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Qtaka日記 [全5件]
夢を見た・・・・。 時代遅れの戦闘機に乗っていた。 やはり思っていたとおりになった。 資源の無い国が、改憲して再軍備したって、戦前と同じではないか。 性能だけなら、世界トップレベルのハイテク軍備でも、肝心のアメリカからの石油が途絶えたら、やはり爆弾を抱えての特攻しかないのだろう。 1960年代、結果的には改憲を阻止した安保闘争。 2000万の署名を我々の親の世代は集めたそうな。 護憲と引き換えに、新しい日米軍事同盟を結んだのが岸信介。 アメリカに国を守ってもらって、以来玉虫色の憲法解釈で 自衛隊という軍隊を持ち、軍事費をあまり使わずに、 戦後復興し、おかげでこんなにも豊かで美しい国になった。 守ってもらった?豊かで美しい国? そうだ、岸信介は、豊かで美しい国の総理大臣の祖父だったけ。 甘かった、うまく利用されただけだったんだ。 誰れに?誰が?利用されたんだろう? 片道だけの燃料を積んで、夕焼けの海の上を飛んで行く。 やけに夕日がきれいだ。 妻を思い、子を思い、親を思い、国を思い、私は何処まで飛んでいけばいいのだろうか? 夕日のむこうで山高帽をかぶったオレンジ色のねこが笑った気がした。
閉塞感がたまらない。 狭い円筒形の空間の中に30分ほどじっとしていなければならない。 おまけに、頭部を固定され、そのうえ円筒形の縦格子の鉄仮面のようなもので、顔面を覆われる。 身体を固定され、棺桶を火葬場の窯に送るようにMRIの機械に入っていった。 カチカチ、ガガガー、ガリガリガリ・・・。 強力な磁場の変化を生み出すコイルから、まるで道路工事のような騒音が響いている。長い時間が過ぎ、静かになったと思ったら、 「今から造影剤を注射します。」 看護婦さんの声が妙に冷ややかに聞こえた。 腕の静脈から注射をされ、再び機械の中に送られた。 造影剤が心臓に到達したのか妙に動悸が激しい、呼吸が苦しい。 目を開けると、鉄仮面の格子のむこうにすぐ円筒形の天井がある。 閉所の恐怖が身体を貫いた。相変わらずのすごい騒音。 苦しい、息が!、心臓が!あれ?騒音が遠のいていく、耳が聞こえない。 目の前が真っ暗になる。意識が薄れてきた・・・。 気がつくと、私は診療所の天井から自分自身を見下ろしている。 私は上半身を機械に入れたままの姿で、技師達は何事も無いようにモニターを操作している。 そのうちに私は、診療所の天井を突き抜け、建物の屋上を通り過ぎ、どんどん空に上っていく。 堺の夜の町並みが見えた。ネオンがきれいだ。 暮れかけた紫色の空を登っていく。 雲を突き抜け、やがて眼下に光り輝く日本列島が黒い海に浮かんでいた。 「もう起きなさい、会社に遅れるよ。」妻の声で、泥のように疲れた身体を起こす。 眠い目をこすり、よろめきながら、朝の支度を整え、ミルクコーヒーを二杯、胃に流し込み、駅まで急いで歩いた。 駅の階段を上り終えたとき、動悸がおさまらない。 電車がくる、相変わらず満員で身動きが取れない。 次の駅についた時、どっと人が乗り込んできた。 急に私の頭の中に、乗客のありとあらゆる想念が流れ込んできた。 怒り、嘆き、悲しみ、驚き、苦しみ、欲情・・・。 心臓は激しく動悸を打ち始め、電車の中の空気が薄くなった気がした。 どんなに呼吸をしても、息が出来ない。目の前が真っ白になっていく・・気が遠くなっていく・・・。 「検査が終了しました。」看護婦さんの声がした。 あっ、終わったの?寝てたのかな? ふらふらと診療所を出て駅に向かった。 JRの列車に乗った。各駅停車なので乗客は少ない。 椅子に腰をかけ、ため息をついて、目を閉じた。 疲れた・・・。駅を3つほど通り過ぎたころ、目を開けた。 まわりに乗客は誰もいなくなっていた。 反対側の座席に、山高帽をかぶった、オレンジ色の猫が一匹座っていて、私を見つめていた
各駅停車は乗客もまばらで薄暗く、停車駅ごとに乗客は降りていって、誰もいなくなった。 脳神経外科の診察の帰り、羽衣、諏訪ノ森、北助松、松ノ浜と、今は埋め立てられて工業地帯になったが、昔は白砂青松の風光明媚な名勝であった所を電車は走っていく。 堺から泉州には都会のど真ん中に仁徳稜、応神稜など、森のような巨大な古人(いにしえびと)の墓場が点在する。 無数にある小さな古墳の一つをかすめるように電車がすり抜けた時、オレンジ色のねこが向かい側の座席に座っていた。 山高帽に燕尾服、ステッキを持ったそいつのエメラルド色の瞳を吸い寄せられるように見つめた時・・、頭の中で声がした。 「随分良くなったって?」 「えっ、ああ、少しましになった。けど、この病気はわからないことが多くて・・」 「あはは、猿より毛が3本ほど多い人間ごときには、まだまだわからないことがいっぱいある。」 「・・・、治るかな・・。」 「治るかって?休めばいいんだよ、休めば。」 「随分休んだけど・・・。」 「そんなの休みのうちに入らないよ。もっともっと・・・。不安定なんだ、生きてるってことは・・・。不便だろう?生身の身体は。休めばいいんだよ、休めば。」 「仕事もあるし、休んでばかりでは・・・。それに生きてるからいろいろ楽しみたいし、うまいものも食いたいし・・・」 「あはは、生きている?気のせいだよ、それは。狭い篭に閉じ込められてるだけさ。」 「ああ?生身の身体が狭い篭ってこと?」 「あはは、身体も心も閉じ込められてるんだよ、人間の世界そのものもね。狭い所で四苦八苦してる。あんまり、考えても意味が無いんだよ、そのうちにわかるときが来る、そのうちにね・・・・。」 降車駅につくころ、まどろみから醒め、駅前のネオンが目にはいった。
「体操おじさん」 地下鉄のエレベーターの扉が開く。 どっと人がホームにでてくる。 そこは、埃っぽい地下のホームで、北行きの2番ホームの乗り場。 行きかう人々のど真ん中で、サラリーマン風の初老の小柄なおじさんが体操しているのである。 にこにこと笑いながら、両手を左右に振って腰をねじっている。 毎朝、決まった時間に、出発する列車に乗ろうとせず、 黙々と同じ体操をしている。 昨日も、一昨日も、同じ時間に同じ場所で、同じ動きをしている。 人々は不思議なものを見るような顔をして通り過ぎていく。 おじさんの体操している空間は、まるで川の真ん中に突っ立った円柱で水が分かれるように、人々がよけて通る。 おじさんは、申し訳程度の髪の毛がのっている頭を脂汗で光らせ、 にこにこと笑いながら、延々と両手を左右に振って腰をねじっている。 今日も、いつもの時間に、エレベーターでホームに降り立った。 扉があいて蟻のようにぞろぞろと吐き出された人ごみに混じってホームに出たとき、 やはりおじさんはにこにこと笑ながら体操をしていた。 じっと見つめているとおじさんの姿が幻のようにぼやけて見えた。 ひょうひょうとした小柄なおじさんのいるところだけが、 木漏れ日を浴びたように、淡く光って見えた。 ひょっとしたら、体操おじさんの周りだけが、雑踏から切り離された異空間で、 おじさんは本当に木漏れ日を浴びながら、 森の中で体操をしているのかもしれない。
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