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「なみだ研究所へようこそ!」で始まったサイコセラピスト波田キラコのシリーズの第2作目を読んだ。
○ストーリー 警視庁に新設された迷宮入り事件の特別捜査班に,新しいメンバーが加わった。10代の田舎の少女のような波田キラコは,民間から抜擢された優秀な心理学者という話だった。だが見た目どおり,言動が冴えず,トンチンカンなことばかり言う彼女に,捜査班の面々は早々に落胆する。だが彼らは知らなかった。彼女がこれから7件の迷宮入り事件を見事に解いてしまうことを! ------------- 前作と同じように語り手の「ぼく」・花山は,マジメが取り得の人物で,同僚にはスーパーセクシーな美女・前泊もいる。だがこの作品では,この2人以外に,うるさ型の高島警視,そして優しい親父さんタイプの久保刑事がいる。 高島警視が波田キラコに対してつらく当たるおかげで,花山のキラコに対する描写や扱いは,前作の「ぼく」・松本よりもマイルドだ。 久保や前泊はキラコと親しくなるので,全体的には和やかでコミカルな雰囲気で物語は進む。 ------------- とは言え,今回の舞台は警視庁で,扱うのは猟奇殺人ばかり。必然的に,バラバラ死体が登場し,事件はややグロが入ったものばかりとなるので,前作のように患者を救っておしまい,というワケにはいかない。 その手が苦手な人にはオススメできない。 ------------- ミステリーとしては,第1作同様に,本格とトンデモのギリギリのラインにあると思う。下手するとよりトンデモ系に近付いているかも知れない。 どうしても「ぼく」の視点で語られるので,最後まで探偵役の波田キラコが,凄腕のプロファイラーなのか,毎回偶然に助けられているのかが分らない。 「間暮警部シリーズ」は名前からしてトンデモ系でギャグだと分るからいいのだが,このシリーズでは鋭い推理を見せる場面もあり,適当にこじつけているらしい場面もあり,どっちつかずに少しイライラする。 波田キラコの過去も少しだけ語られたので,実は大掛かりな構成の大長編で,最後にスッキリと分るのかも知れない。それはないか,と思いつつも,次の巻を早く読みたいと思ってしまう。 ------------- 不満だったのが,第1作で毎回小ネタ的にあった心理学講座に代わる,プロファイリング講座がなかったことだ。前回のように「勉強しました」というカンジで提示されるかと思ったのだけど,さらっと会話の中だけで紹介されていて,講座という印象ではなかった。 シチュエーションコメディに近いシリーズなんだから,作り上げたパターンはなるべく踏襲して欲しいなあ。 ------------- 各編について簡単に述べる。 「涙の赤い薔薇」:ホステスが全裸で絞殺され,ダイヤの指輪が盗まれていた。彼女の口には赤い薔薇が活けてあった。・・・ギャグと思わせて,かなりヘビーなサイコドラマだった。前作と違うなあ。 「涙の冷蔵庫殺人」:寿司屋の主人が冷蔵庫の中から発見された。バラバラに刻まれて。・・・今回もサイコ。容疑者が後出しっぽく登場するので,全く予測ができない。 「涙の海岸物語」:人があふれる夏の砂浜で,ずっと動かなかった男がいた。たまたま声をかけた人の目の前で,男は・・・うっぷ,いろいろ想像してしまう。だがこの結末の急展開はひどいと思う。 「涙のエレベーターガール」:おじぎをしたエレベーターガールの首が落ちてしまった。・・・サイコは止まらないけど,ここまで行けばギャグとも思えるので,逆に怖くない。結末も,もうトンデモ系。 「涙の少女人形」:アイドルそっくりの人形を使ったお化け屋敷で,本物のアイドルが殺されていた。・・・夏だから怪談?短過ぎる上にロジックに説得力が無い。ギャグもしつこくて空回り,といい所なし。 「涙のクニタチーゼ」:豪邸の庭で発見された夫人の腕は切り離され,左右を逆に配置してあった。・・・これもサイコだ。あまりにも強引なニセの容疑者の登場と,納得のいかないロジックでマイナス。 「涙のサヨナラホームラン」:プロ野球の選手が死体で発見された。犯人は彼の皮膚を利用してそっくりな人形を作り上げていた。・・・最後までサイコだ。キモイ,ロジックが強引。後半は破綻が目立ち,読むのにちょっと苦労した。 [びしびし本格推理]カテゴリの最新記事
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