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テーマ:暮らしを楽しむ(385001)
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父の夢を見た
夢の中の父はなぜか5歳くらいの 子供の身体になっていた 介護していた頃の 節々が固まった強張った ゴツゴツの身体ではなくて ふにゃふにゃの柔らかい身体になっていた 「お父さんが目を覚ましたよ」 と、大声で母を呼び ふにゃふにゃの身体を抱き起こした 「水飲む?」と聞くと 「まだ水は無理じゃろ?」と母は言ったけど 父が「起き抜けの水ほど美味いモノはない」 と、いつもの憎まれ口をきくので 湯飲みに少しだけ水をついで 抱きかかえて飲ませた いつも通り、口に入るよりも こぼれる方が多かったけど 「こぼれても大丈夫 後で着替えさせてあげるから」 とタオルをすげながら飲ませた それから、もうどこも痛くないんだ ヨカッタね~と 柔らかくなった背中を何度も撫でた 父が、どこからか絵本を取り出し 読みだしたので、覗き込んでみると 空の絵本だったので 「お父さんの好きな空が 描いてある絵本だね」 と、一緒に寝転んで読んだ そろそろ行かなきゃいけない時間だけど お父さんと、こうしていると離れがたいね と、言ったところで目が覚めた 背中に感じていた父のぬくもりは 横に寝ていた娘のものだった 目が覚めて、夢だったとわかったら 涙が出た 父が亡くなって10ヶ月近く なんで、今頃になってそんな夢を 見たのかは判らないけれども 父が倒れてからの看取るまで 特に寝たきりになった最後の3年間は 何度も何度も家族で話しあい その時その時 出来る限り最良と思えることをした 悔いなく過ごせたと思える 毎日でした 食べ物も食べれるようになったし 家にも連れて帰ったし ドライブにも連れて行った それでも、欲はある もっと痛くなくしてあげたかった 誤嚥性肺炎で何も食べられなくなってからは せめて一口、水をふくませてあげたかった もう一度、大好きな空を見せたかった 欲は、まだまだ沢山あった それが具現化したような夢でした 悔いのない人生なんて 本当はないのかもしれない 人間は大きな川に浮かぶ 小さなワラみたいなもの ゆるやかだったり激しかったり その時の川の流れに翻弄されながらも 精一杯、浮いたり沈んだりしながら 少しでも自分の目指す方向に向かって もがいているだけなのかもしれない そう思った朝でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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