テーマ:好きなクラシック(2288)
カテゴリ:カテゴリ未分類
「名曲100選」 R.シュトラウス作曲 交響詩「英雄の生涯」 R.シュトラウス(1864-1949)は「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」「ドン・キホーテ」「死と変容」「マクベス」などの交響詩を数多く書いています。 シュトラウスはこの「英雄の生涯」の後交響詩を作っていませんので、交響詩の総決算的な作品だということは言えそうです。 タイトルとなっている「英雄」は,シュトラウス自身のことを表しているそうです。 自らを「英雄」と呼んではばからないシュトラスのこの作品のスケール感と多彩な響きの充実感を聴くと圧倒されて納得してしまいます。 シュトラウスが35歳の時にこの曲を作っていますが、最後の交響詩としてこういう題材にして自分の業績を振り返るというのは、この若さで何とも大胆な作曲家ですが(シュトラウスはこの後半世紀も長生きします)、その辺がシュトラウスらしいところかもしれません。 内容としては,ベートーヴェンの英雄交響曲を意識している作品だと思います。 同じ変ホ長調でホルンが効果的に使われているところなど似ています。 彼の交響詩「ドン・キホーテ」とは反対の内容作品で、「ドン・キホーテ」が闘争に敗れた騎士だったのに対し、「英雄の生涯」では成功した人間を描いていると言えるでしょう。 このことはR.シュトラウス自身が語っているそうです。 曲は,自由に拡大されたソナタ形式で、6部構成のように成っていて、切れ目なく続けて演奏されます。 「英雄」を象徴するホルンと低弦による力強い主題で始まります。この主題はかなり長く,全曲の中心主題となっています。 いちばん最初に出てくる低音から高音へと沸き立って行くような、文字通りヒロイックで誇らしげな部分が、実に豊穣な音楽で特に印象的です。 この部分をはじめとしてこの曲には,8本のホルンが出てきますが,最初から最後まで主役のように活躍します。 これが音楽に厚みと豪華さを添えています。 「英雄の敵」や「英雄の伴侶」「英雄の戦場」などを描いて、「英雄の平和時の仕事」に至るとこれまでの交響詩に使われている動機が主題と絡み合うところなどは、やはり「総決算の交響詩」といった感があります。 オーケストレーションの多彩なことは他の交響詩と同じですが、いっそう磨きがかけられて豊穣な、分厚いハーモニーを美しい旋律が織り成す、豪華絢爛たる曼荼羅絵巻のような「英雄」の生き様があますところなく表現されています。 愛聴盤 (1) アンドレ・プレヴィン指揮 ウイーンフィルハーモニー (テラーク レーベル CD80180 1988年録音 海外盤) ウイーンフィルと相性がいいのか、1980年代に数多くの録音を残したプレヴィン。 この演奏は実に雄渾にスケールの大きい表現で「英雄」を描いています。 ウイーンフィルの極上にブレンドされたハーモニーの美しいこと! それにテラークの優秀な録音技術がシュトラウス音楽に華を添えています。 (2) ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリンフィル (ドイツ・グラモフォン 439 039 1982年録音 海外盤) カラヤン美学の最たる演奏だと思います。 磨きに磨き上げた手兵ベルリンフィルを自由自在に操りながら、彼らの最上にブレンドされた極上の響きを引き出して、R.シュトラウスはこう演奏するんだと言わんばかりの、美しい響きと豪華絢爛たる色彩に彩られたカラヤン最後の「英雄の生涯」の録音盤です。 まるで人生の黄昏を迎えたカラヤン自身の生涯を聴かされている錯覚に陥る演奏です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年09月26日 00時02分52秒
コメント(0) | コメントを書く |
|