ろー・ふぁーむ・かるぴお by pridegreen

波乱の結果となった宝塚記念も終わり，本格的に夏競馬モードになってきた今日この頃，全国三千万人（推定）の競馬ファンの皆様は，さぞ夏の上がり馬を見つけんとして小倉に，新潟に，そして函館札幌の模様に目を皿のようにしてご覧になることでしょう。

と，全く関係ない前振りをしたことに，特段の意図はない。ただ，よくいわれるのは「夏競馬は格より調子」という格言なのであって，クラシックロードや古馬G1街道に乗り損ねた条件馬が，じっくりと力をためて夏の重賞戦線を賑わしたりすることから用いられるのであるが，少し競馬をかじった方なら御承知のとおり，G1ウィナーとなったり重賞で勝負できるような馬は夏競馬には出てこないのであって，そもそも勝負の土台が違うというところがまさに馬券買いのツボというべきなのであろう。まあ，私はもう競馬から足を洗って10年以上経つから，あまり知ったかぶったようなことは言えないのであるが。

で，今日の試合である。カープの先発は前田健太。一応自他共に認める球界のエースのひとりである。一方のスワローズは古野正人。過去3年の成績が4勝6敗なるも今季はすでに4勝負けなしの防御率2点台。スワローズ投手陣の中でも最大の上がり馬と言っていいだろう。万一前田健太が前回登板のような不出来だったら，何が起こってもおかしくない，そう思っていた。試合が始まるまでは。

しかし，さすがは前田健太である。前回登板の反省を活かして，とにかく序盤から飛ばした。前半3イニングスをパーフェクト。一方の古野。立ち上がりから全くの不出来。その立ち上がりをカープが捕らえて一気に5点。これで勝負あったである。何のことはない。今日の結果は，ごく当たり前の事象が起こっただけである。あとは，もう何も言うことはない。久々の3連勝ということで大きな白星ではあるのだが，そもそも論として落としてはならぬ試合だったのである。当たり前に起こるべき結果が当たり前に起こった。今日の試合について講釈垂れるならこれで十分なのだ。

まあ，蛇足ながら付け加えるとすれば，そもそも古野が下級条件馬からここまでステップアップするきっかけを作ったのは，ほかならぬカープである。５月の神宮球場，先制しながら得点を取り切れずに逆に福井が先に崩れてシリーズ負け越しが決まったあの試合。現在セントラルは未曾有の団子状態にあって，スワローズが先頭を走っているのだが，ここで勝ち抜くためには，いってはなんだが古野クラスの投手に続けて抑えられているようではだめだし，ましてや前田健太を押し立てて負けることなどあり得ない。これは優勝争いの要諦でもある。だから，今日の試合を勝ったことであまり大喜びするのは，まあ違うだろうといいたくもなる。勝つべき試合をそつなくものにした。そのことに意義を見いだすことは出来るけれども。

それじゃあ愛想がないのでまあいいところを褒めるとすれば，先制のタイムリーがエルドレッド，だめ押しのタイムリーがシャーホルツであるところだろうか。祖父直なところ，４番を張っている新井の調子が落ち加減である。実際，黒田を押し立てて悔しいサヨナラ負けを喫した火曜日のジャイアンツ戦は，ネイト新井ブラッドが全く仕事をさせてもらえなかった。それを評して「現状において優勝を争うに足りるクリーンアップではない」と書いたが，ネイトとブラッドが打ち始めたら話は別である。とにかく当たれば飛ぶ。そうなるとこれまでではキクマル新井重点マークで事足りていたものが，そうは行かなくなってくる。となると，打線に新たな核融合が生まれる可能性が出てくるのだ。まあ今のところはそれこそ「上がり馬」期待程度でしかないのだが，ゆくゆくは秋の決戦で花開く，というひそかな期待を，少しぐらいは持っていいのかもしれない。1995年の菊花賞，マヤノトップガン＝トウカイパレスで的中させた記憶が甦ってくる。

今日はスワローズが敗れ，タイガースもベイスターズに逆転サヨナラ負けを食らったということで，ついに全球団が借金を抱えるという珍事が起こった。一応首位のスワローズと，5位のカープとの差は，0.5。明日勝てば当然ひっくり返って少なくともスワローズの上には立つのである。予告先発はクリス・ジョンソン対石川雅規。ジョンソンの立ち上がりとカープ打線の石川への対応に不安があるが，そんなことはいっていられない。データで紐解くと今季の石川は右打者にも左打者にも被打率が３割を超えている。要するに今のカープの打線の勢いならそこそこ打てるということである。ただし，石川はなんといっても老獪なピッチャーだから，ヒットを打たせても点はやらない術には長けている。そこをどう破るか。鍵を握るのは今日と同じくネイトとブラッドになるだろう。

あとは，継投勝負になったときにどうなるか。カープはある程度の得点差を持ってジョンソンからの継投に入りたいだろうし，スワローズは石川が５回を１点リードくらいで凌げばロマンオンドルセクバーネットが控えている。昨日も書いたかもしれないが，明日もまさしく，先手必勝。これしかない。

まだまだ，とにかくもう一つ粘れ。

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