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2014.08.13
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カテゴリ:びしびし本格推理
「誰か」「名もなき毒」に続く杉村三郎を主人公にした作品を読んだ。

○ストーリー
取材の帰りに路線バスに乗っていた杉村は,バスジャック事件に巻き込まれてしまう。事件は犯人・暮木老人の自殺で,その日のうちに解決したが,数ヵ月後,被害者たちのもとに宅配便で現金が届く。暮木の目的は何だったのか?そして現金は誰が送りつけたのか?調査を始めた杉村は,〈ST〉〈自己啓発〉といった日本ビジネス界の隠された歴史を知る。そしてそこに関わった人々の一部はマルチ商法の黒幕となっていた。

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この作品は,「誰か」「名もなき毒」に続く〈杉村三郎シリーズ〉の3作目だ。杉村は,〈今多コンツェルン〉の会長の娘と結婚し,入り婿のような形式で〈今多グループ〉の広報室に勤めている。グループの経営は,妻の兄たちが継ぐことになっており,杉村と妻はそこからは距離を置く約束となっている。そうした自由な立場を利用して,杉村は事件の調査に関わる,という設定だ。

まるでマンガのような設定や,杉田比呂美のポップな表紙から想像される内容とは異なり,どの作品も地道な調査からゆっくりと事件の全貌が明らかになってくるという,重厚な構成となっている。さらに言えば,一度ハッピーエンドになりかけた後に,ひじょうに後味の悪い結末が訪れて終わる,という流れも共通している。

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今回の物語は,杉村と同僚がバスジャックに巻き込まれるという派手な状況から始まる。そこから長いページ数を割いて,事件の背景に,他人の弱い心を操作する人々の存在があることが浮かび上がってくる。新人を組織の方向性に合うように教育操作するプロがいて,その人々の一部がマルチ商法の指南役として転進していった,という歴史については驚いた。

マルチ商法にはまってしまい,被害者だったのに加害者にもなってしまう,という人々の存在は一般的なので,僕自身も身近にいたことがある。いわゆる”うまい話”ってヤツだ。そうした人々を”欲の皮を突っ張らせて”と切り捨てることは簡単だが,宮部みゆきはこの大作を通じて,細やかにこの人々に対して優しい視線を注いでいる。

「火車」では被害者について語っていたが,この作品では被害者かつ加害者の救済,という複雑で現代的なテーマにチャレンジしている。なかなか意欲的だ。

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ただし,例によってバッドエンドが読者を待ち構えている。ネタバレ回避のために,ここでは内容については触れないが,それにしても毎回毎回このシリーズを読み終えると,ウツな気分になる。おかげで杉田比呂美のイラストを見ると,嫌な予感がしてしまうぐらいだ。

今回の結末はシリーズの大枠さえ変えてしまうようなもので,正直続編が出るのかどうかも危ぶまれてしまう。ただ杉田三郎のお人好しキャラって,けっこうこの大枠に合っていて,そこから外れてしまった時に魅力的でも能力があるワケでも無い。ハードボイルド探偵・杉田三郎なんて,ありえないなあ。

良くも悪くも,このシリーズはいつも通りだった。









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Last updated  2014.08.16 17:52:14
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