2299082 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

りぶらりだいあり

りぶらりだいあり

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

りぶらり

りぶらり

Category

Freepage List

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

The European region… 恵子421さん

Macがね なすび0901さん

読書とジャンプ むらきかずはさん
片手に吊革・片手に… もりのゆきさん
From おおさか mayu0208さん

Calendar

Comments

おきま@ Re:「PRIDE 池袋ウェストゲートパークX」石田衣良を読んだ(07/30) 約32年前に池袋のウェイターに騙されて風…
深青6205@ Re:「恩讐の鎮魂曲」中山七里を読んだ(08/16) こんにちは。御子柴シリーズはお気に入り…
りぶらり@ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) なすびさん,お久しぶりです。僕が本を買…
なすび0901@ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) 好きな作家の一人 図書館で借りないでア…
2014.01.07
XML
カテゴリ:ばくばく冒険小説
亡き伊藤計画が書いた冒頭の数ページとプロットを元に,円城塔が仕上げた大作を読んだ。

○ストーリー
フランケンシュタイン博士が創造した技術が転用され,世界中で産業用と軍事用の〈屍者〉が活用されていた。だが知能も低く,意思を持たず,運動機能も稚拙な〈屍者〉たちの中で,人間をしのぐ能力を持つ個体が生まれたという噂が流れ始めた。彼らが造ろうとしている「屍者の帝国」を探るために,ジョン・ワトソン青年は,ボンベイからアフガニスタン,そして日本へと向かう。彼らを待っているのは?

------------

真っ黒な表紙に,光沢の差で十字架が浮き出ている。そしてタイトルが「屍者の帝国」。いきなり威圧感たっぷりだ。

描かれる世界は,死体を蘇生させて労働力として活用する〈屍者〉が一般的となっている19世紀だ。一般的な〈屍者〉は,フランケンシュタインの怪物,現代的に言えばゾンビーのようにぎこちない動き方しかしない。

そんな存在がフツーに隣にいる不気味な世界を舞台に,「シャーロック・ホームズ」のワトソン,「ドラキュラ」のヘルシング教授,「風と共に去りぬ」のレッド・バトラー,「カラマーゾフの兄弟」のアリョーシャ,そしてネタバレになるから言えない多くのキャラクターが活躍する。

19世紀を舞台にしたスチームパンクSFはいくつもあるが,ここまで不吉なムードを漂わせたものは無かったのではないだろうか?

多彩なキャラクターの登場のおかげで,なんとか楽しめる。こうした展開を選んだ作者×2の選択は正しい。単純に〈もし・・・だったら〉という物語を楽しめるし,少しだけずらして見せた現実との重ね方が興味を引く。

オリジナルキャラクターだけでこの物語が展開されていたら,途中でギブアップしていたかも・・・笑

------------

〈屍者〉を動かすためには,ケーブルをつないで稼動プログラミング,つまりOSをインストールする。この発想には驚いた!

それでもぎこちない動きしかしないはずの〈屍者〉に,人間と同等あるいはそれ以上の動きをさせる謎の技術。それは画期的なプログラミング技術なのか?失われたフランケンシュタイン博士の技術なのか?それとも・・・?

ここが物語の謎となる。・・・もっともだいぶ難解な謎解きとなっていて,エンターテインメントとしては及第点に達していない気がした。

------------

読んでいてしばらくして気付いたが,『るろうに剣心』の和月和宏が連載中の『エンバーミング』によく似ている。19世紀末を舞台にしたゴシックホラーはいくらでもあるので,類似性は偶然だと思う。ちなみにこちらの短編版の発表は2007年とだいぶ古い。

どちらの作品も,『フランケンシュタイン』のテーマを膨らませたエンターテインメントだ。『吸血鬼』のスピンオフはあれだけあるのに,『フランケンシュタイン』は映画版の鈍重な怪物のイメージが強くて損をしていると思う。実はかなり文学的な作品なんだよね。

21世紀になって,日本でこのテーマの作品が2つも生まれるのって,とても面白いことだと思う。さすが19世紀のイギリス並みにサブカルチャーが花開いている国だ。

------------

なかなか万人にオススメ出来ないけれど,SFファンは必読だと思う。










お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2014.01.11 17:45:17
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.