<思い込みをなくす>------------------------------------------------------------<思い込みをなくす> ------------------------------------------------------------ 思いこみミスとは問題あるいは状況を誤って解釈して しまったため、誤った解釈に従って問題を解き進んでしまう エラーのことです。 例えば「正しくないものを選べと書いてあるのに、正しいものを 選んでしまったり、数学で最初の条件をまちがえてとらえたばかりに、 芋づる式にミスして。全問不正解になってしまったり………・。 このように題意を取り違えてしまったとか、指示があいまい だったため、勘ちがいしてしまった、思い込みミスはうっかり ミスほど多く発生しませんが、ひとたび発生するとそれに 気づく事が難しく、被害は大きくなります。 そうならないためには“正確に情報を読み取る力”が必要になり、 それができれば実力は急速にアップしてくるのです。 問題をただ「読む」のと、「読み取る」事は大違いなのです。 「問題をよく読んだのか?」と聞くと「読みました。」という返答が 必ずかえってきます。しかしそれは単に読んだだけで、問題を正確に 読み取ってはいないのです。 それでは例題をもとにそのことを見ていきましょう。 <例題1>(テストの花道より)------------------------------------- 花子さんの家から学校までは、歩いて10分かかります。その日、 花子さんは傘をさして家を出ました。ところが、花子さんが学校に 着いたとき、頭はもちろん、靴もぬれていませんでした。 いったいどういうことでしょうか。 <ヒント>-------- この問題、雨が降っていると思い込んではいけません。「傘をさして」 とは書いてありますが、「雨が降っている」とはどこにも書いてありません。 <正解>はいろいろあります。 1、 雨が降っていなかったから。 2、 日傘をさしていたから。 3、 アーケードを歩いていたから。……など。 <例題2>(多湖輝『頭の体操 第2集』光文社より)-------------------- 1回から階段を使って4階まで来るのに、48秒かかりました。 同じペースで8回まで上がるのに、後何秒かかるでしょう。 <不正解>---------- 48秒 まず、情報を列挙してみましょう。 1階、4階、48秒、同じペース、8階 そしてこれらの情報を検証してみる事が必要です。検証してみると 思い込みなどで見えていなかった事実が見えてくるはずです。 <検証>------------ 1、 「1階から階段を使って4階まで来る。」 1階から4階まで上がるのに階段は3つ。 2、 「4階から階段を使って8階までくる。」 4階から8階まで上がるのに階段は4つ。 <正解>------------- (式) 48(秒)÷3(階段)=16(秒) 16(秒)×4(階段)=64(秒) (答え) 64(秒) このとおり、人は思い込んでしまうと、なかなか正確に情報を 読み取る事ができません。これをなくすには ------------------------------------------- 1、情報を正確に書き出す。 2、 その情報が正しいかどうかを判別する。 3、 最後に正しい事を検証してみる。 ということが必要です。 -------------------------------------------- 特に数学の問題では、問題文にあたえられている情報は全部必要な もので、その情報をすべて有効に使えたときに、正しい答えが出ます。 そのためには上記3つをいつも行なう事が必要になってくるのです。 <例題3>(阿刀田高 『最後のメッセージ』より)------------------ 次の文章を読んで質問に答えなさい。 兄さんとボクは同じ日に生まれた。うん、双生児の兄弟、姿形だって 鏡に映したように二人はよく似ていた。 でも、気がついたときには、ボクたちはもうはっきりと差別されていた。 力の強い兄さん、不器用なボク…・。ボール投げを教えられたのも、 字を教わったのも、絵を描かせてもらったのも、兄さんだけだった。 10歳のときに事件が起きた。兄さんが機械にはさまれて死んで しまった。ボクたちはたった二人きりの兄弟だったから、兄さんが いなくなれば、今度はボクがパパやままの手助けをしてあげなければ ならない。 ボクは一生懸命がんばった。今ではもう兄さんと同じくらい何でも できるようになった。ボクの名前は○○、兄さんはもちろん△△と いう名前だった。 ---------------------------------------------- (問題)さあ、この兄弟の名前を答えてください。 まず、情報を列挙してみる。 双子の兄弟、よく似ている、 力の強い兄さん、(利き手) 不器用なボク、(利き手でない) ボール投げ、字、絵(手で行なうもの) (答え)兄…右手、弟…左手(利き手が右のとき) この問題を読んで、人と思いこんでしまうとそれから先には進みません。 情報を列挙しながらじっくり検証してみると、体の一部である事が わかります。 以上のように情報を列挙して検証する作業を入れることによって、 思い込みを少なくする事が可能になります。 -------------------------------------------------------------------- しかし、まず、自分を知る事か大切で、そこからはじめ なければなりません。 (1) 知識不足ではないか。----------------- 思い込みによるミスが起こるのは、知識不足で問題や状況がよく 理解できないときに、勝手に自分なりの推論(解釈)をしてしまうからです。 これを防ぐには平凡な事ですが、ふだんから、自分が何を知っていて、 何を知らないか認識しておく事です。既存の知識を探索するだけで 解けるのか、あるいは、推測が必要なのかの仕分けができるだけでも 、かなりの思い込みによるミスを防げます。 (2) 能力不足ではないか。------------------ 問題を解く能力がないのに解こうとしてもムダです。思い込みのミスは 減りません。試験ではいつも100点をめざす必要はありませんから、 これは自分の力では解けそうにないと判断できたら、手をつけないことです。 とはいってもふだんの勉強のときに、安易にこの判断を乱用して、 すぐに解答を見てしまうようでは、だめです。苦労して問題を解く 体験を積み重ねる中で学力は身についてきます。 以上、今日は夏季講習でちょっと気になった「思い込みをなくす。」事に ついてアドバイスをしてみました。 <小論文の書き方>に移動する。 |