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りぶらり@ ネタバレって なすび0901さん >ネタバレしてなくて…
なすび0901@ Re:「ペテロの葬列」宮部みゆきを読んだ(08/13) 読んではいけない・・・と思いつつ読んで…
りぶらり@ 言いにくい(笑) なすび0901さん >>「これ観てる」っ…
りぶらり@ 週末に残しておくべきお金 なすび0901さん >そこそこなるよ。 …

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ばくばく冒険小説

2014.07.26
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カテゴリ:ばくばく冒険小説
〈化物語シリーズ〉の最終パートとなる「終物語」の第2部を読んだ。

○ストーリー
アララギ暦と仲間たちの物語が終焉へと向かう中,隠されていた逸話が語られる。夏休みが明ける時,暦は呼び出され,後輩の神原駿河と謎の鎧武者と戦うことになる。鎧武者の正体は?そして,それと暦の決闘を見届ける人々が最後に取る行動は?

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やはり来たか?・・・と言うか,かなり早々に発表されていたけど,前・後の2編とされていた「終物語」は,前中後の3部作となった。

なぜ,この中編が突然挿入されたのか?・・・たぶん理由は2つある。

1つは,この中編が正しくは最終シーズンではなく第2シーズンで語られるべきであった逸話を,拾い上げて補っている内容であるから。

もう1つは,このままでは前編に続き,忍野扇という新しいキャラクターで後編も終始してしまうことへの読者側からの違和感があり,それを緩和するために,これまでのヒロインである神原駿河と忍野忍をフィーチャーしたのだと思う。

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さてこの作品で,ヒロインの1人,伝説の吸血鬼・キスショットのかつてのカウンターパート,400年前に死んだはずの侍が蘇る。さらにそのことが,これまでのシリーズで語られてきた怪異のほとんどが,この存在が理由だったことが分かる。

ありがちとは言え,遅れてきた説明的な設定だ。これって,必要だったのかな?リアリティや整合性を求めているシリーズじゃないしなあ。

余計ないちゃつきと会話,寄り道や無駄話があるのは,いつもの通り,後半になり見えてくるのは,400年前の侍と主人公・アララギ暦の決闘だ。つまりキスショットのカウンターパート,第1号と第2号の決闘となるのだ。

単純に言えば,同じ立場,同じ能力同士の戦いとなるのだが,復活を遂げ,あっと言う間に特殊能力を取り戻し,生来の侍としての能力を持つ第1号に比べ,アララギ暦は特殊能力を失っており,もともとの能力であるただのダメダメ高校生というだけだ。

圧倒的に不利な状況・・・まあ,いつもだけど・・・の中,主人公が取った行動とは?でも大事なのは,行動じゃなくて,いろいろな登場人物の気持ちの再確認だったと思う。ふむふむしんみり。

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え?ここでこの物語?と言われていた「終物語」前編での,読者の不満を緩和し,これまでの物語の不足部分を語り,やや整合性に欠けていた部分を調整するのが,この中編の役目だと思う。

良くも悪くも,この作品を経て,これまでの〈化物語〉は収束を向かえる様相を見せる。まあ,タイミングは,いろいろずれている気はするけどね。












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Last updated  2014.07.27 19:24:58
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2014.07.23
カテゴリ:ばくばく冒険小説
三重の山奥・神去村に放り込まれた現代の若者の物語第2弾を読んだ。

○ストーリー
親に騙されて,三重県の山奥の村で林業の見習いを始めた平野勇気。それから1年と少しが過ぎ,勇気は仕事と村に愛着を持つようになった。神去村の歴史,過去,風習についても教わり,いよいよ憧れの直紀との恋愛も進展する・・・のか?

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「神去なあなあ日常」のストレートな続編で,舞台となる三重県の山村・神去村も,登場する人物も前作をそのまま全て踏襲している。主人公の青年・平野勇気の恋愛の進展と,彼がゆっくりと知る神去村の過去や風習が語られる。

あまりにも前作の枠組みから出ていなくて,正直驚いた。3年後に発表された続編なのだけれど,物語は前作のエンドからすぐ始まっている。ヨキに子供が出来たり,じいさんやばあさんが死んだり,会社に新人の女の子が入ったり・・・というようなことは一切無く,そのまま前作後半のテンションのまま,物語は語られる。

残念ながら,前作ほどには驚きや興奮が無かった。前作が拡張されたと言うよりは,そのまま延長されたという印象で,続編としては無難ではあるが,発展が足りないと思った。

こんなんではシリーズがこの2作で終わってしまうのもナットクだ。

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勇気が勤める中村林業の若社長・清一,その息子の山太少年たちの真面目さ&素直さも微笑ましいが,主人公・勇気の真っ直ぐ度合いもかなりのもの。ちょっとバカだけど,素直だし天然だし,こういう若者好かれるだろうね。

ほのぼの(笑)。

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各編について簡単に感想を述べる。

「第一夜 神去村の起源」:勇気は居候をしている家のシゲばあちゃんから,神去村の成り立ちを語る昔話を聞かせてもらう。・・・神去(かむさり)村の名前にピッタリあった昔話があったとは?すんなりと前の作品の世界に戻れて安心した。

「第ニ夜 神去村の恋愛事情」:神去小学校の先生・直紀との関係が進展しなくて焦る勇気。彼は先輩のヨキとみきさんがどのように育ち,どのように夫婦になったかを聞く。・・・前の作品では謎の美女として登場した直紀だが,今回は描写が少なくて面倒臭いキャラみたいになっていない?

「第三夜 神去村のおやかたさん」:勇気は,自分が所属している中村林業の若い社長・清一の真面目な性格に感心する。・・・次の短編のマエフリ的な内容。要るのかこれ?

「第四夜 神去村の事故、遭難」:勇気が仕事場で捻挫をしたため,ヨキと勇気は山の中で一晩を過ごすことになる。勇気は,かつて神去村が経験した事故についてヨキに尋ねてみる。・・・いよいよ清一とヨキの両親たち神去村の多くの人々が巻き込まれた事故のことが明らかになる,,,のだが,え?神去村で災害があったんじゃないの?なんか思っていたのと違う。

「第五夜 神去村の失せもの探し」:ケガの治療で仕事を休んでいる勇気は,大事なものを失くした山根の親父と一緒にお稲荷さんに行く。さらに直紀のために・・・いろいろホンワカして,一番好きな短編だ。

「第六夜 神去村のクリスマス」:清一親方の息子・山太が小学校でクリスマスパーティーのことを聞いてきた。勇気たちは山太のために,クリスマスパーティの準備をする。・・・勇気が名古屋にプレゼントを買い出しに行くシーンが好き。

「最終夜 神去村はいつもなあなあ」:清一の家でクリスマスパーティが開催される。モミノキの代わりに赤松,オーナメントの代わりに七夕飾り,超合金の代わりに木製ロボット,いろいろ違うけど,たまらなく温かい時間が過ぎる。ところが勇気と直紀は?・・・クリスマス編の後編で,ラストの短編だ。とんちんかんなパーティも楽しいし,真っ直ぐな直紀との恋愛も微笑ましい。まあ,これで終わりが平和で良いかな?













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Last updated  2014.07.26 13:16:41
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2014.07.03
カテゴリ:ばくばく冒険小説
三崎亜記が写真家・白石ちえこの作品にインスパイアされて書いた短編集を読んだ。

○ストーリー
10年前のあの災害により,〈私〉の故郷は海の底に沈んでしまった。妻を伴い20年ぶりにそこを訪ねた〈私〉は,変わり果てた風景を目にして黙り込んでしまう。けれども海の底では・・・

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日常から地続きの異世界を,ノスタルジアたっぷりに描く三崎亜記の短編集を読んだ。表紙を手始めに30枚ほどの写真が掲載されているのだが,これが驚くほど三崎亜記の世界にフィットしている。

写真はモノクロで,廃墟や路地裏など古い時代を感じさせる風景が写っている。全て白石ちえこという写真家の作品だ。

後から気付いたのだが,この短編集は,まずは写真があり,それに触発される形で三崎亜記が小説を書いているのだ。だからこそ,たった1頭のメリーゴーラウンドの馬,電柱に付けられた巣箱,と言った小説の場面とマッチした写真が掲載されている。

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短編たちはいつもの三崎亜記作品で,灰色の日常とかすかな夢が語られる。会社,動物園,住宅街などの日常にふと出てくる違和感を拡大して,不思議な味わいのあるファンタジーにまとめている。

初期の頃のぎこちなさもだいぶ減り,安心して読める。この作品では少し新しい味わいも見えてきた。

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各編について簡単に感想を述べる。
「遊園地の幽霊」:〈私〉はよく遊園地の夢を見る。調べてみると,今住んでいる所にはかつて遊園地が存在し,この地域の人々はひんぱんにこの夢を見るというのだ。悩んだ末に〈私〉は・・・短編の内容にピッタリの写真が掲載されていて驚いた。底辺に流れる感情は間違いなく三崎作品。冒頭の短編にふさわしい。

「海に沈んだ町」:〈私〉は,20年前に捨てた故郷を妻と訪問する。町は天災の〈海〉により,海の底に沈んでいた。2人は遊覧船に乗り,町があった場所を一周する。・・・まるで東日本大震災や,福島第一原発の被災地のことを描いているような短編であり,さすがは表題作品というところ。

「団地船」:小学校時代に仲が良かった少女が引っ越していった〈団地船〉が寄港した。〈私〉は30年前に別れたきりの少女のことに思いを馳せ,〈団地船〉を訪問するが・・・行政的なリアリティを加えて,不思議な状況に説得力を与えてしまうのは,三崎亜記の持ち味だ。苦い展開となる。

「四時八分」:その町では5年前から4時8分で時間が止まっている。町を通り抜ける必要があった〈私〉を案内してくれたのは・・・ワンアイディアの短編。

「彼の影」:夏至を機に影が反乱を起こす。いつもと異なる影の動きや形状に,人々は驚いたが,やがてその影響の少なさに話題にもしなくなった。少し遅れて〈私〉の影にも異変が起きた。なんと影は,〈私〉ではない男性のものとなっていたのだ。〈私〉と男性の影の共同生活が始まる。・・・ちょっとコミカル,そして寂しい。いい短編だと思う。

「ペア」:〈私〉はペアを解消することを決心する。この世界では誰もが見たことの無い人とペアを組み,精神的な支えとなるだけで,そのまま会うことも無く生活を続ける。実りの無いペア生活に見切りを付けた〈私〉だが・・・これは間違いなく現実世界のアレの風刺だ。最後の一ひねりは三崎亜記としては新しい作風だ。

「橋」:住んでいる地域の前の小さな橋は,予定の通行量を満たしていない。市役所はそれを理由に,より簡素な橋へと架け替えることを通告してくる。・・・出た!リアルな市役所職員。ひじょうに不安感の残る終わり方。

「巣箱」:家に付いていた巣箱を〈私〉は急いで駆除をする。町では巣箱の侵食が進み,住人と行政が協力した駆除が必要となっていた。だが,〈私〉の家では・・・映像作品にしたら面白そうな短編。ビミョーに怖い。

「ニュータウン」:かつて反映したニュータウンは,世代交代と共に衰退しつつあった。ニュータウンの絶滅を防ぐために,政府はそこを鉄条網で囲い,住人を保護することにする。それでも止まらない衰退を止めるために政府が取ろうとした施策とは?・・・ニュータウンとその住人を絶滅保護種として扱う!この視点が三崎亜記だ。この作品の中では長めの短編。








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Last updated  2014.07.05 17:55:20
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2014.07.02
カテゴリ:ばくばく冒険小説
ミステリーの傑作として名高い岡嶋二人の作品を読んだ。

○ストーリー
ガンで余命数ヶ月を宣告された男が,8年前に起きた事件を思い出して手記を記す。そこには,5才だった彼の息子・慎吾が誘拐され,身代金の金塊を抱えて,男が日本を横断した物語が記されていた。さらに12年後,ある少年が誘拐される。開放の条件の身代金のダイヤを運ぶために,犯人に指名されたのは,25才の研究員になっていた慎吾だった。だが複数の警察官の監視の下,10億円のダイヤは消えてしまった。果たしてそのトリックは?

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冒頭から緊迫の誘拐事件が始まる。次々と繰り出される犯人の斬新なテクニックが興味深くて,どんどんと読み進んでしまう。シンプルな文体で,人間描写は少ないが,きちんと必要な情報は伝わってくる。

過去と現在の2つの誘拐事件が語られる。ページの比率は1対5くらいで,圧倒的に現在編が多いが,双方ともアイディア満載で,先が全く読めない。とてつもない量のアイディアが,この作品1つに盛り込まれている。

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実は過去編と現在編の大きな差は,過去編は被害者の視点から,現在編は犯人の視点から物語が描かれていることだ。

とは言え,読者に犯人の計画が明かされているワケではない。結局のところ,読者の立場は,ダイヤ運搬役の慎吾を護衛している警察官のように,「うん?この指示はどういう意味だ?」とおろおろと考えている,というのに近い。

視点は異なるものの,途中までは作者に良いように翻弄され五里夢中状態になる。これもまたミステリーの楽しみの1つだと思う。

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個人的には,ルシアン・ネイハムの「シャドー81」という冒険小説を思い出した。この作品も,途中にいくつも危険はあるものの,淡々と計画を進める犯人が,最後には勝利する,というクライムノベルだ。

この作品の主人公も,ひじょうに緻密な計画を,神のような素晴らしいタイミングで進めていく。

こんな主人公が日本の小説にもいたとは驚いた。

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この作品は1988年に発表されたので,当然今日の視点で見れば,いろんな技術が陳腐化している。それでもまったく作品の魅力は薄れておらず,いくつかの機器と名称を今日使用されているものに置き換えれば,少しも問題なく物語は成立する。

手に取ったら止められなくなる魅力に満ちている悪魔のような作品だ。

日本のベストオブベストだと思う。圧倒的にオススメだ。














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Last updated  2014.07.02 21:49:00
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2014.06.30
カテゴリ:ばくばく冒険小説
「暗黒神話」という大傑作伝奇マンガを40年前に発表し,奇才として有名な諸星大二郎の〈妖怪ハンター〉シリーズの新刊を読んだ。

○ストーリー
民俗学者・稗田の生徒・天木薫は,夢を売り買いする風習があるという夢見村を調査に訪れる。薫は村で,妖怪〈夢盗り男〉に追われる夢を見る。そして目覚めてみると,村では〈夢盗り男〉に襲われて死んだ人が出ていた。薫は謎の儀式〈夢交換〉で,その悪夢を自分から引き離そうとするが,村ではさらに・・・

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表題作「夢見村にて」と「悪魚の海」の2編が収録されている。〈妖怪ハンター〉稗田礼次郎はあまり活躍せず,彼の弟子にあたる少年たちが主人公となっている。そうした不満はあるものの,やはり正統なシリーズの新作が発表されるのは単純にうれしい。

伝奇ホラーの楽しさは,歴史的な裏付けや因縁を作品に取り込むことで,「ひょっとしたらこれはありえるかも知れない」と思わせることだ。まだまだあちこちに残る日本の変わった風習や,奇妙な遺跡をきっかけにして,そこから広がる物語には深いロマンがある。

長編となり世界の命運を語るような物語だと,あまりにも現実から離れてしまうので,旅先で経験した不思議な出来事,という程度のこのシリーズは,なかなか良いバランスだと思う。

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諸星大二郎はお世辞にも絵が上手いとは言えない。昭和の絵物語のイラストのようなおどろおどろしいタッチ,執拗に書き込まれた背景は,正直怖い。これで40年間現役なのは,やはり突出した独自性があるからだろう。

30年前から執筆をしている諸星大二郎版の「西遊記」,「西遊妖猿伝」は完結しないのでは?と言われているし,まだまだ頑張ってもらいたい作家だ。

この作品は,ソフトカバーとは言え200ページを超える本なのに,2編しか収録されていないのは残念だ。それぞれの短編も,もっとコンパクトに出来るはず。前巻から5年も待たせたのだから,もう少し濃いものを読みたかった。

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各編について簡単に感想を述べる。
「夢見村にて」:夢の売り買いをする風習があるという夢見村の調査に一足先に出向いた天木薫は,早速,村の人々に新鮮な夢を売ることを求められる。だが,夢の中にいるはずだった妖怪〈夢盗り男〉が現実に現れ,村の人々を襲い始める。果たして,その真相は?・・・山の物語担当の天木薫と美加の兄妹が主人公の短編だ。〈夢交換〉という怪しい習慣,土偶風の仮面を被った祭,と期待通りの展開となる。ラストはファンタジー風。稗田先生は活躍出来ず。

「悪魚の海」:小島渚は夜の海岸で,海女の修行をしているはずの中学時代の友人・後藤カオリと出会う。カオリは海女の修行がつらくて逃げ出していたのだが,海から呼ぶ不思議な声を聞くと,戻って行ってしまう。心配した渚は,ボーイフレンドの大島潮とともに,カオリが暮らしているはずの集落へ出かけるが,そこはひどく排他的で追い払われてしまう。渚たちは,知り合ったジャーナリストと共に,夜の闇に乗じて海女小屋を目指す。そこで彼らが見たものとは?・・・海の物語担当の大島潮と小島渚が主人公の中編だ。訪問者を嫌う村人,海から来る謎の生物,漂う悲哀,と,これまた海の〈妖怪ハンター〉のパターンの展開となる。まあ,こうなるよね,という終わり方。稗田先生は登場出来ず。手紙ぐらい書いてあげればいいのに。










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Last updated  2014.06.30 21:57:15
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2014.05.28
カテゴリ:ばくばく冒険小説
「グラス・ホッパー」などにつながる伊坂幸太郎の作品を読んだ。

○ストーリー
〈わたし〉は40年前に一度だけ会った人の葬儀に出席する。彼は〈わたし〉の殺人の罪を被って,数年間服役をしてくれたのだ,「すべて忘れろ」とだけ言って。彼はなぜあのような行動をとったのか?40年越しの謎が今解かれる。

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「グラス・ホッパー」「マリア・ビートル」の世界で登場した殺し屋〈首折り男〉や,「ラッシュライフ」「重力ピエロ」などに登場した探偵兼空き巣の〈黒澤〉が活躍をする連作短編集だ。

とは言っても,全体を貫いて長編に変化させるような嗜好は無く,あくまでも微妙につながっている〈伊坂ワールド〉という感じだ。

最初の短編は,伊坂幸太郎が監修したマンガ作品の「Waltz」の内容と重なる部分がある。なんだか〈首折り男〉が何人も存在するようになってしまうが,能力はシンプルな体力なので,それはそれでありかも知れない。

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ちょっとした謎を軸にぐっと物語が広がる展開,お人好しでお節介な人々,一方で理不尽な暴力の存在,そして訪れる少しだけスッとする結末。この辺りは見事な伊坂幸太郎節とでも言うべき安定感だ。

ただ読み終えてみて,どこか物足りないと感じてしまったのも事実だ。連作短編の体裁と取っているが,あくまでも深みは短編レベル。主人公にとっての事件は起きるが,たった7編の短編集でいじめの話が3つもあったり,など,深みも広さもどちらも足りないという気がした。

あとがきを読んでみて,バラバラの短編を連作になるように改変したと書いてあり,すとんと納得がした。やっぱり。

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各編について簡単に感想を述べる。
「首折り男のための周辺」:いじめられている少年・中島,〈首折り男〉に間違えられた男・小笠原,隣人を〈首折り男〉ではないかと怪しむ人・若林夫妻,彼らがふとしたきっかけで日常を変える事が出来たのは・・・いるのかいないのか分からない〈首折り男〉が,逆に事件を解決してしまう。マンガ「Waltz」で語られた二代目〈首折り男〉の誕生が違うバージョンで再現される。

「濡れ衣の話」:丸岡直樹は息子を車で轢き殺した女と再会してしまった。少しも反省をしていない女の言動に,丸岡は激昂してしまう。その後に現れた男は,丸岡にある提案を持ちかけるのだが?・・・〈首折り男〉の過去が見えるらしいのだけれど,この物語は時空のねじれ?テイストが分からない。

「僕の舟」:老年となった妻は,若い頃に経験した数日だけの銀座の恋人について知りたいと願う。・・・ベタな展開なのに,それをスタイリッシュにまとめるのは,さすが伊坂幸太郎だ。原子記号でまとめるなんて素敵過ぎるよ。

「人間らしく」:探偵・黒澤は作家・窪田の家で育てられているクワガタを見せてもらい,〈神の手〉について考える。一方で塾でいじめにあっている少年は不思議な体験をする。・・・うーん,オチ無しですか。

「月曜日から逃げろ」:探偵・黒澤は,裏稼業のことで番組制作プロダクションの男の仕事の依頼を受けざるを得なくなる。それにより黒澤はさらに弱みを握られてしまうのだが・・・伊坂幸太郎らしいトリッキーな作品。いつもの味だ。

「相談役の話」:作家・窪田は会社を経営する知人から,部下が事故死をしたことを聞く。だがその後,その部下と敵対していた者たちが次々に不可解な死を遂げたと言うのだ。これはタタリなのか?・・・基本は勧善懲悪ってのが伊坂幸太郎作品だよね。

「合コンの話」:自分の誕生日だと言うのに彼女がコンサートに行ってしまった,ということを不満に感じ,サラリーマンの尾花は友人の合コンの誘いに乗る。だが3対3の合コンのメンバーの中に,尾花の元カノの江川がいることに驚く。実はこの合コンはある目的があって開催されたのだが,全く別の奇跡で幕を閉じる。・・・導入部の習作みたいなメタフィクションみたいなパートは余計だと思う。そのイヤな部分を全部打ち消してしまうほどいい話だ。それぞれの思惑を抱えている6人の男女が,最後にはいつもより幸せな気持ちで家路に着く,たったそれだけの話なのに,それをこれほど見事に語るとは!!まさに奇跡だ。










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Last updated  2014.05.28 22:37:51
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2014.05.04
カテゴリ:ばくばく冒険小説
〈化物語シリーズ〉の最終パートとなる「終物語」の第1部を読んだ。

○ストーリー
アララギ暦は,後輩に紹介された転校生・忍野扇に,学校を案内しようとする。暦と扇が視聴覚室の隣にある見慣れない教室に入ったところ,2人は閉じ込められてしまった。誰もいない教室を調べているうちに,暦は2年前にここで起きた事件を思い出す。どうやらその事件の真犯人を見つけないと,2人はここから解放されないようなのだった。暦は全てを思い出し,そして事件を解決することが出来るのか?

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〈化物語シリーズ〉は,西尾維新の人気シリーズだ。主人公であるアララギ暦が,様々な怪異に苦しんでいる少女と出会い,その呪いや因縁を解く,というのが物語の基本的な流れとなっている。

主人公はやる気のない高校生,事件に巻き込まれるのは揃いも揃って少女たち,という,ある意味恋愛ゲームの王道パターンだ。怪異から開放された少女たちは,そのまま主人公の周りをウロチョロする,というのもそのパターン。

ファーストシーズン,セカンドシーズンとそれぞれ6巻が刊行され,現在はファイナルシーズンの6巻(予定)が刊行中だ。なかなか長大なシリーズとなっている。この作品は,ファイナルシーズンの3巻目となっている。

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この作品の特徴は,ミステリー仕立てとなっていることだ。いつものように怪現象が起きるのだが,それはあくまでも現実での記憶を思い出すことと,ロジックを駆使することで解決される。

第1章「おうぎフォーミュラ」では,無人で閉ざされた教室の謎を解く。主人公・アララギ暦と謎の少女・忍野扇の2人は見事に謎を解き,教室から脱出をする。その後,その教室は消えてしまい,そこに行ってもただの特別教室の準備室があるだけだった。んんん?ということは,確かに不思議な現象はあり,解決もしたのに,それを起こしていた怪異そのものは何だったのか明かされない?

これはどういうことだろう???

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第2章「そだちリドル」は,よりシンプルだ。第1章で2年前の高校1年生の時の謎解きをした主人公たちは,さらに時をさかのぼり中学1年生の時の謎解きに挑む。ここには怪異は介在せず,ロジックと聞き取り調査で主人公たちは先へと進む。

第3章「そだちロスト」は,ザ委員長・羽川翼が全面的に主人公に協力をして,中学時代後半の失われた謎に挑む。だがそこから明らかになったのは???

2つともミステリーなんだけど,常にトリックスター的な忍野扇がいて,結果が出てもそれをはぐらかすので,どこかスッキリしない。

西尾維新ミステリーとしては,懐かしいタイプなんだけどね。

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この作品は,長いシリーズの終盤の作品なのに,新しい登場人物について丸々1巻を費やしていて,それだけでも驚きなのに,さらには怪異が表立っては登場しない。まったく新しい趣向だけど,これはひょっとしたら次の巻で,ぐるりと覆されるのだろうか?

巻数少ないのに,こんなことしていて・・・と思うファンも多いと思うが,きっと何か展開があるんだと・・・あるといいな。(汗)















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Last updated  2014.05.05 16:08:02
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2014.05.01
カテゴリ:ばくばく冒険小説
現実と幻想が入り混じる華やかさに満ちた恩田陸の作品を読んだ。

○ストーリー
近未来の日本は,日本文化の伝統に回帰しようとする平常京のミヤコ民と,旧来の消費経済を続けている帝国主義者に二分されていた。ミヤコの名門・春日家の若手のリーダー・紫風(しふう),従妹で和風美女の萌黄(もえぎ),同じく従妹で男勝りの美少女・蘇芳(すおう)は,同じ高校に通っていた。だが生徒会長選挙の大本命の紫風に対抗して,帝国主義者・及川道博,そして謎の勢力〈伝道者〉が妨害工作を始める。事件は紫風と萌黄の誘拐,そしてミヤコの運命を揺るがす事件へと発展する。徐々に見えてきたミヤコ,そして日本の未来とは?

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恩田陸作品はバラエティに富んでいる。繊細な少女たちが登場する学園ミステリーモノがあり,大人の騙し合いが重層的に続くサスペンスがあり,不安がどんどんと大きくなるホラーファンタジーがある。それとは別に,どこまでが本気でどこまでが冗談なのか分からない謎の不思議な作品群もある。

この作品は明らかにそうした系統の作品だ。主人公たちは,未来の日本にある平常京のスーパー高校生たち。美男美女で,成績優秀,そして剣士というよりは忍者のような能力。それだけでも十分マンガの世界だが,それに加えて帝国主義で蘇芳に言い寄る金持ちの御曹司・ミッチーこと及川道博(いいのか,この名前?),フランスの大ブランド会社のピンク色の双子の娘,春日家の中に潜む裏切りの可能性,とにかくきらびやかな世界が展開する。

同じ恩田陸で,最も近かったのは「ロミオとロミオは永遠に」という作品だろう。こちらも十分ぶっ飛んだモノだったが。

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作品の明確なカラーは,和風キッチュだ。かつての京都のような平常京,一方で経済が発展した大都市・ナゴヤ。真剣を振り回す美少女たち,その一方で続いている生徒会長選挙,道場破り,アイドル親衛隊・・・アニメやゲームのような記号があふれている。

このように趣味を前面に出した世界で作品を埋めるのは,昨今のライトノベルと同じ特徴なのかも知れない。ただ80年代のマンガで定番だったような記号を並べられても,どこに共感をして,どこを突っ込めと言うのか?

なかなか困る。

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例によって,終盤は謎が深まるばかりで収拾が付かなくなる。もうダメだ,と思った瞬間に,なんとか軟着陸をした模様。

それがなかったらホント,商業レベルではないな。











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Last updated  2014.05.04 18:32:12
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2014.01.11
カテゴリ:ばくばく冒険小説
「天使の回廊」でデビューをした中村弦の2作目を読んだ。

○ストーリー
路線廃止となった鉄道,つまり廃線をたどって歩くことが趣味の〈ぼく〉・牧村は,趣味を通じて平間という男性と知り合う。たまたま同じ街に住んでいた2人は,ほどなく世代を超えて定期的に飲む関係になる。だがその平間が蒸発してしまった。〈ぼく〉は,同じように彼を慕っていた倉本菜月という女性と共に,彼を捜し始めるが,徐々に彼が「まぼろしの廃線跡」へ旅立ったことを知る。2人は,平間の足跡を追って,ついにその廃線跡を踏破する旅に出るのだが,そこで彼らを待っていたのは?

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廃線ファンという程度の主人公は,鉄道マニアの平間という年配の弾性と知り合いになる。2人はそれ以上に互いの知己を教え合わなかったので,主人公が知っている鉄道マニアは,紳士的で知識も話も豊富というものだった。

鉄道ブームの現在,ホームから一般人を追い払おうとしたり,不法侵入をしたり,撮影のために勝手に木を切ってしまったり,とマナーの悪い鉄道マニアのことが多く報道されるので,この紳士・平間とはギャップを感じてしまう。

それを作者も分かっていたのかも知れなくて,平間の消息を知るために,主人公と倉本女史が訪ね歩く鉄道マニアたちは,クセのある人物が多い。

廃線,鉄道,1人旅が好きな人に,間違いなく喜ばれる作品だけれども,少しだけ鉄道マニアには懐疑的な気持ちが透けて見える気がした。

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物語は,東京で平間の消息を追う第1部と,実際に「まぼろしの廃線跡」に踏み入る第2部で構成されている。

いろいろな登場人物と会い,じりじりと平間の目的を探る第1部に比べると,廃線を歩く第2部は会話も少なく,いろんな意味で展開が早い。ある部分があまりにも簡単に進むので,逆効果だった気がする。

第2部は最後を省略してしまって,第3部の回想シーンとして描いた方がテンポの調整も出来て,ベターだったと思う。

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全体的に文章は平易なので,小学生でも読めると思う。「天使の回廊」は,明治大正を舞台にしている関係もあり,文章が硬かったので,なんとなく,中村弦の文章はこうしたスタイルなのだと思い込んでしまっていた。

それが急に児童書か?というような文章だったので,最初は面食らった。また主人公たちの設定が,ミステリー作品にありがちな内向的なクチベタというものだったのも,ちょっと意外だった。

読み進めて見れば,文章も主人公の性格も,最初はソフトに見えるが,しっかりと骨があるものだったので,ギャップは消えなかったものの,安心はできた。

ただ1作目と比べると,雰囲気がだいぶ変わっていて,中村弦の作風というものがあまりつかめない。

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ネタバレギリギリの批評となってしまうが,僕自身は平間の選択は間違っていると思う。彼の考えは,ひじょうに安易で危険だと思う。主人公・牧村が選び取った道に強く賛同する。

平間の選択肢が薄っぺらく見えてしまう理由の1つに,「まぼろしの廃線跡」を取り巻く森について,ほとんど語られていないことがあるではないかと思う。本来,この辺りを歴史的観点から補強するのは,「天使の回廊」で既に用いた手法なので,中村弦にとっては簡単に出来たと思うので残念だ。

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デビュー作には及ばないものの,ひじょうに美しい作品なので,オススメは出来る。

ひっそりとアニメ映画化でもされたら面白いな。



















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Last updated  2014.01.12 23:52:00
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2014.01.07
カテゴリ:ばくばく冒険小説
亡き伊藤計画が書いた冒頭の数ページとプロットを元に,円城塔が仕上げた大作を読んだ。

○ストーリー
フランケンシュタイン博士が創造した技術が転用され,世界中で産業用と軍事用の〈屍者〉が活用されていた。だが知能も低く,意思を持たず,運動機能も稚拙な〈屍者〉たちの中で,人間をしのぐ能力を持つ個体が生まれたという噂が流れ始めた。彼らが造ろうとしている「屍者の帝国」を探るために,ジョン・ワトソン青年は,ボンベイからアフガニスタン,そして日本へと向かう。彼らを待っているのは?

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真っ黒な表紙に,光沢の差で十字架が浮き出ている。そしてタイトルが「屍者の帝国」。いきなり威圧感たっぷりだ。

描かれる世界は,死体を蘇生させて労働力として活用する〈屍者〉が一般的となっている19世紀だ。一般的な〈屍者〉は,フランケンシュタインの怪物,現代的に言えばゾンビーのようにぎこちない動き方しかしない。

そんな存在がフツーに隣にいる不気味な世界を舞台に,「シャーロック・ホームズ」のワトソン,「ドラキュラ」のヘルシング教授,「風と共に去りぬ」のレッド・バトラー,「カラマーゾフの兄弟」のアリョーシャ,そしてネタバレになるから言えない多くのキャラクターが活躍する。

19世紀を舞台にしたスチームパンクSFはいくつもあるが,ここまで不吉なムードを漂わせたものは無かったのではないだろうか?

多彩なキャラクターの登場のおかげで,なんとか楽しめる。こうした展開を選んだ作者×2の選択は正しい。単純に〈もし・・・だったら〉という物語を楽しめるし,少しだけずらして見せた現実との重ね方が興味を引く。

オリジナルキャラクターだけでこの物語が展開されていたら,途中でギブアップしていたかも・・・笑

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〈屍者〉を動かすためには,ケーブルをつないで稼動プログラミング,つまりOSをインストールする。この発想には驚いた!

それでもぎこちない動きしかしないはずの〈屍者〉に,人間と同等あるいはそれ以上の動きをさせる謎の技術。それは画期的なプログラミング技術なのか?失われたフランケンシュタイン博士の技術なのか?それとも・・・?

ここが物語の謎となる。・・・もっともだいぶ難解な謎解きとなっていて,エンターテインメントとしては及第点に達していない気がした。

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読んでいてしばらくして気付いたが,『るろうに剣心』の和月和宏が連載中の『エンバーミング』によく似ている。19世紀末を舞台にしたゴシックホラーはいくらでもあるので,類似性は偶然だと思う。ちなみにこちらの短編版の発表は2007年とだいぶ古い。

どちらの作品も,『フランケンシュタイン』のテーマを膨らませたエンターテインメントだ。『吸血鬼』のスピンオフはあれだけあるのに,『フランケンシュタイン』は映画版の鈍重な怪物のイメージが強くて損をしていると思う。実はかなり文学的な作品なんだよね。

21世紀になって,日本でこのテーマの作品が2つも生まれるのって,とても面白いことだと思う。さすが19世紀のイギリス並みにサブカルチャーが花開いている国だ。

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なかなか万人にオススメ出来ないけれど,SFファンは必読だと思う。










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Last updated  2014.01.11 17:45:17
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