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テーマ:少年&少女サッカー(885)
カテゴリ:素人コーチ日記
(キョウタがみんなと走るとき、どんなに大変なんだろう。)
キョウタは、両足に歩行補助具を着けたサッカー少年だ。 小1からサッカーを始めた。 左右の足はそれぞれ向きが違う。歩くときは右足がちょうどインサイドキックを蹴る形。左つま先は前を向いている。インサイドキックは右足で、左ではトゥキックかインステップのキックになる。走るときは、ヒョコヒョコという感じだが、根性はすごい。 他の子がウォームアップの軽いランニングをするときも彼だけは全力で走らなければならない。他の子と区別した特別扱いをキョウタは潔しとしない。情けをかけられることを嫌がる。負けるものかと心で言っているのが声に出なくても伝わってきて「キョウタがんばれ!」と応援したくなる。 ころんでもキョウタ独特の身のこなしでクルリとすぐに立ち上がる。ボールに集中したまま、なかなか颯爽としていていい感じ。ゲームのときは、FWにおいて前で張らせる。キョウタにシュートチャンスが来ると、全員が「打てー!」と叫ぶ。 5人制までは何の問題も感じなかった。3年になると8人、11人制の広いグランドでのゲームが増える。キョウタの性格は、前にいろと言っても思わずボールを奪いに下がって行くからなおさら大変。オフサイドラインの上げ下げについていくのもハンパではない。それでもキョウタは、噴出す汗をものともせず、肩を揺らして走る。 プレースピードやテクニックが上がるにつれて、だんだんキョウタの頑張りだけではどうしようもなく、練習でも少し違うメニューになることが増えてきた。もどかしさと悔しさもあり、迷惑をかけていると思っているのか、壁を感じるようになってもきているようだ。練習でも懸命にチームメイトについて行くのでかなり疲れるらしく、土日のうちどちらかは欠席して休養をとるようになってきた。 「義足であろうがサッカーは楽しめるはずだ。」とイキがるのは簡単だ。しかし、手を使わないサッカー。足には、体を支え、走るだけではなく、微妙な感覚や動きも要求される。いくら子供とはいえ、そのハンディキャップはかなり大きい。 誰かがミスをしたり、力及ばないとき、チームメイトがそばに来て助けることができるのもサッカー。人を尊重することを学べるスポーツでもある。 だけど、キョウタには、それを当たり前と思ってもらいたくはない。今までどおり、キョウタの愛すべき気持ち~助けられることを潔しとしない気持ちを忘れないでいてほしい。 子供にとって仲間と一緒に遊べるサッカーでなければ意味がない。大人の思い込みで、押し付けにならないようにはしたいが、キョウタが自分から言い出さない限り、このままいつまでも続けさせたい。サッカーを楽しみ、いつまでも続けられるように、苦しい思いも彼にとって糧になるように、支えてやりたいと思う。 小学生のサッカーで大切なもの。 本人が楽しいこと。自分自身で判断すること。人を尊重し合うこと。 (キョウタ、負けるなよ。もっともっと努力して、仲間と一緒にもっともっとうまくなろうな。みんなキョウタのゴールを待ってる。) 車椅子のサッカーコーチ・羽中田 昌(はちゅうだ まさし)サンの手記を読んだ。 羽中田 昌(はちゅうだ まさし) 山梨・韮崎高校の黄金期のエースとして活躍。高校卒業後、交通事故で下半身不随。30歳で公務員を退職し、サッカーコーチング修行のため、5年間バルセロナ(スペイン)に留学。現在は、スポーツエッセイストとして多方面で活躍する傍ら、サッカー史上初の車いす監督を目指す。 著書:「みんなの声がきこえる~車いすのサッカー修行」(四谷ラウンド) 彼を支え続ける奥さんの言葉 「挫折してもあきらめなければ目標は逃げないよ。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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