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2014.10.08
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驚きの退廃的な内容の小説を読んだ。

○ストーリー
日中は仕事に励みつつ,夜はSMクラブの女王に調教される男。自分の存在を確かめるために究極の苦痛と羞恥を求める男。マゾプレイを楽しんでいることにより,社会的に破滅することさえも,彼にとっては喜びなのか?ある目的のために人が一線を越えてしまう瞬間を見よ!

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TBSで土曜日の朝に放映されている情報バラエティ番組『王様のブランチ』で,唯一僕が観ているのが,ブックコーナーだ。まずは書店の週間売上げランキングから始まり,その後,ちょっとした本の特集があり,30分以内に終わる。

日本の場合,新聞には週に1,2回ブックレビューを掲載する。けれどもテレビ番組でそれをきちんと定期的に行っているのは他に無いように思う。書店での売上げという客観的な数字の後に,コメンテーターのレビュー,作家インタビュー,有名人へのインタビューなど,多少回によってばらつきはあるものの,テレビならではの立体的なコーナーとなっていて,いつも感心している。

時々,分かりやすく映画やドラマへのタイアップがあるのは,民放だから仕方が無いんだろうね。

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この作品は,『王様のブランチ』のブックコーナーでも大きな話題を呼んだ,日本の人気若手作家のスペシャル対談という回で紹介されたものだ。実は,少し前に読んだ村田沙耶香の「しろいろの街の、その骨の体温の」は西加奈子がオススメしていた。この本は,若手の中では純文学エリアで高く評価されている中村文則がオススメしていたものだ。

「しろいろの街の」の中学生の性描写にも戸惑ったが,今回の作品の主人公のSMプレイの克明な描写にも参った。両方とも電車の中で読むのに躊躇してしまうほどだった。

中村文則はこの作品を「笑えるし,スリルもある」と言っていたけれど,笑える部分ってどこなのだろうか?

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作品には2つの中編が収められており,いずれも主人公の男性がマゾヒストであり,SMクラブの女王様に相手をしてもらう。2人の主人公とも日中はきちんと仕事をしており,高い収入も得ている。最初の中編では証券マン,次の中編ではベテランアナウンサーが主人公だ。

興味深いのは小説の中で,2人の仕事の内容が,経験者なのか?と思ってしまうほどひじょうに克明に描かれているということだ。やや過剰と思えるほどの説明により,主人公の存在にリアリティが生まれている。この作家の手法なのだろうか?

マゾプレイも細かく描写されている。(笑)

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各編について簡単に感想を述べる。
「メタモルフォシス」:SMクラブの女王様に公の場で調教され,羞恥を与えられるが無上の喜びであるサトウ。彼は同じマゾ仲間が野外で死亡したことを知り,それがプレイの結果であるのではないかと疑う。ギリギリまで死に迫るプレイを求め,サトウの行動は一歩さらに一歩と激しさを増す。そしてついに・・・冒頭から犬になりきるプレイで始まり,SMとしてかなり過激な内容の描写が続く。SMとは何か,というマゾヒスト同士の議論もあり,なにやら敷居が高い印象だ。主人公は先の見えている証券マンであり,その境遇とマゾへと走ってしまう心情はうまくシンクロしている。

「トーキョーの調教」:ベテランアナウンサーのカトウは,声の職人に徹し自分の存在感を消し去り,正しく情報を伝える高い技量があった。彼はまた局が運営するアナウンススクールの講師も行っていた。カトウは自分の中の何かを確認するために,SMクラブの女性をホテルに呼び,マゾの調教を受け始める。だがそこで出会った女王様は,彼のスクールの受講生だった・・・こちらの中編の方が半年前に発表されているが,主人公も,彼の受講生の女性も美男美女であり,SMプレイの内容もソフトで読みやすい。主人公たちの関係の緊張感が面白い。で〈トーキョーのチョーキョー〉ってダジャレ?













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Last updated  2014.10.11 18:28:29
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