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カテゴリ:びしびし本格推理
「時計館の殺人」に続く,”館シリーズ”第6作だ。
○ストーリー 雑誌編集者の江南(こなん)は,記憶喪失の老人からある依頼を受ける。かつて老人が執筆したと思われる手記に残されている事件を解決してもらいたいと。江南と推理小説家の鹿谷がそこに見出したのは,建築家中村青司の設計した”黒猫館”を舞台にした殺人事件だった。この手記の内容は真実なのか?老人の正体とは? ------------------------------ ずっと綾辻の”館シリーズ”をタイムリーに読んできた熱心な読者の間では,どうもこの「黒猫館」は人気がない。「時計館」の過剰な盛り上りの後に「黒猫館」の”こじんまりぶり”を読んで,だいぶがっかりしているらしい。 僕自身は図書館の在庫の関係で,「時計館」の次に「水車館」と「人形館」を読み,それからこの「黒猫館」にかかった。特に「人形館」の後だと,何を読んでもたぶん「おー,これこそ綾辻ミステリーだぜー」となる気がするので,個人的には読んでいて楽しめた。 枚数にしても,殺される人数にしても,トリックにしても,”こじんまり”は間違いないんだけど,破綻はないし,過去の事件もあるし,けっして悪くないと思った。 ------------------------------ ただ”館シリーズ”では,毎回冒頭に館の平面図が掲載されているのだけど,今回の平面図を眺めて,「うーん」とは思った。フツーなんである。「迷路館」や「時計館」の平面図などは,「ありえねー」とは思う反面,ぶっ飛んでいるところにわくわくさせられた。フツーの建物の平面図を見せられて,中村青司設計と言われてもなあ。(ま,ホントはトリックが隠されていたんだけどね,例によって。) こじんまりしなくていいのに。やっぱり「時計館」の揺り返しなんだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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