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2016.06.14
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カテゴリ:ばくばく冒険小説
木下半太の家族小説を読んだ。

○ストーリー
音川家は時代遅れのハードボイルド作家の父,海外ドラマを観るだけの母,ニートの兄,男にだらしない妹で構成されていた。だが元建築家でダンディな祖父にボケが始まり,自分が22才の若者だと勘違いしてトラブルを起こし始めたことにより,音川家全員が少しずつ変わり始める。家族の幸せとは,いったい何なのか?

-------------

木下半太の作品の登場人物たちは,相変わらずパワフルだ。大阪の人々がパワフルなんじゃないかと思っていたが,今回は横浜が舞台なので,これは作者が望んでいる世界観なんだろうなあ。

ジェットコースター・サスペンス,あるいは舞台劇のようなテンションの小説で評価されている木下半太だが,この作品は彼が家族小説を書くとどうなるか?という点で注目されている。

現代の作家が描く,家族小説と言えば;
重松清が書けば・・・チカラの無い父親,幻滅した母親,いじめにあっている息子,
奥田英朗が書けば・・・作家の父親,冷たくなった母親,父親と愛人関係にある家庭教師,その家庭教師をストーカーする息子,
辻村深月が書けば・・・教師の父親,学習しない母親,反発して自立する娘,
が,描かれると思う。

どうしても家族というものが,伝統的,安定,平凡,と言った既成概念に縛られがちな描写をされることが多いので,それを壊すチャレンジをしている作家も,反面それがしっかりと存在することを期待しているような部分が見られる。

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登場人物たちが相手をだまし合い,殺し合う作品を書いてきた木下半太の場合だと,家族小説を書いても,家族の全員に大ピンチが訪れる。

まあ,それを書いてしまうと,ネタバレになるので避けるが,とくに父と母に,それぞれ家族や夫婦を続ける意味があるのか?というほど大きな事件が訪れる。兄と妹にも事件は起きるのだけれど,基本登場人物が自立するのが当たり前の木下ワールドだと,彼らの事件とその乗り越え方は,ごくごく普通だ。

ほぼ崩壊していた音川家だが,家族のそれぞれが更なる身勝手な行動を取ることで,もう修復不可能と思える状態になる。だが,ここで呆れられつつも愛されていた祖父にボケが始まる。

木下半太流のフィクションは,ボケによりほぼ80才の祖父が,自分を22才だとの勘違いを始め,ストリート系ファッションにヤンキーに変わらせることだ。ボケてもパワフルな祖父を心配し,会話をし,心を開いた音川家の人々は,身勝手な行動からさらに次のステップへと進み,家族として新しい関係を築くことになる。

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この作品の危険なところは,木下半太のサスペンス小説のファンからは,物足りないと言われ,普通の小説のファンからはリアリティが無いと批判されること,にあると思う。

けれども僕は,劇場的な爆発的なエンディングに逃げずに,優しさを持って音川家の不器用な人々に寄り添った終わり方は好きだ。

大人な木下半太の側面を見た気がした。相変わらず万人にはオススメ出来ないんだけれど,良い作家だと思う。










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Last updated  2016.06.14 22:06:50
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