れをする委員会だ。 週1で水やり当番が回ってきたり、時々草取りで呼び出されたりする。クラスのみんながやりたくて作っているわけじゃないのに何故か自分たちのクラスの名前が入った花壇の手入れを強いられるという、ダントツで人気が無い委員会だ。 4月はチューリップだった。花壇いっぱいにチューリップが咲き乱れていた。俺はこのチューリップが苦手だ。その理由は、1年半前のこの瞬間にある。 初めての花壇での委員会活動、すでに植えられたチューリップ、その下に鬱蒼と茂った雑草、これの除去がこの日の仕事だった。委員会のみんなの顔のげんなり具合は今思い出しても笑えるよ。そんな中、美雨はひとり、目をきらきら輝かせてチューリップを見つめていたんだ。その姿は今も忘れることができない。 ほとんどみんな遊んで作業をしていない中、美雨はひとりでせっせと他のクラスの雑草まで抜いてあげていた。俺は先輩と一緒になってだらけていたけど、美雨の姿がいちいち目に刺さった。俺、普段は無気力な少年を頑張って演じているが、実はこういう所を放っておけないタイプなんだ。中学校に入って集団社会の仕組みを理解し始め、萎縮しちゃったダサイやつさ。 だからみんな解散した後に、こっそり美雨の作業手伝ってやったんだ。 これが俺らのまともな『出会い』だったのかな。 「手伝うよ」 本来は自分がやるべき仕事なのに俺はそんなことを言って、美雨の隣で草を抜き始めた。 「ええ」 それしか美雨は言わなかった。その様子を見て、俺は何故か余計な事を言ってしまう。 「君、クラスのみんなに無愛想だって言われてるよ」 「ええ、そうよ」 「それでいいのかい? 今のままだと、いじめとかくだらない活動が始まるかも知れないぞ?」 「ええ、そうよ」 「お前、人の話まともに聞いてんの?」 「ええ、そうよ」 (まあ、いっか。こいつはもともとこういう奴なんだろう) 俺は話すのをやめた。 ……しばらく沈黙の中草取りに励んでいると、いきなり美雨の頭からキュルキュル……ギー…カチカチ……と、人の体からは到底発せられないような音が漏れ始めた。 唖然としてしまったよ、よだれ垂れてたし。 数十秒その音が鳴り続けて、ピタリと止まったかと思いきや、今度はまた頭部から、『プログラムA構築、完了』と、美雨ではない女性の声が聞こえてきて、プシュー……と耳から湯気が立ち、その摩訶不思議な光景は終わった。 それから数秒間俺は動けなかった。美雨も動かなかった。ただ、あいつの頭部の機械音と、グラウンドから部活動の掛け声なんかがしばらく俺らの空間をつないでいた。 少しずつ状況が飲めてきたと思ったら、美雨が突然声をあげた。 「さっきはごめんなさい!」 「ひっっ!!!!」 俺はここ数日で一番いい身のこなしで後ずさった。この瞬間だけ見れば俺はボクシングの強化選手にでも見えたかもしれない。 「そ、そんなにショックだった……?」 おう、ショックだったさ。 「ごめんなさい、対人プログラムの基礎の完成が少し遅れちゃって、数週間『ええ、ぞうよ』しか言えなかったの。やっと普通に喋れるようになった、嬉しい♪」 たいじん……基礎……? 何を言っとるんだこいつは。普通の人間ならそう思うだろう。しかしこの時の俺は自分でも驚くほどすんなりと目の前の事態を受け入れたんだ。「ああ、そんなこったろうと思ったぜ」とかそんな感じに思ったのは今でも覚えている。 しかし断言しよう、今の俺ならそんなこと無理だ。中学生の脳みそは1年で飛躍的に社会に適応していくものだ。大人はこれを『大人になる』とか自身を美化するために言っている。この時の俺は、社会の仕組みを少しずつ理解しつつも、まだ多少の純粋さは持ち合わせていたと思う。じゃないとこんな受け答えは出来ない筈だ。 「そういう事、こんなところで口外しない方がいい。大人に見つかったら即解体だぞ」 冷や汗を流しながら、しかし確実にいつも通りな口調で俺は言った。 「そうなんだ、記憶プログラムに入れておくね。やっとアンドロイドらしい事出来るようになったよ、遅くなっちゃったけど、よろしくね、田代直哉君」 笑顔で握手を求めてきた。なんかよく喋るようになったが、やっぱ人の話を聞かない奴だった。この時の美雨は。 まあ、こんな感じで俺たちは手を堅く握り合った。握力は普通の女の子と同じくらいで、しっかり温かかった。今でも覚えているよ、結構皮が薄くてふにゃふにゃした手だったな。 それからとりあえず俺は美雨の事情を聞いてから、他の奴には自分の素姓を教えない方がいい、だとか、少しは聞き側に入れ、だとか、冷静に草を抜きながら色々な事を教えた。美雨はその度こくこくうなずいて、頭部からは機械音ががちゃがちゃ響いた。 「あ、ついでにその音も何とかしてもらえ。明らかに怪しいから」 「うん、わかった」 ――がちゃがちゃ……ジジイィィ……。 ……これは時間かかりそうだな。 「ねえ、なんでロボットってバレると駄目なの?」 「みんな、人間としか友達になりたくないからさ。アンドロイドってばれたら全く資料集められないぞ」 試作品とだけあって、かなり知能レベルは低いようだ。でもこの時は輪をかけて馬鹿だったなあ、こいつ。 「なるほどなるほど……あ、じゃあなんで直哉は友達をしてるの?」 「馬鹿だからさ」 「なるほどなるほど」 ――がちゃがちゃ……。 『馬鹿とは友達になれる』、とでも記憶していたのだろうか。 それから美雨は『人見知りが激しくて……』とか言ってうまいことクラスに溶け込んでいった。 「俺とは他人のふりをしろ」とこの間ついでに言って置いたので、あいつがクラスに馴染もうとしている間俺に絡んでくる事はなかった。女子と男子仲良くしているとクラスの奴がうるさくなる、というのはみんなわかってるだろ? とにかく俺はあいつと絡むことで目立ちたくなかったのさ。このあたりは今と全く変わってない。だからぶっちゃけ勇とクラス委員任された時は……まあこの話は置いておこう。 そして2週間くらいした後、一度サボってしまった花壇の水やりに重い腰を浮かせていくと、俺たちは再会した。チューリップに水をやる美雨はなかなか絵になってたなあ。 「直哉!」 ぱっと顔を上げてこちらに手を振ってきた。 「ここでは普通に話していいかな?」 「ああ、なんだ、一応気にしてくれてたんだ」 『はい』とジョウロを俺に渡しながら満面の笑みを浮かべた。なんかこいつ、変わったなあ。 「うん、2日に1回の間隔で脳のプログラムが更新されてくの。だいぶ人間らしくなれてるかな?」 「ああ、こうして話している分には普通の人間と相違無いと思う」 「よかった〜……あ、それでね、直哉君、ちょっとお願いがあるんだけど……」 お願い、というのは美雨の先生になることだった。こうして会ったときにおかしな言動が無いか、機械的な一面が露わになっていないか、そういう所を見てほしいというものだった。 やっぱり生きた人間からの指摘は参考になるらしい。 自分が提供する情報で美雨が完成に向かっていく。すっごい面白そうだろ? 俺は快く引き受けた。それに『他の奴にはばれないようにしろ』とか教えたのも俺だったから、俺以外この役目を果たせる奴がいないってことは重々承知していたからな。 でも、今になって思うよ。『引き受けなきゃよかった』ってさ。 その伍←<最初>→その七 ランキング、サーチサイト、低空飛行で参加中です!! 右翼 左翼 尾翼
どうも〜お久しぶりだと思います〜(^ω^) 続きの方を今日の深夜0時らへんに上げようと思ったのですが、なぜか私2,3週間前から慢性的な頭痛に悩まされておりまして、今日も早めに寝ようと思います(;^ω^) なんで頭痛いんでしょうかねえ〜謎なんですよねえ…… なので続きは明日午後4時らへんには上げられると思います。最悪4時半には上がるかと(^ω^) 本当はかっこよく0時に上げたいのですがねえ、まあダサイのが自分らしさと割り切っております〜毎日楽しいです〜(^ω^) そして今日はなんと大ニュースがございます!! 足の裏の小宇宙オープン3週間(放置期間約300日)、とうとう! 初☆米☆です!! 新米うまいですよね〜甘くてつやつやしてて歯ごたえもあって(^ω^) 米どころなんでうち米にはちょっと五月蠅いっすよ〜炊くときは固め以外認めませんから〜 ……っとこんなことはどうでもよいのです!米は米でもこれはコメントのコメです!! いや〜とうとうやりましたね〜もう手を打ちながら小躍りしましたよ〜本当コメくださった方ありがとうございます〜(^ω^) あ、不審者ですね、本当にありがとうございm(ry やっぱね、モノ書くときは応援の声ってものすごい励みになりますよね! 名指しはいたしませんが本当、ありがとうございます!! 今週も頑張ります!(^ω^) はしゃぎすぎて気がつけば結構いい時間になってしまいましたね…… しかしブログ用に編集する作業とか結構面倒なんで予定通り明日上げることにします(^ω^) それではまた明日会いましょう!!
どうも〜体調不良のため更新が若干遅れてしまってすみません〜(;^ω^) なんだか最近周囲がインフルエンザ騒ぎで、こちらもいつかかるか分からない状態でして、ビクビクしております…… それで今回の更新なのですが、読んでいて恥ずかしくなってしまうようなシーンばかりで、ブログ用に改行しながらにやにやしてしまいました…… どう見ても不審者です。本当にありがとうございました(^ω^) しかしあれですね、主人公視点だとそいつが悩んでいる時の描写が結構面倒になるものなんですねえ、小説の難しさを日々痛感しております…… さて内容の話になるのですが、直哉の涙目で今回は終わったのですが、来週からやっと本番だよ!うわっほい!! なぜなら来週から始まる直哉視点の回想シーンがこの話の本編だからです。 本当はそういうつもりじゃなかったんですけど、直哉視点だと異様に手の動きが軽やかになりまして、気がつけば全体の3分の1を占めるボリューム、そして話の密度は本編の3倍になってしまい『もうこっち本編でよくね?』となってしまったのであります。 改めて自分の力量の無さを感じますねえ〜(;^ω^) 勇、本当にごめんなさい。 いつか勇視点のお話でリベンジしてみたいですねえ、本当に(お 自分に似ていない人間の心情を描くのって結構難しいですけど勉強になります!! ……そんな感じですので(どんな感じだよ)、来週から秋雨みゅうみゅう、本編入りまーす(^ω^)
「あ、マジなんだ」 「うん、畑山君は気づいてるだろうなあって思ってたから」 「あ、そうなん。俺演技下手だからなあ〜ははは」 「あははは」 「……ってちょっと待てい!! 気づいてた!? マジ!?」 「マジ〜」 彼女はほわほわと笑顔を浮かべながら、当り前だという風に答えました。 「私ね、脳にウソ発見機みたいなの入ってるから、全部わかっちゃうんだ〜」 「そんな笑顔でピースサインされても……」 そんな、そんな仕組みまで備わっていたなんて……。僕が今まで真剣に平静を装っていたのが阿呆のようじゃないですか。 「今日私の事を聞こうとしてるってことも、実はわかっちゃってたんだ」 「ああ……なんてこったい……」 僕が今まで悩んでいたのは何だったのでしょう? ていうか口に出さなくても全部お見通しだったって事ですか? ええ〜そりゃねーよまじ〜。 静かに落胆する僕の事などお構いなしに、彼女は話を続けます。 「ごめんね、今までしんどかったでしょ? 聞きたくてもなかなか聞けないことがある時って、もやもやしちゃうよね」 「本当だよ……。ひょっとして、今日俺が聞こうとしてる一番大きな疑問ももうばれてる?」 彼女は背中で指を絡め、僕と向き合うように体を動かしながら、少しためらうような感じで言いました。 「私はまだ試作品だから、そこまで正確には出来てないんだ。畑山君の脳みそもっと覗いてみたかったけど、無理だった」 そして苦笑いを浮かべます。 もう僕はこのよくわかんない感情をどうしたらいいかわかりません。脳みその整理ができません……。僕はどうすれば……? 「どうもしなくていいよ。いつも通りの元気な畑山君でいてくれれば」 「うわあ……俺今何も言ってねえよ〜」 もう頭を抱えることしかできませんよ。 「まあ、大丈夫大丈夫、落ち着いて」 混乱している僕を気遣ってくれているのか、頭を優しく撫でてくれる彼女。余計落ち着かないって……。 「それで、聞きたいことって何?」 「いや、もういいや、なんか今日はもうビビリまくったからこの辺にしとくわ」 「そっか、気になるんだけどな……畑山君の話もっと聞きたいし」 顔には満面の笑みを浮かべております。 なんでいちいちそう可愛い事言うのかねこの子は。 僕は美雨の可愛さに後押しされて、妙な事を口走りました。 「ええっと、今日の話とはちょっと違うこと、聞いていいかな……?」 「ん? 大丈夫。私の脳のプログラムでなんとか出来る範囲内なら」 「一度バレるとかなりぶっちゃけるのね……」 「で、何なに?」 「美雨はさ、その……恋心とかって……プログラムされてるの?」 恥ずかしくて倒れそうです。 「ぇえっ!?」 彼女もびっくりして顔を真っ赤にしています。と、いうことは……。 「いきなり変なこと聞かないでよ〜……あ、あるよ、一応。男女間の関係についても資料集めないといけないから……」 「そ、そうなんだ……」 俺、歓喜。『僕との恋を資料にしてください!』と心の中でガッツポーズを組みました。しかし表面上は冷静にいきます。 「それって大変じゃないか? 自分は真剣に恋しつつも、資料集めってことで客観的にその様子を眺める事もしなきゃいけないじゃん」 「ううん、大丈夫。資料とは言っても、私がレポートとかまとめるんじゃなくて、今私が見ているもの、聞いているもの、脳が勝手に解析したことは勝手に電波通信であっちに送られてるの。だから私は毎日普通に生活しているだけ。何も大変なことなんて無いよ」 「そうなんだ。そりゃよかった」 「うん……」 「……」 「……」 沈黙です。しかし僕はこの空気に何かしらの手ごたえを感じていました。これが俗に言う『いい雰囲気』なのでしょうか?(恐らく違う) しかし、やっぱ手持ち無沙汰になってしまい、僕はその辺に落ちてる枯れ葉をいじり始めました。 「で、でもねっ……」 先に沈黙を破ったのは、彼女でした。 「私っ……今は好きな人、いないよ……?」 「へ、へえぇ」 自分でもびっくりするほど間抜けな声が出ました。いや、マジで僕はこういう場合どう答えればいいんですか!? これはアレなんでしょうか。彼女のプログラムに何かしらの誤作動が生じたってことなんでしょうか……? 「ちっ違うよ!!」 彼女は顔を真っ赤にしてちょっとむすっとしてしまいました。そうだ、表情からも脳みそ覗けるんでしたね。厄介な能力ですねえ。 「だから……」 何か言いたげです……うつむいてもじもじしたまま動きません。彼女の能力が俺にも備わっていればなあ。彼女も今同じことを考えているような気がします。 しかし泣きそうな女の子をこのまま放っておく程畑山は無粋な男ではありません! 何としてでも彼女の言わんとしている事を……あ。 ひらめきました。しかし、こんなこと言うのは流石に恥ずかしすぎます。いやいや、彼女だって勇気を振り絞っているのですから、僕もここは頑張らないと!! 例え痛い男になろうとも!! 畑山勇、いきます!! 「俺と恋する……?」 言った。とうとう言った! 彼女の顔がバッと上がりました。びっくりするほど真っ赤です。 ああ、合ってたのかな……? 「合ってる……」 「そっか……そりゃよかった」 そしてやっぱり沈黙。 静かなせいか、心臓の音が頭まで響いてきます。マラソンの後の鼓動の早さに少し似てる、なんて思いました。 太陽が向かい側の山に少しずつ隠れていきます。そのわずかな光源から発せられるオレンジ色の光が、僕らの眼下に広がる景色を優しく包みました。これが、今日僕が彼女に一番見せたかった景色です。 彼女は、美雨は、僕の左手の小指を、きゅっと小さな右手で握り締めて来ました。 アンドロイドと恋をする。最初はまともに考えようとしていませんでした。 だって、想像がつきませんし、それがどういうことなのか、僕は理解も出来ませんでした。でも、これからは少しずつでも、彼女の事を理解して、僕なりに努力して彼女を守っていこう、と彼女の温かな指を感じながら誓ったのでした。 一緒に恋をする、とは言っても、両想いになったわけではありません。そこは冷静になって昨日の夜考えました。これから僕の事を好きになってもらえるように努力しないといけませんね! 田んぼ沿いの通学路を歩きながら、今日彼女にどういう風に挨拶しようなんてことを考える傍ら、そんなことを考えております。 あれから僕らはだんだん緊張の糸がほどけたのか、帰る頃には普通に手をつないで談笑しながら下山しました。“ばいばい”と手を振った直後、スキップしながら帰ったことはあなた方と僕との秘密です! おう! そうこうしている間に校門前に到着しておりました。 教室に入ったら、とりあえず直哉に……なんて説明しましょう。彼女の事を教えてくれて、しかも何度も僕を戒めてくれた良い友人です。しかし、その反面彼女の元彼でもあるわけで、なかなか複雑です。あいつは喜んでくれるでしょうか? いや、そういうことするタイプの人間じゃないですね、奴は。とりあえず応援の一言だけでもいただけたらいいな……。 ――ドンッ おっと、下を向いて考え事をしていたら誰かにぶつかってしまいました。ふとその人の顔を見ると、なんと、彼女、桜美雨じゃありませんか。 昨日の一件で気恥かしさも多少残っておりますが、僕は出来る限り爽やかに挨拶します。 「お、おはよう!」 彼女は初めて会った時のような、優しげな笑みを浮かべて、あの時と同じ声色で、僕にこたえてくれました。 「ええ、そうよ」 僕は全力で走り出していました。向かう先はそう、ヤツの所です。 「なんだよ、朝っぱらから騒々しいぞ、勇」 「騒々しくもなるわあああああああ!!!!」 教室中の生徒がこちらを不思議そうに見ていました。まあこの時はさっぱり気づきませんでしたが。 その視線に耐えかねたのか、直哉は僕の学ランの詰襟を思いっきり掴んでベランダに引っ張って行きました。 教室には一瞬の沈黙が流れましたが、『ああ、また畑山か』みたいな具合でいつもの空気を取り戻しました。 「なんだ、夜這いでも仕掛けたのか?」 「あれ? お前そんなキャラだったっけ?」 「うるさい、場を和ませようとしているんだよ、こっちは。そんなに取り乱して一体全体どうしたんだ」 「あ、ああ……実はな、直哉……俺は彼女がわからない……」 僕は事の一部始終を包み隠さず直哉に説明しました。一緒に山で愛を語り合った事、スキップした事、そして朝、彼女の記憶がリセットされていたこと。 「……はっ」 「え? 何その嘲笑!? 俺の心をこれ以上えぐる気かお前!?」 「ああ、2度と立ち直れないレベルに一度えぐれろ! 俺の傷はそんなもんじゃなかったからな!」 「ええ〜お前だけが頼りだと思ってたのに……勘弁してくれよ〜!!」 ひざまずく僕の頭をシャーペンの消しゴム部分でねちねちつっついて来やがりますこいつ。この間までと態度が全然違いますよ、誰ですかこいつは!? 俺の知ってる直哉はこんなんじゃないっす!! てかシャーペンの消しゴムって結構堅いから地味に痛いんですよ! 「はっ、お前、そんなんで落ち込んでんじゃねーよ」 なんて凄まじいドS声。……だと思ったら、直哉はピタリと手を止め、口を閉じました。 ようやく収まった! と僕は顔を上げ、思わず目を丸くしてしまいました。 「……わかっただろ? 俺がお前を応援出来なかった理由が」 ……直哉が、泣きそうな顔をしていたからです。 その四←<最初>→その六 ランキング、サーチサイト、これより面白いお話てんこ盛りです……(;^ω^) どっかーん ちゅどーん ばきぃーん
「ごめん、ほんっとーにごめん!!」 裏門でわくわくしている俺にとてとてと可愛らしく駆け寄ってきたと思ったら、深々と頭を下げて、彼女は言いました。 「まさか今日に限ってカメラ持ってき忘れちゃうなんて……私ったら本当バカだあ〜」 「いやいやいや! 人間誰にだって間違えの一つやふたつはあるものさ! 今日が無くたって明 日があるじゃないか!」 “人間”と言った瞬間顔が強張ったのが自分でもわかってしまいました……。気にしない気にしない! 今はそんなこと気にしない! 僕は胸の中で自分に喝を入れます。 「そんな気使わなくていいよ、悪いのわたしなんだし……」 「ほんといいのに〜」 “これでまたこうして会う確率が増したわけだしな、へっへっへ”と先程喝を入れたはずの僕がほくそ笑みます。なんてだらしないんだ自分! 「ところで畑山君って家どっち?」 「え? ああ、田町だよ、乾田山の向こう側」 「ああ、あの竹藪のところだ。そっかそっか、それじゃ逆方向だ、残念」 ……残念? 僕の顔は自然と紅潮していきます。 「それじゃあ今日はもう帰るね。次委員会の休みあったら教えてくれるかな? 畑山君のおすすめ、すっごい気になる」 「わかった、暇あったら声かけるよ」 「ありがとう、今日は本当ごめん、じゃあまた明日ね!」 彼女は小さく胸元で手を振りながら後ろ向きに何歩か歩いた後、くるりと背を向けて駆けて行きました。 僕はだらしなく胸元で手を半開きにして立ちつくしていました。 “そっか、残念”“畑山君のおすすめ、気になる”“また明日ね” “畑山君気になる”“今日は一緒に帰れなくて残念”“また明日も会おうね♪” ああ、まずい、脳みそが勝手に先程の彼女の言葉を都合よく自動変換していきます。 それにしてもよく一日でここまで打ち解けられたものです。彼女の人の良さなのか、それとももっと他の……いやいや、ない、その線はない、まず無い。 ああ、すみません、また一人で悶々としてしまって。 ていうかそうですよね、先程の彼女の言葉のひとつひとつって、元を辿ればプログラムなんですよね。なんか放課後の畑山は頭がやけに冴えます。いつにも増してクール畑山です。 クールはまあ置いておいて、今までの嬉しい受け答えのひとつひとつってやっぱプログラムがそう言わせているんですよね。それじゃあ彼女の本心は? 彼女の今の言葉に彼女本人の意思は通っているのでしょうか? そもそも、意志はあるのでしょうか? おっと、余計な事は考えちゃいけませんよね。冷静になるとついついネガティブになってしまうからいけません。今は先程の言葉に素直に胸を躍らせましょう。馬鹿だと思われたって構いません。僕、目の前の喜びを無理矢理哀愁に変換して生きていくようなスキルには全く興味ないですから。 ――『お前、ずっとそんなんでいいと思っているのか?』 直哉の声が聞こえたような気がしました。 いや、僕の本心の声だったのかもしれません。 僕はそんな現実的な声に背を向けて、駆け足で家路に着きました。 「明日委員会休みなんだけど」 「私? うん、大丈夫、空いてるよ」 渡り廊下でばったり、本当にタイミング良くお互い一人きりになっている時に会いました。 笑顔で今日空いている事を伝えようと思ったのですが、どうも恥ずかしくなってしまい、たどたどしい言い方をしてしまいました。なんてダサイんでしょう。 「じゃあ、裏門でいいかな?」 「おう、今日はちゃんとカメラ持ってるよな?」 「もちろん、ばっちりだよ♪」 最初に廊下で会った時のような綺麗な笑顔を向けてくれました。 「じゃあ放課後に裏門な」 「わかった、じゃあまたね〜」 そうして僕らは別れました。なにやら数日前に小さな疑問符が浮かんでから、こういう事態を素直に喜べなくなっている自分がいました。『これもプログラムが……』そういう考えが頭を離れなくなってしまい、どうも気分がいまいち晴れません。同時に『確かめたい』という気持ちも徐々に強くなっていきました。 しかし瞼の裏には常に彼女の笑顔が焼き付いています。 なんだこの複雑を極める感情は。 直哉は僕らを応援しないと言っていました。あいつもこんな気持ちを引きずりながら、彼女と付き合っていたのでしょうか。なんてこった、そりゃ拷問じゃないか。 放課後、聞いてみようかな。確かめてみよう。直哉にあそこまで教えてくれたならきっと大丈夫。きっと快く教えてくれるさ。 これで疑念もさっぱり晴れていいじゃないか。彼女に自分の『意志』はあるのか、それだけのことです。教えてくれるのなんて造作無いでしょう。 さて、確かめようと意気込んだものの、複雑な気分のまま僕は放課後を迎えてしまいました。 裏門に背中を預けて悶々としていると、彼女がこの間のようにとてとてと小走りで現れました。畜生、やっぱかわいいな畜生。 僕のおすすめスポットとは、僕の家と学校の間にそびえる小さな山、「乾田山」です。綺麗な夕日を見るには時間的にも今から登ると丁度いいでしょう。 「なんか楽しみだな」 隣で彼女がうきうきと歩いています。なんという事でしょう、ずっと夢に見てきた光景が目の前に広がっていますよ、お母さ〜ん、お赤飯! なんだかんだでやっぱり幸せな気分になってしまいますねえ。 雑談しながら歩いていくと、とうとう山道の入口に来ました。 「本当に山なんだね……熊とか出ないかな……?」 「大丈夫大丈夫、ほら、ちゃんと鈴持ってきたから」 僕は鞄から熊よけの大きな鈴を取り出して彼女に見せます。熊には鈴、本当に効くから熊も中々憎めません。 「10分くらい登れば着いちゃうよ。おばあちゃんたちのお散歩コースになってるくらいだから、楽に登れると思うよ」 「よしっ私もがんばろう!」 カメラ片手に彼女は張り切っています。これは10分以上かかりそうですね……。 予想通り、10分後、僕らはまだ山の中腹にいました。彼女は綺麗な景色や花なんかを見つけると手当たり次第カメラに残して行きます。なので進まない。本当に進まない。しかし、楽しそうな彼女を見ていると、『これでもいいかな』と思えてきてしまうので不思議です。 どうやらまた何か見つけたようです。彼女は楽しそうに駆けて行きます。しかしその時、彼女の足元にじっとりした苔が! 案の定、ずるりと彼女は苔に足を取られ、体が宙に浮かびます。僕は駆けだしていました。『助けなきゃ』とか、そんなことを考える以前に、反射で体が勝手に動いていました。 「きゃっ!」 ……なんとか間に合ったようです。彼女の体は僕の腕の中にすっぽり収まっていました。 「あ、危なかった……」 思わず冷や汗が滴ります。しかし安堵していたのもつかの間、僕らはすぐ自分たちがしっかり抱き合っている事に気づいて、さっと身を離しました。 「ご、ごめん……」 真っ赤な顔をして彼女が言います。 「いや、ぶ、無事でよかった……」 当然、僕も真っ赤っかです……。心臓本気で飛び出るぞこれ。 「……じゃあ、行こっか……」 「おう」 お互い目を合わせることが出来ず、のそのそと歩きだしました。誰か僕の心臓を止めて! ……無言で山道をひたすら登ります。普段お喋りな僕でも、こういうとき何を話せばいいのかさっぱりです。ていうかそんなこと考えてる余裕ありません。 それにしても、小さな肩だったなあ、やっぱ女の子なんだなあ……。 ……。 …………。 ここで僕は、重大な事実に気づいてしまいます。 彼女のパイオツ、しっかり柔らかかったです。体温もちゃんと通っていました。 ちゃんと、人間の女の子の体をしていました。 裏門にいる時の、もやもやした気持ちがまた湧き出してきます。もやもやしたまま、僕らは山頂に着いてしまいました。 ここからは僕の住む田舎町が一望できます。学校とは方向が逆なので彼女にはあまり親しみが無い風景かもしれませんが、僕は、自分が一番綺麗だと思う景色を彼女に見せたかったのです。 「わあ〜すごい綺麗〜!!」 先程までのしおらしい様子はどこへやら、彼女は両手を合わせてはしゃぎました。 「気に入ってもらえたみたいでよかった〜」 もやもやした気持ちを抑えながら、僕は笑顔を作りました。 「本当、凄いよ! 畑山君の家はどの辺にあるの?」 「ああ、あのへん。丁度竹藪に囲まれてて、川沿いにある……」 「あれ?」 二人で指をさして確認し合います。自然と体が近寄っていき、僕の心臓はまた大きく揺れだしました。今日だけで寿命かなり縮みそうです。 「違う違う、俺んちそんな綺麗じゃないよ。あれ、あのボロ家」 「……へえ〜なんか風情あるねえ」 「……無理しなくていいよ……」 「あっあそこってあれだよね! 最近新しく作った橋!」 「ああ、なんかこんな田舎には不釣り合いだよなあ」 彼女がはしゃぎながら気になる所やあれこれを質問して、ぼくがそれにこたえる。そんな単調なやり取りですが、僕らは笑顔で肩を並べて談笑しました。 全体的に山に囲まれた盆地で、真ん中には川が流れています。面積のほとんどは田んぼで、稲刈りをしている農家の人がちらほら見えます。ところどころに竹藪があって、その近くにはだいたい民家がぽつり、ぽつりと建っています。まさにザ・田舎な風景です。僕は小さいときからこの山で遊んでいて、この景色が大好きです。その気持ちを今彼女と共有できていることに、言いようもない感動を受けました。 しかし、いつまでもへらへら笑っているわけにはいきません。僕は今日、重要な事を確かめなければなりません。 でも、それを口にしたらこの楽しい時が全部終わってしまうような気がして、これまでの楽しい数週間も無くなってしまうような気がして、中々流れを変えることができませんでした。こんなの、初めてです。気になるのに、怖くて聞けない。真実を知ってどうする? 俺は彼女にどんな言葉をかければいい? ひょっとしたら地球外(かのじょの)生命体(なかまたち)に連れていかれて記憶を消されるかもしれない。いや、ただ単に嫌われてしまうかもしれない。何言ってんだこいつ、頭おかしいんじゃないのかって……。 「ええい!やめだやめだ!!!!!!」 僕は大声で自分を戒めました! そうです、何もしないうちからくよくよするなんて畑山勇じゃありません。そもそも男として失格です!!(畑山的な理論です) 「ど、どうしたの……?」 さっきまで一緒に笑っていた人間が突然大声を出しながら己の顔を引っ叩き出したものですから、美雨も流石に驚いたようです。 「単刀直入に聞こう! 君はアンドロイドだね!?」 「うん!」 ……。 …………。 ……まさかここまできっぱり認められるとは思いませんでした。 わあ、超展開☆ その参←<最初>→その伍 ランキング、サーチサイト、暇ならクリックどうぞ〜(^ω^) ぽっきり がしぃーん どぎゅーん |一覧|Recommend Item
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