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QBスニーク

GOT・GPT

『正常値』
○GOT[単位]:10~40
○GPT[単位]:5~35


【GOTおよびGPT】

 GOT・GPTは,「血清トランスアミナーゼ」とも呼ばれ,アミノ酸のアミノ基をα-ケト酸に転移する反応に関与する(触媒という)酵素である.
 GOT・GPTは,ほとんどすべての臓器に含まれているが,GOTは心臓,肝臓に多く含まれ,GPTは肝臓での含有量が圧倒的に多い.したがって,これらの臓器が障害を受けると,細胞内にあるGOT・GPTが血液中に遊出して(逸脱という)血清活性値の上昇をみるのである.
 上昇の程度は,由来する臓器の含有量と臓器障害の強さ,細胞数にほぼ比例する(ただし,腎臓にも比較的多く含有するが,腎疾患で上昇することはない).また,赤血球にもGOTが血清の約80倍と多く含まれているので,ビリルビン同様,溶血(赤血球が壊れる)があると軽度の上昇をみる.
 したがって,GOT・GPT値は,主として肝臓の機能を調べる際の指標として用いられている.


【GOT・GPT値の上昇がみられる疾患】

○肝臓病の場合
 GOTそしてGPTの上昇をみたら,まず肝臓障害の存在が考えられる.GPTは肝臓に特異的とさえいえるほどその含有量が多いからである.また,肝臓病のそれぞれに,GOTとGPTの上昇程度の違いがあり,その相互関係(GOTとGPTの割合)にも特徴がある.
 ●急性肝炎・・・GOT,GPTともに500単位以上の高度上昇を示し,かつGPT優位(GPT>GOT)である.ただし,劇症型(劇症肝炎)では,当初2000単位以上(GOT>GPT)の著明な高値をみるが,病状(黄疸,腹水,意識障害)が進むにつれて,残存肝細胞数の減少を反映して,むしろ正常化する.
 ●慢性肝炎・・・GOT,GPTは,50~300単位の中等度の上昇を示し,かつGPT優位である.活動性のものほどGPTの上昇が著しい.肝硬変への進展に伴ってGOT優位(GOT>GPT)となる.
 ●肝硬変・肝癌・・・GOT,GPTは,50~100単位と軽度の上昇にとどまり,かつGOT優位である.肝癌を合併するとますますGOT優位となり,GPTとの乖離は大きくなる.肝癌では腫瘍マーカーのAFPが上昇することが多い.
 ●その他の肝疾患・・・(ⅰ)脂肪肝・・・・・・GPT優位の軽度上昇をみる.コリンエステラーゼが特異的に上昇する.(ⅱ)アルコール性肝障害・・・・・・GOT優位の軽~中等度の上昇をみる.γ-GTPの高度上昇が特徴である.(ⅲ)閉塞性黄疸・・・・・・GOT優位の軽~中等度の上昇をみる.ビリルビンの増加の他に,ALPの上昇が目だつ.(ⅳ)うっ血肝・・・・・・GOT優位の軽~高度の上昇をみる.心不全やショック状態で肝細胞が壊死に陥るためである.

○肝臓病以外の疾患の場合
 ●急性心筋梗塞・・・GOTのみが軽度~中等度上昇するが,発症後3~7日で正常化する(CPKの上昇が同時にみられる).GPTは,心筋での含有量が少ないので,正常か,ごく軽度上昇するに過ぎない.しかし,心不全状態に陥ると,うっ血肝となって肝細胞が壊死をおこし,GOT,GPTともに中等度~高度の上昇をみる.
 ●筋肉疾患(筋炎など)・・・GOTの軽~中等度上昇をみる.CPKの上昇を伴う.
 ●甲状腺機能亢進症・・・GPT優位の軽度上昇をみる.ALPの上昇をも伴う.
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