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カテゴリ:きらきらポストモダン推理
森博嗣の”Vシリーズ”も順調に読み進んで,ついに第4弾だ。またまたボロアパート”アコギ荘”の4人組が大活躍をする。
○ストーリー 紫子が応募したクイズ番組に出演するために,紅子たちは東京にやってくる。ところがリハーサルの最中に,番組のプロデューサーがテレビ局の中で射殺されてしまったのだ。主人公の1人ネリナが,容疑者のアイドルの逃亡を手助けしたため,4人はいやおうなく事件に巻き込まれていく。プロデューサー,アイドルが連続して狙われ,犯人の次のターゲットはネリナになってしまった。番組の本番が始まり,収録の最中に犯人が現れる。果たして紅子は真犯人を暴けるのか? -------------------------- これまでの3作品で続いていた,○○家での連続殺人,というパターンがとうとう破られた。また作品の舞台が東京で,さすがに那古野の知己と偶然出会う,ということは起きなかったので,シリーズキャラクターは,珍しく4人組だけだった。少しアレンジを始めたのは,作者としてもシリーズが確定できて,新しい主人公たちを”遊ばせる”余裕が出てきたのだろう。 事実この作品では,女性3人組(?)が大活躍だ。紫子は大阪弁で,ネリナはピンクハウス系のファッションで,紅子はお人形様系ファッションでテレビ局からレギュラーのお誘いを受けるほどだ。 それでも単純に浮かれて遊んでいる関係ではなく,容疑者の逃亡の手伝いをしてしまったネリナに対して,それを心配して叱る紫子のシーンなどは,なかなかしっとりしてステキだった。 また中盤やや不調気味だった紅子が,スポットライトの中で事件を解くシーンも,なんだかテレビドラマのパロディぽくて面白かった。紅子のズレ具合は・・・うーん,ちょっと年令的に無理があるかなあ? -------------------------- さて例によって,推理小説としてはどうか?という部分だが,かなりイってしまっているキャラクターを用意することで,説明を強引に省いている。「そういう特殊な心理なんでしょう」で,動機の説明を付けるって,しかも犯人と共犯と2人も同時にそんなヘンな人がいるって,小説としてはズルくないか? まあヘンな人だったら,紅子もいたけど。 こーゆー終わり方って,読んでいる時は納得する,というか説得されるんだけど,こうして後から考えると,なんかだまされてたような気がするなあ。 -------------------------- 保呂草たち4人組も,こうして1人と3人に分けちゃうと,やっぱり女性3人組(?)の方が互いのことを信頼して,気遣っている,って印象だ。それがなかなかステキだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.05.30 00:38:26
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