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ばくばく冒険小説

2014.01.11
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カテゴリ:ばくばく冒険小説
「天使の回廊」でデビューをした中村弦の2作目を読んだ。

○ストーリー
路線廃止となった鉄道,つまり廃線をたどって歩くことが趣味の〈ぼく〉・牧村は,趣味を通じて平間という男性と知り合う。たまたま同じ街に住んでいた2人は,ほどなく世代を超えて定期的に飲む関係になる。だがその平間が蒸発してしまった。〈ぼく〉は,同じように彼を慕っていた倉本菜月という女性と共に,彼を捜し始めるが,徐々に彼が「まぼろしの廃線跡」へ旅立ったことを知る。2人は,平間の足跡を追って,ついにその廃線跡を踏破する旅に出るのだが,そこで彼らを待っていたのは?

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廃線ファンという程度の主人公は,鉄道マニアの平間という年配の弾性と知り合いになる。2人はそれ以上に互いの知己を教え合わなかったので,主人公が知っている鉄道マニアは,紳士的で知識も話も豊富というものだった。

鉄道ブームの現在,ホームから一般人を追い払おうとしたり,不法侵入をしたり,撮影のために勝手に木を切ってしまったり,とマナーの悪い鉄道マニアのことが多く報道されるので,この紳士・平間とはギャップを感じてしまう。

それを作者も分かっていたのかも知れなくて,平間の消息を知るために,主人公と倉本女史が訪ね歩く鉄道マニアたちは,クセのある人物が多い。

廃線,鉄道,1人旅が好きな人に,間違いなく喜ばれる作品だけれども,少しだけ鉄道マニアには懐疑的な気持ちが透けて見える気がした。

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物語は,東京で平間の消息を追う第1部と,実際に「まぼろしの廃線跡」に踏み入る第2部で構成されている。

いろいろな登場人物と会い,じりじりと平間の目的を探る第1部に比べると,廃線を歩く第2部は会話も少なく,いろんな意味で展開が早い。ある部分があまりにも簡単に進むので,逆効果だった気がする。

第2部は最後を省略してしまって,第3部の回想シーンとして描いた方がテンポの調整も出来て,ベターだったと思う。

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全体的に文章は平易なので,小学生でも読めると思う。「天使の回廊」は,明治大正を舞台にしている関係もあり,文章が硬かったので,なんとなく,中村弦の文章はこうしたスタイルなのだと思い込んでしまっていた。

それが急に児童書か?というような文章だったので,最初は面食らった。また主人公たちの設定が,ミステリー作品にありがちな内向的なクチベタというものだったのも,ちょっと意外だった。

読み進めて見れば,文章も主人公の性格も,最初はソフトに見えるが,しっかりと骨があるものだったので,ギャップは消えなかったものの,安心はできた。

ただ1作目と比べると,雰囲気がだいぶ変わっていて,中村弦の作風というものがあまりつかめない。

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ネタバレギリギリの批評となってしまうが,僕自身は平間の選択は間違っていると思う。彼の考えは,ひじょうに安易で危険だと思う。主人公・牧村が選び取った道に強く賛同する。

平間の選択肢が薄っぺらく見えてしまう理由の1つに,「まぼろしの廃線跡」を取り巻く森について,ほとんど語られていないことがあるではないかと思う。本来,この辺りを歴史的観点から補強するのは,「天使の回廊」で既に用いた手法なので,中村弦にとっては簡単に出来たと思うので残念だ。

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デビュー作には及ばないものの,ひじょうに美しい作品なので,オススメは出来る。

ひっそりとアニメ映画化でもされたら面白いな。



















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Last updated  2014.01.12 23:52:00
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2014.01.07
カテゴリ:ばくばく冒険小説
亡き伊藤計画が書いた冒頭の数ページとプロットを元に,円城塔が仕上げた大作を読んだ。

○ストーリー
フランケンシュタイン博士が創造した技術が転用され,世界中で産業用と軍事用の〈屍者〉が活用されていた。だが知能も低く,意思を持たず,運動機能も稚拙な〈屍者〉たちの中で,人間をしのぐ能力を持つ個体が生まれたという噂が流れ始めた。彼らが造ろうとしている「屍者の帝国」を探るために,ジョン・ワトソン青年は,ボンベイからアフガニスタン,そして日本へと向かう。彼らを待っているのは?

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真っ黒な表紙に,光沢の差で十字架が浮き出ている。そしてタイトルが「屍者の帝国」。いきなり威圧感たっぷりだ。

描かれる世界は,死体を蘇生させて労働力として活用する〈屍者〉が一般的となっている19世紀だ。一般的な〈屍者〉は,フランケンシュタインの怪物,現代的に言えばゾンビーのようにぎこちない動き方しかしない。

そんな存在がフツーに隣にいる不気味な世界を舞台に,「シャーロック・ホームズ」のワトソン,「ドラキュラ」のヘルシング教授,「風と共に去りぬ」のレッド・バトラー,「カラマーゾフの兄弟」のアリョーシャ,そしてネタバレになるから言えない多くのキャラクターが活躍する。

19世紀を舞台にしたスチームパンクSFはいくつもあるが,ここまで不吉なムードを漂わせたものは無かったのではないだろうか?

多彩なキャラクターの登場のおかげで,なんとか楽しめる。こうした展開を選んだ作者×2の選択は正しい。単純に〈もし・・・だったら〉という物語を楽しめるし,少しだけずらして見せた現実との重ね方が興味を引く。

オリジナルキャラクターだけでこの物語が展開されていたら,途中でギブアップしていたかも・・・笑

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〈屍者〉を動かすためには,ケーブルをつないで稼動プログラミング,つまりOSをインストールする。この発想には驚いた!

それでもぎこちない動きしかしないはずの〈屍者〉に,人間と同等あるいはそれ以上の動きをさせる謎の技術。それは画期的なプログラミング技術なのか?失われたフランケンシュタイン博士の技術なのか?それとも・・・?

ここが物語の謎となる。・・・もっともだいぶ難解な謎解きとなっていて,エンターテインメントとしては及第点に達していない気がした。

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読んでいてしばらくして気付いたが,『るろうに剣心』の和月和宏が連載中の『エンバーミング』によく似ている。19世紀末を舞台にしたゴシックホラーはいくらでもあるので,類似性は偶然だと思う。ちなみにこちらの短編版の発表は2007年とだいぶ古い。

どちらの作品も,『フランケンシュタイン』のテーマを膨らませたエンターテインメントだ。『吸血鬼』のスピンオフはあれだけあるのに,『フランケンシュタイン』は映画版の鈍重な怪物のイメージが強くて損をしていると思う。実はかなり文学的な作品なんだよね。

21世紀になって,日本でこのテーマの作品が2つも生まれるのって,とても面白いことだと思う。さすが19世紀のイギリス並みにサブカルチャーが花開いている国だ。

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なかなか万人にオススメ出来ないけれど,SFファンは必読だと思う。










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Last updated  2014.01.11 17:45:17
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2013.12.06
カテゴリ:ばくばく冒険小説
京都を舞台にしたレトロ作品を書き続ける森見登美彦の新作を読んだ。

○ストーリー
京都祇園祭の前夜の土曜日,青年・小和田は,小学校の校庭で椅子に縛られる姿で目覚めた。彼の目の前には,近年京都で有名になった正義の怪人〈ぽんぽこ仮面〉がおり,小和田に自分の二代目となるように迫るのだった。そこに通りかかった浦本探偵事務所のアルバイト女子大生・玉川は,〈ぽんぽこ仮面〉を捕まえようとする。なんと怪人は突然,京都中の様々な裏組織から狙われる存在となっていたのだ。
ある土曜日に起きた京都中が大騒ぎとなった大冒険の始まりだった。

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相変わらず少しレトロで,少し怪しい京都を舞台に,おかしい登場人物たちがヘンテコな行動をしている。まさに森見ワールドだ。

幸せそうなカップルに嫌がらせをする学生集団,偽〈電気ブラン〉の〈テングブラン〉,化け狸,闇の集会〈土曜倶楽部〉など,これまでの作品に登場したキーワードも,また使われている。

ぶっちゃけ大したテーマも感動もあるわけではなく,この空気を楽しめば良いのだと思う。

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もしこの作品にテーマがあるとしたら「怠け者」ということだろう。主人公の小和田青年は,メーカーの研究所に勤務しており,仕事はそつなくこなしているらしいが,プライベートでは週末も独身寮から一歩も出なかったりなど,きわめて怠惰に暮らしているらしい。

これまでの作品では,「阿呆」がテーマであったころが多い・・・とか書いていて,かなり恥ずかしいが・・・。「阿呆」があるジャンルにおいては夢中になれるのに対して,「怠け者」はとにかくノンビリだ。

当然,主人公を「怠け者」にシフトしたのは,時代の流れもあるだろう。「ゆとり」「草食系」「さとり」と,とにかく最近の若者(とくに男子)は省エネだ。

だとすると,この作品は彼らに対する森見登美彦からのエールなのかも知れない?

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新聞で連載されていた時も読んでいたので,前半は記憶どおりだったが,中盤からこちらがドロップアウトしていたので,新鮮味があった。大幅な改稿を加えたということだが,そんな中途半端な読み方をしていたので,まったく分からない。

ファンとしては「有頂天家族」とのリンクがちらほらと見えるのが嬉しかった。(えっ?浦本探偵の正体は?!!気付かなかった・・・)

とは言え単独でも十分楽しめる。「阿呆」成分が減った分,「夜は短し歩けよ乙女」の次に読むべき森見作品としていいのかも知れない。










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Last updated  2013.12.07 17:16:04
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2013.11.15
カテゴリ:ばくばく冒険小説
山田悠介のホラーサスペンスを読んだ。

○ストーリー
日本政府は長きにわたり〈魂を食らう悪魔〉を,人里離れた村で育て続けてきた。その村で育った少年メロは,仲間と共に看守たちを襲い,村から逃げ出す。だが街へたどり着く前に仲間は1人また1人と〈悪魔〉の症状を見せ,変貌してしまう。メロはなんとか幼い頃から好きだったサラだけは逃がしてやろうとするが,彼の身にも〈悪魔〉への変身は進みつつあった。果たして彼らは自由の地にたどり着くことが出来るのだろうか?

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呪われた超能力の遺伝子を持った主人公,という設定だけで,いわゆる〈中二病〉の匂いがプンプンする。さらに冒頭にある強制的な繁殖行動のシーンも,中学生程度の読者に対する色んな意味でのチャレンジのように感じる。その後の展開も,あれよあれよと進み,細部を気にするヒマも無く,突き進んでしまう。

以前読んだ山田悠介の作品は「×ゲーム」だけだが,その時と同様にリーダビリティは高いものの,ご都合主義的に物語の展開が早く,文章も登場人物の行動もあまり考えられていない,という印象を再び受けた。

とは言え,残酷だけどミステリーというタイプの物語とは異なり,この作品はのっけから超能力者が登場するというSF的なホラーだ。その時点でリアリティなんて消えているので,あまり目くじらを立てなくてもいいのかも知れない。

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メロたちは看守に対して村で叛乱を起こす。その逃避行が1つのサスペンス要素なのだが,ストーリー紹介には書かなかったもう1つの要素がある。実は彼らは追っ手から逃げるだけでなく,仲間の中の敵に対しても疑いを持ちつつ行動をしなければならないのだ。この2重のサスペンスのおかげで,ひじょうに緊迫をした旅が描かれる。

が,現実的には,幼い子供たちを連れて,ほとんど食料もないのに3日間も森を逃げるのは不可能だろうし,内部に敵かも知れない者いるのに一緒に行動する必要もないだろう。1人ずつ犠牲になるためだけに存在しているような気がする。

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ラストのサラパートではご都合主義がさらに拡大する。これが明るい未来なのか?

山田悠介の作品は,前にも後悔していたのに,この作品の書評を読んだ記憶があったのでまた手にとってしまった。うーん,やれやれ。

















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Last updated  2013.11.17 14:38:06
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2013.11.10
カテゴリ:ばくばく冒険小説
三崎亜記の青春スポーツ小説を読んだ。

○ストーリー
高校2年生のイツキは,親に隠して〈掃除部〉に所属している。模擬塵芥をいかに正確に,かつ美しく腰の袋のに収納できるかどうかを競う〈掃除〉は,高校生だけが参加できるという,国家に統制された不思議なスポーツだった。祖父に教えられ,幼少からこっそりと独学で〈掃除〉を学んでいたイツキは,新人戦で優勝するが,翌年,謎の新入生・シノブにあっさりと負けを喫する。自分にとって〈掃除〉とは?部活とは?家族とは?イツキの自分との戦いが始まる。

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「となり町戦争」の三崎亜記が,スポ根小説を?まさか?と思ったが,本当だった。しかも大長編でシリーズ化。世の中,何が起きるか分らないものだ。

日常から少しだけズレている世界を描き,そこから逆に現実世界の孤独をあぶり出していた作家・・・だったはずなのに。

ただしこの作品の登場人物が,これまでの三崎亜記作品のそれとは大きく異なる。単純に人数も多いというのは置いておいて,あの”優等生くさい無個性”が薄れているのだ。

まだシノブにはそれが残っているのだけれど,イツキを初めとした登場人物たちは,血が通った生身の若者として描かれており,これまでの三崎亜記キャラとは大きく異なる。

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もちろん,これまでの三崎亜記作品のカラーも色濃く受け継いでいる。主人公たちが暮らしている町にも,〈西域〉からの移民たちが集まって暮らしている〈異邦郭〉があり,主人公たちはバイトでクラブで踊りを披露する。

〈異邦郭〉では,双頭の龍の刺青をした大男が店番をしているし,町のある場所では〈廃墟化促進〉が行われている。政府の統制の厳しさも相変わらずだ。ところどころにいつもの空気は残ってはいる。

けれども今回の作品の独自性は,やはり「スポーツとしての〈掃除〉」だろう。〈西域〉より伝わり,日本で独自に発展し,先の大戦では国威掲揚のために使われたとされる〈掃除〉。そのため今でも国の特別な管理下に置かれ,公式な試合には高校生しか参加することが出来ない。

日本ではシンクロナイズドスイミング風の,4人,2人,1人の”舞い”が試合形式で行われ,ライブハウスでDJと踊る風習もある。それに対して〈西域〉では”武闘掃除”や,宗教的な儀式としての〈掃除〉が発展している。

まあ,よくもいろいろ設定を考えたものだ。

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いつもと異なる作風なので,無理しているカンジがあちこちに見えるが,物語が進むにつれて段々それが気にならなくなる。

ただ長編で500ページ越えを読み終えて,まだまだ謎だらけというのは,ちょっと冗長かと思う。パート2も同じ長さだし,まだまだ続くという。

果たして,それだけの読み応えを提供してくれるのだろうか?これまでの三崎亜記だったら無理だけど,きっと成長しているのだと期待することにする。













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Last updated  2013.11.11 11:33:07
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2013.11.04
カテゴリ:ばくばく冒険小説
藤田和日郎(ふじたかずひろ)のファンタジーマンガの20巻を読んだ。

○ストーリー
おとぎ話の空に青い月が昇ると,その世界の登場人物たちは変貌し,現実世界をおびやかしに来る。そのひずみを正す〈月光条例〉の執行者となっていた岩崎月光の前に立ちはだかったのは,『青い鳥』の主人公・チルチルだった。だがチルチルは岩崎月光と同じ姿をしていた。圧倒的な魔力を持つチルチルは,全ての物語を滅ぼそうとする。果たして,チルチルと月光の過去は?そして物語世界の命運は?

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この作品を半年前に読み始めた。あまり一気に読んでしまうと心に残らないので,インターバルを空けながら20巻までたどり着いた。

今回で岩崎月光の過去が明らかになるパートは終了した。しかしこのパート,11巻からずーっと続いていて,現実世界ではわずか1日の間の出来事なのだ。さすがに3年近く同じ日を引っ張るってのは,やり過ぎじゃないの?

物語は,メーテルリンクの『青い鳥』のチルチルが青い月の光に打たれるところから始まり,日本昔話の『雉も鳴かずば』の世界へと移り,アンデルセンの『マッチ売りの少女』へと移り,さらに『アラビアンナイト』の世界で大活劇が起こり,一方で主人公は宮沢賢治と出会う・・・と,流れ流れて,一体どうやって決着を付けるんだろう?と心配をしていたが,ようやく20巻でこのパートがまとまった。しかもキチンと。

あまりにもホッとしたので,久々に感想を述べた。

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例によって,主人公の能力のインフレが,このパートで大々的に進んだので,今後の展開に不安が残るけど,これほどの構成力を見せてくれた藤田和日郎であれば,きっと次の次を考えて物語をつむいでいるのだろう。










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Last updated  2013.11.04 20:51:16
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2013.10.15
カテゴリ:ばくばく冒険小説
今でこそ「まほろ駅前」「舟を編む」があるが,この作品が三浦しをんの代表作と言われていた。後にとっておこうという気持ちがあったけど,ついに読んでしまった。

○ストーリー
将来を期待される長距離ランナーだったのに,ある理由で陸上とは関係のない大学に合格した蔵原カケルは,4年生の清瀬ハイジに誘われて,竹青荘というボロアパートに3月から住み始める。カケルが加わったことで,竹青荘の住人は10人となった。4月になり,ハイジは住人を集め宣言をする。「この10人で1月の箱根駅伝を目指す」と。10人の熱い熱い9ヶ月が始まる。

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素晴らしいの一言に尽きる。

三浦しをんの作品は,少しスネたような主人公が登場し,しかも世のなりわいから少しズレたような生活をしていることが多い。

ところがこの作品は弱小大学の生徒たちが華の箱根駅伝を目指すという,ある意味王道のストーリーだ。いわゆる”スポ根”とは違うかも知れないが,ほとんどが練習と試合の描写だ。

下手をするとひじょうに凡庸な作品になっただろう。けれども三浦しをんが組み込んだ3つの要素のおかげで,ひじょうに素晴らしい作品になっている。

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1つは間違いなくキャラクター設定・状況設定だろう。「素人が箱根駅伝を目指すなんて」と徹底的に批判している書評もあったけれど,そのトンデモ設定があるからこそ,面白い小説になっていると思う。

マンガマニアの美少年・「王子」,アフリカからの理工学部の留学生・ムサ,明るい双子・ジョータとジョージ,東北出身の真面目・「神童」,沈着冷静な秀才・ユキ,留年先輩・ニコチャン,小心者・「キング」,エース・カケル,そして驚異のリーダー・ハイジ・・・こうして並べてみても1人1人姿が思い浮かんでしまうくらいキャラクターがくっきりとしている。

確かにマンガ的だ。でも誰だって面白い小説が読みたいじゃない。

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次は,走っているシーンの描写の上手さだ。中山七里の音楽演奏の描写には惚れ惚れとするが,この作品を読んでいて,それと似た様な気持ちになった。

あちらがコンサートホールに座っているような感覚だとすると,こちらはまさに走っているような感覚になった。ランナーの体感すること,走っている一方で考えていること,本当に臨場感を持って再現できていると思った。

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最後は,「速い走りではなく強い走りを目指す」というカケルの成長物語を組み込んだことだろう。

実力はチームで一番どころか箱根駅伝大会の出場者の中でもトップクラスのカケルだが,高校時代のわだかまりを引きずり,仲間の成長の遅さに苛立ちと,もろいところを見せる。

それがリーダー・ハイジの指導,そして〈箱根の王者〉六道大の藤岡との触れ合いで,カケルはより高いレベルの走りを目指して急成長を遂げる。

最近のスポーツ物では,天才的な才能を持つ主人公が定番だが,その主人公に適切な悩みと成長を与えていることもこの小説の読後感の気持ち良さの大きな部分だと思う。

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この3つの要素のおかげで,もう終盤は気持ちが入ってしまう。走っている10人と一体になってしまって,ずっと涙が流れている状態だった。

この本は,姪の学校の図書館から廃棄本だったものを買ってきた。一部落丁があったのだけれど,自分で木工ボンドを塗って修復した。この本は手元に置きたくなったので,ちょうどいい。

あらゆる人にオススメだ。









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Last updated  2013.10.15 23:00:35
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2013.10.09
カテゴリ:ばくばく冒険小説
大ヒットメーカー脚本家・三谷幸喜の歴史小説を読んだ。

○ストーリー
天下統一を目前にして,織田信長は本能寺の変で命を落とした。信長と長男・信忠を失った織田家を継ぐのは誰か,また次期当主を補佐するのは誰なのか?織田の家臣たちは,清洲の城に集まり大会議を行う。信長の三男・信孝を推す筆頭大老の柴田勝家と,次男・信雄(のぶかつ)を推す殊勲者・羽柴秀吉が,真っ向から対立する。お市の方,前田利家,黒田官兵衛らの様々な思惑が渦巻く中,最後に望みのものを手に入れたのは?

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戦国時代が終わろうとしている実際の出来事を背景にした,ドタバタドラマだ。セリフが〈現代語訳〉となっているだけでなく,「ピンチ」「チャンス」「サポート」などワザと外来語も組み込んでいるので,とにかく読みやすい。

直情型の柴田勝家,策略家の秀吉など,登場人物の性格設定がさらに極端に強調されているので,状況の変化に翻弄されて一喜一憂する人々を楽しむことが出来る。

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ただし,昨今歴史ブームとなっていて,こうした史実再現ドラマというのは,NHKの〈歴史ヒストリア〉やTVKの〈戦国鍋TV〉などで,散々行われているので,目新しさは感じられない。

しかも物語の決着はかなり有名な史実なので,たいがいの人が読んでいて先が見えてしまうと思う。独特な展開や解釈があることを期待したけど,まったく史実どおりで小さくまとまっている。

過程の表現方法をちょっと面白くしてみました,というつもりだったのだろうけど,それも見慣れたものなので,読み終えてあまり充実感を感じることは出来なかった。

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表紙のイラストでは,武将の横に現代の新聞が置いてあったり,スマホを使っていたりするので,それくらいパラレル的に世界を壊して物語が進むのかと思ったけれども,まったくフツーだ。

TVバラエティーやマンガの方が,よっぽど常識にチャレンジして頑張っていると思う。

オススメは出来ない。














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Last updated  2013.10.10 22:27:19
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2013.10.07
カテゴリ:ばくばく冒険小説
三浦しをんの第3長編を読んだ。

○ストーリー
高校3年生のサトシは,お盆の祭りのために生まれ故郷の島に戻り,幼馴染の〈持念兄弟〉で漁師となっている光市と再会する。今年の祭りは十三年に一度の,白蛇様のしめ縄を締め直す大祭だが,島では海から来る呪われた〈あれ〉の目撃が続き,不穏な空気が漂っていた。お祭りの最中に〈あれ〉が現れたことで,島は・・・?この状況を救えるのはサトシと光市だけだった。そして?

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女子大生の就職活動記「格闘するものに○」,古本屋の世界に生きようとする2人の青年を描いた「月魚」の後に,伝記ファンタジーのこの作品。確かに三浦しをんの作風は,なかなかつかみどころが無い。

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ストーリーラインだけを追うと,これまでの児童文学や冒険小説にありがちな作品に思える。だがこの作品を際立たせているのが,サトシと光市という2人の青年の関係だ。

2人は幼馴染として島で育っただけでなく,風習により〈持念兄弟〉として,強く結び付けられている。長く離れていても,再会すればすっと元通りの距離感になれる,理想的な関係だ。

だがサトシは島の伝統にこだわる父親に反発して本土の寄宿舎のある高校に進学しており,大学への進学も考えている。それもあり,高校に進まずに,島で祖父と漁師として自立している光市に引け目を感じている。

真夏の島での冒険を背景に,大人への入り口を前にして,親友との再会と別れをほろ苦く描いている。

2人が幼馴染の男女ではないのが,三浦しをん品質だとも言える。

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終盤の流れは,まるで諸星大二郎の作品のようで,正直鳥肌が何回も立ってしまった。たたみ掛けるような展開で,簡単に解決させてくれないのでハラハラする。

小野不由美の「屍鬼」も山間の村を舞台に緻密な展開をして見せたホラーだが,この作品の方がより島の歴史を背景にして,違和感を感じさせない流れになっていた。

こんな島きっとある。そんな怖さを感じてしまう。

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今回は,サトシと光市だけでなく,神社の次男・荒太と謎の青年・犬丸というちょっとだけ年上の兄弟分も登場する。彼らがどんな活躍をするのか?どんな関係なのか?それは読んでみてのお楽しみ。

まあ「月魚」よりはBL色が薄く,青年の将来への不安も併せて描写されているので,男性でも楽しめると思う。

















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Last updated  2013.10.07 21:55:56
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2013.10.02
カテゴリ:ばくばく冒険小説
〈理系ブーム〉の始祖・森博嗣のファンタジーを読んだ。

○ストーリー
世界が変容する場面に登場する赤い瞳の女性。彼女は付き従う緑の瞳の少年,黄色い瞳の青年たちと,なんとか世界を修復しようとする。次々と移り変わる圧倒的なイメージの先に現れたものとは?

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なんとも分類しづらい作品だ。主人公である〈赤目姫〉と,彼女をサポートする人々が描かれるのだが,その場面や視点,そして人格までも,くるくると移り変わってしまう。複数の物語をシャッフルしてつないだようであり,間違いなく酩酊感を味わうことが出来る。

SF,ファンタジー,哲学書のミックス,そんな印象だ。

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冒頭はいくつかのストーリーラインが平行して語られていたが,〈赤目姫〉の視点から語られるようになった中盤からは,人格までも次々と移動する(!)ようになり,複雑さを増す。終盤は,人形,人間,そして神を論じる精神哲学の議論のようになり,ぷつんと終わる。

こうして紹介すると,難解さを売りにして読者をだましているだけの作品のようだが,いくつもの美しいシーン,描写,そしてロジックがあり,読書体験としては楽しめた。

〈ロビンス卿〉の観測所のシーン,〈赤目姫〉たちの会議が襲撃されるシーンなど,洗練された映像で描写される部分もあり,とても印象は強い。

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作品の全体像であったり,語ろうとしていることの真意は,とても僕には理解出来ないが,部分部分がひじょうに美しく,楽しめる作品だった。

森博嗣のファン以外には,なかなかオススメは出来ない。けれども森博嗣の気の抜けた最近のミステリーに手を出すならば,こちらの方がずっと素晴らしいと思う。















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Last updated  2013.10.05 14:15:42
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