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カテゴリ:独り言?
今日は現在開催中のノルディック世界選手権について書きます。
「ノルディックって何?」って方も多いでしょう。 ノルディックスキーとは、スキー競技の中のジャンプとクロスカントリーを指します。 俺は約8年間ジャンプを見てきました。 その中で思ったことを書きます。 現在ドイツでノルディック世界選手権が開催されています。 TV中継がBSのみなのであまり関心がある人も多くはないでしょう。 この大会の日本選手の戦いぶりですが、はっきり言って最悪です。 ノーマルヒル個人は東輝選手の18位、ラージヒル個人は宮平秀治選手の25位が最高、ノーマルヒル団体にいたっては、過去最低クラスの9位という成績でした。 俺は全ての放送を録画していますが、もう消去したい気分です。 まずジャンプ競技の歴史ですが、これはかつて日本のお家芸でした。 古くは札幌五輪の笠谷選手の活躍、最近では長野五輪の団体金メダルなどがありました。 特に長野は劇的な展開で、記憶にある方も多いかと思います。 その頃の日本ジャンプ陣はまさに世界最強で、国別ランキングでも断然トップにありました。 しかし長野翌年のルール変更で、日本選手の成績がかなり落ちました。 これは身長と板の長さの関係を定めたもので、背の低い日本人には不利なものでした。 しかし、日本は成績の低下を、このルール変更による物だと言い訳をするだけで、キチンと対策を練ることをしませんでした。 しかし長身選手全盛の時代の中で、169センチの選手が驚異の躍進を遂げました。 アダム・マリシュ(ポーランド)です。 彼は大学教授や心理学者とチームを組んで、2年にわたりジャンプに最適な体を作るための筋力トレーニングやメンタルトレーニングを積みました。 その結果彼は00年シーズンでW杯総合優勝を飾りました。 そこから日本は本格的に強化に乗り出しました。 しかしこれも後手後手でした。 まず取られた対策は減量。 体重を軽くして、浮力の影響を大きくしようということです。 これは当時全世界ですでに主な対策として取られていたものでした。 これでは当然飛躍的な成長はなし。 そして世界の流れは既にマリシュにならい、筋力アップへと進んでいました。 そこで日本も急遽筋力アップへシフト。 しかし長い低迷を抜け出せません。 これには種がありました。 欧州勢が、スーツの改良に取り組んだのです。 スーツの股の部分が、蛙の水かきのように空気抵抗を得るような形にし、より浮力を得ようとする作戦でした。 この結果02シーズンでオーストリアが大躍進。 しかしこれは翌年にルールで規制されてしまいました。 しかしこの数年間で、日本と世界トップとの溝はかなり深いものとなっていました。 日本がルール対応に苦慮する中で、欧州各国は積極的な強化策に取り組んできました。 この結果、ルールのおかげだと言われていた日本の低迷ですが、技術的にも欧州に追い抜かれて行ったということがだれの目にも明らかなこととなりました。 元来農耕民族である日本人の保守性が悪いほうに出たように思われます。 日本は世界のトップの強化法に倣うだけで、自ら積極的な強化策に乗り出せませんでした。 しかも折からの不況で選手を抱える企業の受け皿も減り、泣きっ面に蜂の状態でした。 そして日本の低迷が続くもう一つの要因があります。 若手の台頭がないことです。 今回の世界選手権代表メンバーは、岡部孝信、東輝、宮平秀治、葛西紀明、伊東大貴の5人です。 このうち伊東を除く4人は何と7年前の長野オリンピックのメンバーで、いずれも30代です。 いつまでも長野のメンバーが世界の表舞台にいることは、いいとも悪いとも言いませんが、やはり若手の台頭がないことには彼らにも刺激がないでしょう。 それにどんな選手にも引退の時が訪れます。 ジャンプ選手は30代前半で引退することが多く、彼らもいつ引退するかわかりません。 もしそうなった時、後を受ける選手がいないことにはますます選手層が薄くなってしまいます。 今30代の彼らを除いて世界で戦えるのは19歳の伊東大貴ただ一人です。 彼はまだ若いので、やはりチームのまとめ役になれるような20代後半の選手と、20代前半~半ばの脂の乗った選手、そして若い力の伊東。 こう言ったチーム編成がやはり理想です。 実は去年も一昨年も、ブレイクした選手はいました。 しかしそれは国内戦に限った話で、どの選手もW杯で苦戦して、1年限りで元の鞘に戻ってしまいました。 古くは葛西、原田、船木など、若手が日本や世界を席巻した時代はどこへやら。 俺は技術的なことよりも、こちらのほうが憂慮すべき話題だと思います。 なぜなら、若手には時間があるからです。 技術的な課題も時間をかければ修正できるものです。 それに若い選手はいつ何時きっかけをつかむかわかりません。 それこそ、日本の伊東が典型的な例です。 彼は高校時代から国内のトップジャンパーで、注目されていました。 そして昨年、長野で開催されたW杯でベスト10に入り、今シーズン一気に大ブレイクしました。 彼は10代にしてW杯の表彰台に上り、現在日本人トップである、ランキング13位にいます。 日本ジャンプ陣の浮上のためには、若手の台頭、独自の指導理論の確立。 この二つが不可欠だと思います。 しかし、もう正統派にこだわってもいられません。 今回の世界選手権のノーマルヒル個人は、まったく無名であるロック・ベンコビッチ(スロベニア)が優勝しました。 そうです、ジャンプの世界には「一発」というものがあるのです。(悪く言えばまぐれ) この「一発」で飛躍、そのまま世界トップに上った選手も少なくありません。 と・に・か・く。 もうこんな消化不良な状況である日本。 一刻も早くこの状況を打破して欲しいものです。 とりあえず、最終種目である今日のラージヒル団体。 意地を見せてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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