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ばくばく冒険小説

2015.04.10
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カテゴリ:ばくばく冒険小説
エンタメ作家の帝王・伊坂幸太郎と,芥川作家・阿部和重の共著という冒険小説を読んだ。

○ストーリー
第二次世界大戦末期,東北でアメリカのB29爆撃機が墜落していた。そして戦後に〈村上病〉が蔵王で発症し,その周辺はいまだに立入禁止地帯だった。さらに20年前,蔵王で撮影されたヒーロー映画がお蔵入りになった。そして現在,2人の男が全ての謎を解き明かそうとする。1人ははみ出し者,そして1人はコピー機の営業マンだった。立ちふさがるのは銀髪の殺人者。圧倒的に不利な状況で,2人は?

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僕の純文学系の読書範囲は限られているので,残念ながら阿部和重の作品は1つも読んだことがない。ミステリー,サスペンス,ハードボイルド,青春小説と,エンタメ系に偏っているので,伊坂幸太郎の作品は全て読んでいる。

そうした僕がこの作品から得る感想は,「ちょっとテンポの遅い伊坂幸太郎作品」だ。阿部和重の作風がどれくらい入っているのか,全く分からない。ちょっと残念だ。

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作者が2人なら主人公も2人で,この作品はいわゆるバディ物になっている。2人は小学生時代に,山形で同じ少年野球チームに所属しており,その後,疎遠となりつつも互いの状況は把握していた。だが今回事件に巻き込まれ,2人で解決を目指すことになる。

元キャプテンの井ノ原悠は,現在はコピー機の営業マンだ。真面目な正確だが,病弱な息子の治療のために,夫婦共に金銭的にも精神的にも困窮している。システムエンジニアとしては優秀で,高い情報収集能力を持っている。

元ピッチャーの相葉時之は,現在は詐欺師まがいとなっている。子どもの頃から周りを巻き込んでイタズラをする性格で,無鉄砲なまま大人になってしまった。後輩を助けるつもりで騙され,大きな借金を背負っている。

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相葉時之は,伊坂作品に頻繁に登場する強引なトリックスター的なキャラクターだ。無軌道に生きているが,たまに良いことを言ったり行ったりする。

井ノ原悠は,普通の人間で読者が共感をするタイプだ。予想通り相葉に巻き込まれる形で冒険に乗り出す。

小学生時代2人は,戦隊ヒーロー『鳴神戦隊サンダーボルト』に夢中になっていた。さらに大人となった今は2人ともクリント・イーストウッド主演の映画『サンダーボルト』の大ファンだ。この2つの作品に自分たちを重ね合わせる形で,2人は冒険を続ける。

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一方で物語では,第二次世界大戦中に東北に墜落したB29爆撃機の謎,そして〈村上病〉という伝染病の謎を中心にして,〈五色沼の水〉の争奪戦が展開される。そこに参加するのは,アメリカの諜報員,ロシアのマフィア,そして世界的なテロ組織。

歴史があり,国際的な闘争があり,世界レベルのサスペンス物語なのだけれど,実際には舞台は山形と仙台の間で留まっており,正義の味方は2人の男,1人の女,そして1匹の犬のみだ。物語のスケールの大きさと,事件や主人公の能力があまり合っていない気がした。

これだけの長さのわりに,主人公たちが意思を持って活躍するのって,ラストだけ。それもたぶんにご都合主義だし,もう少し物語を小さくまとめても良かった気がする。

期待が大きかったので,やや不満が残ってしまった。














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Last updated  2015.04.12 13:19:51
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2015.04.08
カテゴリ:ばくばく冒険小説
中国の古典に新しい光をあてる万城目学の連作短編集を読んだ。

○ストーリー
中国をその手に収めると思われた大将軍も,ついに敵の軍勢に包囲され討ち死にを覚悟する。10年間付き添った寵姫はそこから逃げ落ちて生きるように命じられるが,それに従わず将軍たちの前で最後の踊りを披露する。そして?

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万城目学としてはいろんな面で新しい作品だ。まずは中国の古典へのオマージュに満ちた短編集となっていること。そしていつものチカラの抜けたユーモアを封印しているということ,がある。

森見登美彦が書いたというならば,すっと受け止めることが出来たが,万城目学著ということに,まだまだ驚きが続いている。第1短編の「悟浄出立」は,誰でも知っている『西遊記』の三蔵法師と3人の弟子が登場して,軽くユーモアもあるので,入りやすいのだが,そこから先は本当にユーモアを封印して,より深く中国文学へと分け入っていくからだ。

「とっぴんぱらりの風太郎」でも描かれた,歴史と人の世への諦観のようなものが,やはり継続して語られる。ひょっとしてこれがこれからの万城目学カラーなのだろうか?

個人的にはこれまでどおりの楽しい作品が好きだけど,作家さんも成長するからなあ。新・万城目学ははるかに重厚だ。

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各編について感想を簡単に述べる。

「悟浄出立」:三蔵法師とお経を求める旅を続ける3人の弟子,その1人・沙悟浄は,どこか他の2人に引け目を感じていた。勇猛果敢な悟空,自堕落だが豪快な八戒に比べ,自分は考えてばかりであまり役に立てていない。またまた妖怪に捕らえられた悟浄は,前から聞きたかった八戒の前世の話を聞きだす。さらに落ち込んでしまった悟浄だが,あることがきっかけで?・・・『西遊記』の有名なトリオの臆病者・沙悟浄の一日が描かれる。ふっと気持ちが楽になる瞬間ってあるが,それを上手く説得力たっぷりに描いている。またこの短編を最初に持ってくるのも正しい選択で賢い。

「趙雲西航」:劉備が建国を進めている蜀の国に向かって船団を進める趙雲,張飛,そして諸葛亮。相変わらず豪快な張飛,まるで自宅にいるように平静な諸葛亮と比べると,趙雲は船酔いに悩まされ,さらに不思議な陰鬱な気分になる。諸葛亮と晩餐を食べ,あることを尋ねられたとき,趙雲はこの気分の理由に気付く。・・・『三国志』から劉備・関羽・張飛,さらに孔明でもない,趙雲を主人公にした短編だ。劉備が地方に流れ,自分の国を持つ一方で,どこかわびしさを感じてしまう趙雲。

「虞姫寂静」:漢の軍勢に包囲された城に,楚の歌が聞こえてきた時,項羽は討ち死にを覚悟する。寵姫の虞は逃げ延びるように命じられるが,ある理由で彼女は城に留まる決心をする。彼女が命を懸けて訴えたかったこととは?・・・『項羽と劉邦』などから「四面楚歌」の瞬間を使って,ある女性の情熱を描いて見せている。他の短編と異なり,歴史の有名なシーンであり,感情的にも揺さぶられる終わり方となる。

「法家弧憤」:皇帝が襲われるという事件があり,下級官吏の主人公は,犯人を知る者として大臣・李斯に呼び出される。皇帝のもと法治国家を推し進める李斯だが,今回の事件を防げなかったことを嘆く。共に役人を目指していた主人公と知人の運命はいつどのように分かれたのか?・・・『史記』で語られる秦始皇帝,そして国家統一を助ける李斯が,下級官吏の目を通じて描かれる。さらには法治国家とは?という壮大なテーマまだ考えさせられる。現代にもつながる普遍的なテーマで,長編になりそうなスケールだ。

「父司馬遷」:高名な役人で学者だった父が,皇帝の逆鱗に触れ,資格を剥奪され投獄されてしまう。残された家族はある理由で名前も家も捨てて移り住む。それから3年後,父が戻ってきたという噂を聞き,実家を覗きに行った娘・栄は,変わり果てた父親の姿を見る。なんと父は?・・・『史記』の著者・司馬遷(司馬遼太郎じゃないよ)の驚きの事実を描き出す短編。物語の人々を描いてきた最後に,語り手の姿も描こうということか?











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Last updated  2015.04.08 22:57:08
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2014.12.18
カテゴリ:ばくばく冒険小説
大学時代に人気があった高野文子の久々の新作を読んだ。

○ストーリー
とも子さんが経営する不思議な学生寮〈ともきんす〉には,寮生が4人いる。彼らは100年前の世界からタイムスリップしてきた学者の卵たちだ。将来物理学者となる朝永振一郎,植物学者となる牧野富太郎,雪の結晶を研究する中谷宇吉郎,そしてノーベル賞を取る湯川秀樹。とも子さんと彼らは,少ない言葉で貴重な交流を果たすのだが・・・

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自然科学の叢書の感覚をマンガに取り入れる,というひじょうに野心的な試みの作品だ。

と言っても,実際の学問の入門書を目指しているのではなく,4人の学者たちが講義やエッセイで残している若い頃の心の動きを再録している,というものだ。もちろんマンガなので,セリフや絵はデフォルメされ,ファンタジックな表現も取り入れて,印象深いものになっている。

シンプルな線で構成された学者の卵たちは,巨匠・手塚治虫のキャラクターのようにも見えた。全体的にはレトロな空気もあるので,それがとても似合っていた。

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「ドミトリーともきんす」は連作短編集だが,その前にプロトタイプ風の「球面世界」という短編が収録されている。これが難物で,本編のどの短編よりも頭が痛くなる。姉も,この短編を読んで,この本を投げ出してしまった。

だからこれは飛ばして「ドミトリーともきんす」から読み始めることをオススメする。戸惑いつつも,最後の短編「詩の朗読」まで進めば,高野文子の見事な表現力に飲み込まれて感動すること間違いない。きっとこの気持ちを伝えたくてこの作品を仕上げたんだと思う。

こんなに地味でレトロなのに,マンガの地平を広げるチカラを持っている作品だ。面白い。

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クリスマスプレゼントのように大事に読んだ。これからも何度も読むだろう。









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Last updated  2014.12.19 22:35:53
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2014.11.08
カテゴリ:ばくばく冒険小説
山田正紀のコンゲーム(犯罪ゲーム)をテーマにした連作短編集を読んだ。

○ストーリー
六本木のバー〈チェシャ・キャット〉の常連たちは,世直しのため,自分たちの身を守るため,様々な犯罪に手を染める。彼らは仲間内でも本名や身分を明かさず,謎のグループとして鮮やかに計画を成功させ続けた。だが,最後に彼らに訪れた危機とは?

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山田正紀はSF作家,ミステリー作家としてはベテランで,膨大な量の著作がある。当然,様々な顔を持っているが,日本の作家としては珍しく,コンゲーム(犯罪ゲーム,詐欺ゲーム)をテーマにした作品を多く発表しているのが1つの特徴だ。

『ルパン3世』が大ヒットをしているのに,日本の読者はどこかでウェットな物語を好み,どうしても主人公たちの行動原理に愛,復讐,コンプレックスなど分かり易い情念を求める。

そうしたこともありコンゲームを描いた作品は,日本ではあまりヒットしないと言われている。それに果敢にチャレンジし続けている山田正紀はなかなか度胸があると思う。

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このシリーズは,主人公たちが出会うバーの名前,そしてそこで与えられるあだ名など,多くの部分を「不思議の国のアリス」をモチーフにしている。さらに仲間同士を〈さん〉〈くん〉と呼び合っているので,どこかユーモア小説のようなフワフワした感覚で物語は包まれている。そのおかげで,計画の危険性や,実行中のトラブルの恐怖などが緩和され,物語はするすると進む。

切れ味のある文体も合わせて,ひじょうに読みやすい作品となっている。

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「襲撃」:六本木のバー〈チェシャ・キャット〉では,常連たちが勤め先を知らせず,互いにあだ名で呼び合うルールとなっていた。ちょうど街では〈装甲現金輸送車〉を用いた警備会社が話題になっていた。常連客の1人〈兎さん〉は,他の常連客と飲み話でこの輸送車を襲撃する計画を立てているうちに,実際に実行する羽目になってしまう。彼らは輸送車を止めることには成功したが,非常ベルが鳴り始めてしまう。・・・冒頭に小さな事件が起きることで,主人公が現金輸送車を襲撃しようと思ってしまうきっかけを作っておくなど,構成が見事だと思う。すっと作品世界に入り込めるので,第1作としてはとても良く出来ている。もっとも肝心のトリックは,ややリアリティに欠けるかな?

「誘拐」:バー〈チェシャ・キャット〉の常連客の〈眠りくん〉と仲間たちは,子供誘拐の犯人グループの手助けを強要される。仲間たちは,逮捕されず,誘拐された子供を救出し,犯人グループから逃れる,という目標を立てる。だが身代金の受け取りに失敗してしまい・・・第1作と変わって緊迫感のある短編で,個人的にはお気に入りだ。全ての情報が提示されていて,仲間たちがなんとかそれにチャレンジする,という冒険小説的なスタイルも良い。

「博打」:政治家の使用人になりすまし,カジノから政治献金代わりの金を受け取る。そんな計画に乗った〈帽子屋さん〉は,早々に身分がばれてしまい,用心棒にカジノを放り出される。〈チェシャ・キャット〉の仲間を呼び寄せた彼は,大胆にもカジノを再訪する。用心棒たちに捕まりそうになった彼だが??・・・これまでとは異なる形で主人公たちは事件に巻き込まれる。他の短編のプロットをこのシリーズ用に書き換えたのではないかと疑ってしまう。カジノをだます物語はひじょうに興味深い。

「逆転」:〈チェシャ・キャット〉のアルバイト女子大生〈アリスちゃん〉が窮地に陥る。彼女のために,厳重に守られた博物館にダイヤモンドを戻そうとする仲間たちだが,彼らは逆に宝石泥棒にされてしまう。絶体絶命となった彼らに電話をかけてきたのは?・・・最初の3つの短編は3人の仲間が持ち回りで語り手を務めていた。4つ目では第1作同様に〈兎さん〉が再び語り手となる。いつも通りのコンゲームと思っていたら,驚きの展開となる。読んでいて引っくり返ること確実だ。

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さらに驚くのは,最初の3つの短編が雑誌に発表され,4つ目だけが書き下ろしだったということだ。どんでん返しが単行本にしか収録されていないって,強烈だなあ。
















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Last updated  2014.11.09 17:25:58
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2014.10.22
カテゴリ:ばくばく冒険小説
トム・クルーズ主演でハリウッド映画化されたという歴史的なSFラノベを読んだ。

○ストーリー
地球を改造するために異星から送り込まれた機械生物〈ギタイ〉の侵略を止めるために,人類は〈装甲ジャケット歩兵〉部隊で対抗していた。そこに配属された青年・キリヤは,最初の戦闘に駆り出されるが,戦死してしまう。だが気付くと,30時間前に送り込まれていて,彼はその時間を何度も繰り返すことになるのだった。わずかな体験から学習し,誰よりも戦闘能力を高めるキリヤの前に,もう1人の能力者が現れる。

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映画公開の際には人気だったので,この作品を借りて読むことは出来なかった。今になり,なんとか順番が回ってきた。映画のDVD化は11月らしいので,それには間に合ったという形になる。DVD発売の際にはまたキャンペーンがあるのだろうけど,残念ながら映画もそれほどヒットしていないので,どの程度の規模でPRをかけるのかは予想できない。

日本の作品でしかもライトノベルのジャンルから,ハリウッド映画化というのは確かに初めてなので,これは喜ぶべきことだ。マンガやアニメのコンテンツは世界基準として認められているが,小説も同等の優れた魅力があるとして世界に発信していってもらいたい。

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作品はハードSFの装いを持っている。多くのSF作品や軍隊映画へのオマージュを感じさせつつ,一人称で物語は進む。戦闘シーン以外は,ラノベらしく分かりやすいパターン化した登場人物とのお約束の会話が続くので,かなりスピーディに読み進むことが出来る。

せっかくのSFらしい展開を一気にラノベの世界に戻してくれるのが,メガネ技術系サポート要員の女子,しかも口下手でどもったり,赤面したり,というベタベタのアニメ風キャラの登場だ。この作品でSFの空気を壊すことは止めてもらいたかった。SFもラノベも架空のジャンルだけど,独特の空気感があるのだから,それは混ぜない方がいいと思う。

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さて物語は初年兵・キリヤの奇跡的な戦闘能力の向上と,もう1人の能力者との出会いによって,思いがけない方向へと進展していく。これには驚いた。上に書いたように,ラノベっぽい空気はまといついてくるものの,しびれるほどハードな展開への舵きりは,まさにハードSFの味わいだ。

この容赦ない展開こそ,日本の作品,とくに映画やドラマでは全く欠如しているものだ。映画版はまだ観ていないけれども,どのような決着を付けているのか,ひじょうに興味深い。

一般受けはしないと思うけど,個人的にはオススメ。









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Last updated  2014.10.22 22:18:30
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2014.07.26
カテゴリ:ばくばく冒険小説
〈化物語シリーズ〉の最終パートとなる「終物語」の第2部を読んだ。

○ストーリー
アララギ暦と仲間たちの物語が終焉へと向かう中,隠されていた逸話が語られる。夏休みが明ける時,暦は呼び出され,後輩の神原駿河と謎の鎧武者と戦うことになる。鎧武者の正体は?そして,それと暦の決闘を見届ける人々が最後に取る行動は?

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やはり来たか?・・・と言うか,かなり早々に発表されていたけど,前・後の2編とされていた「終物語」は,前中後の3部作となった。

なぜ,この中編が突然挿入されたのか?・・・たぶん理由は2つある。

1つは,この中編が正しくは最終シーズンではなく第2シーズンで語られるべきであった逸話を,拾い上げて補っている内容であるから。

もう1つは,このままでは前編に続き,忍野扇という新しいキャラクターで後編も終始してしまうことへの読者側からの違和感があり,それを緩和するために,これまでのヒロインである神原駿河と忍野忍をフィーチャーしたのだと思う。

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さてこの作品で,ヒロインの1人,伝説の吸血鬼・キスショットのかつてのカウンターパート,400年前に死んだはずの侍が蘇る。さらにそのことが,これまでのシリーズで語られてきた怪異のほとんどが,この存在が理由だったことが分かる。

ありがちとは言え,遅れてきた説明的な設定だ。これって,必要だったのかな?リアリティや整合性を求めているシリーズじゃないしなあ。

余計ないちゃつきと会話,寄り道や無駄話があるのは,いつもの通り,後半になり見えてくるのは,400年前の侍と主人公・アララギ暦の決闘だ。つまりキスショットのカウンターパート,第1号と第2号の決闘となるのだ。

単純に言えば,同じ立場,同じ能力同士の戦いとなるのだが,復活を遂げ,あっと言う間に特殊能力を取り戻し,生来の侍としての能力を持つ第1号に比べ,アララギ暦は特殊能力を失っており,もともとの能力であるただのダメダメ高校生というだけだ。

圧倒的に不利な状況・・・まあ,いつもだけど・・・の中,主人公が取った行動とは?でも大事なのは,行動じゃなくて,いろいろな登場人物の気持ちの再確認だったと思う。ふむふむしんみり。

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え?ここでこの物語?と言われていた「終物語」前編での,読者の不満を緩和し,これまでの物語の不足部分を語り,やや整合性に欠けていた部分を調整するのが,この中編の役目だと思う。

良くも悪くも,この作品を経て,これまでの〈化物語〉は収束を向かえる様相を見せる。まあ,タイミングは,いろいろずれている気はするけどね。












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Last updated  2014.07.27 19:24:58
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2014.07.23
カテゴリ:ばくばく冒険小説
三重の山奥・神去村に放り込まれた現代の若者の物語第2弾を読んだ。

○ストーリー
親に騙されて,三重県の山奥の村で林業の見習いを始めた平野勇気。それから1年と少しが過ぎ,勇気は仕事と村に愛着を持つようになった。神去村の歴史,過去,風習についても教わり,いよいよ憧れの直紀との恋愛も進展する・・・のか?

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「神去なあなあ日常」のストレートな続編で,舞台となる三重県の山村・神去村も,登場する人物も前作をそのまま全て踏襲している。主人公の青年・平野勇気の恋愛の進展と,彼がゆっくりと知る神去村の過去や風習が語られる。

あまりにも前作の枠組みから出ていなくて,正直驚いた。3年後に発表された続編なのだけれど,物語は前作のエンドからすぐ始まっている。ヨキに子供が出来たり,じいさんやばあさんが死んだり,会社に新人の女の子が入ったり・・・というようなことは一切無く,そのまま前作後半のテンションのまま,物語は語られる。

残念ながら,前作ほどには驚きや興奮が無かった。前作が拡張されたと言うよりは,そのまま延長されたという印象で,続編としては無難ではあるが,発展が足りないと思った。

こんなんではシリーズがこの2作で終わってしまうのもナットクだ。

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勇気が勤める中村林業の若社長・清一,その息子の山太少年たちの真面目さ&素直さも微笑ましいが,主人公・勇気の真っ直ぐ度合いもかなりのもの。ちょっとバカだけど,素直だし天然だし,こういう若者好かれるだろうね。

ほのぼの(笑)。

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各編について簡単に感想を述べる。

「第一夜 神去村の起源」:勇気は居候をしている家のシゲばあちゃんから,神去村の成り立ちを語る昔話を聞かせてもらう。・・・神去(かむさり)村の名前にピッタリあった昔話があったとは?すんなりと前の作品の世界に戻れて安心した。

「第ニ夜 神去村の恋愛事情」:神去小学校の先生・直紀との関係が進展しなくて焦る勇気。彼は先輩のヨキとみきさんがどのように育ち,どのように夫婦になったかを聞く。・・・前の作品では謎の美女として登場した直紀だが,今回は描写が少なくて面倒臭いキャラみたいになっていない?

「第三夜 神去村のおやかたさん」:勇気は,自分が所属している中村林業の若い社長・清一の真面目な性格に感心する。・・・次の短編のマエフリ的な内容。要るのかこれ?

「第四夜 神去村の事故、遭難」:勇気が仕事場で捻挫をしたため,ヨキと勇気は山の中で一晩を過ごすことになる。勇気は,かつて神去村が経験した事故についてヨキに尋ねてみる。・・・いよいよ清一とヨキの両親たち神去村の多くの人々が巻き込まれた事故のことが明らかになる,,,のだが,え?神去村で災害があったんじゃないの?なんか思っていたのと違う。

「第五夜 神去村の失せもの探し」:ケガの治療で仕事を休んでいる勇気は,大事なものを失くした山根の親父と一緒にお稲荷さんに行く。さらに直紀のために・・・いろいろホンワカして,一番好きな短編だ。

「第六夜 神去村のクリスマス」:清一親方の息子・山太が小学校でクリスマスパーティーのことを聞いてきた。勇気たちは山太のために,クリスマスパーティの準備をする。・・・勇気が名古屋にプレゼントを買い出しに行くシーンが好き。

「最終夜 神去村はいつもなあなあ」:清一の家でクリスマスパーティが開催される。モミノキの代わりに赤松,オーナメントの代わりに七夕飾り,超合金の代わりに木製ロボット,いろいろ違うけど,たまらなく温かい時間が過ぎる。ところが勇気と直紀は?・・・クリスマス編の後編で,ラストの短編だ。とんちんかんなパーティも楽しいし,真っ直ぐな直紀との恋愛も微笑ましい。まあ,これで終わりが平和で良いかな?













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Last updated  2014.07.26 13:16:41
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2014.07.03
カテゴリ:ばくばく冒険小説
三崎亜記が写真家・白石ちえこの作品にインスパイアされて書いた短編集を読んだ。

○ストーリー
10年前のあの災害により,〈私〉の故郷は海の底に沈んでしまった。妻を伴い20年ぶりにそこを訪ねた〈私〉は,変わり果てた風景を目にして黙り込んでしまう。けれども海の底では・・・

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日常から地続きの異世界を,ノスタルジアたっぷりに描く三崎亜記の短編集を読んだ。表紙を手始めに30枚ほどの写真が掲載されているのだが,これが驚くほど三崎亜記の世界にフィットしている。

写真はモノクロで,廃墟や路地裏など古い時代を感じさせる風景が写っている。全て白石ちえこという写真家の作品だ。

後から気付いたのだが,この短編集は,まずは写真があり,それに触発される形で三崎亜記が小説を書いているのだ。だからこそ,たった1頭のメリーゴーラウンドの馬,電柱に付けられた巣箱,と言った小説の場面とマッチした写真が掲載されている。

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短編たちはいつもの三崎亜記作品で,灰色の日常とかすかな夢が語られる。会社,動物園,住宅街などの日常にふと出てくる違和感を拡大して,不思議な味わいのあるファンタジーにまとめている。

初期の頃のぎこちなさもだいぶ減り,安心して読める。この作品では少し新しい味わいも見えてきた。

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各編について簡単に感想を述べる。
「遊園地の幽霊」:〈私〉はよく遊園地の夢を見る。調べてみると,今住んでいる所にはかつて遊園地が存在し,この地域の人々はひんぱんにこの夢を見るというのだ。悩んだ末に〈私〉は・・・短編の内容にピッタリの写真が掲載されていて驚いた。底辺に流れる感情は間違いなく三崎作品。冒頭の短編にふさわしい。

「海に沈んだ町」:〈私〉は,20年前に捨てた故郷を妻と訪問する。町は天災の〈海〉により,海の底に沈んでいた。2人は遊覧船に乗り,町があった場所を一周する。・・・まるで東日本大震災や,福島第一原発の被災地のことを描いているような短編であり,さすがは表題作品というところ。

「団地船」:小学校時代に仲が良かった少女が引っ越していった〈団地船〉が寄港した。〈私〉は30年前に別れたきりの少女のことに思いを馳せ,〈団地船〉を訪問するが・・・行政的なリアリティを加えて,不思議な状況に説得力を与えてしまうのは,三崎亜記の持ち味だ。苦い展開となる。

「四時八分」:その町では5年前から4時8分で時間が止まっている。町を通り抜ける必要があった〈私〉を案内してくれたのは・・・ワンアイディアの短編。

「彼の影」:夏至を機に影が反乱を起こす。いつもと異なる影の動きや形状に,人々は驚いたが,やがてその影響の少なさに話題にもしなくなった。少し遅れて〈私〉の影にも異変が起きた。なんと影は,〈私〉ではない男性のものとなっていたのだ。〈私〉と男性の影の共同生活が始まる。・・・ちょっとコミカル,そして寂しい。いい短編だと思う。

「ペア」:〈私〉はペアを解消することを決心する。この世界では誰もが見たことの無い人とペアを組み,精神的な支えとなるだけで,そのまま会うことも無く生活を続ける。実りの無いペア生活に見切りを付けた〈私〉だが・・・これは間違いなく現実世界のアレの風刺だ。最後の一ひねりは三崎亜記としては新しい作風だ。

「橋」:住んでいる地域の前の小さな橋は,予定の通行量を満たしていない。市役所はそれを理由に,より簡素な橋へと架け替えることを通告してくる。・・・出た!リアルな市役所職員。ひじょうに不安感の残る終わり方。

「巣箱」:家に付いていた巣箱を〈私〉は急いで駆除をする。町では巣箱の侵食が進み,住人と行政が協力した駆除が必要となっていた。だが,〈私〉の家では・・・映像作品にしたら面白そうな短編。ビミョーに怖い。

「ニュータウン」:かつて反映したニュータウンは,世代交代と共に衰退しつつあった。ニュータウンの絶滅を防ぐために,政府はそこを鉄条網で囲い,住人を保護することにする。それでも止まらない衰退を止めるために政府が取ろうとした施策とは?・・・ニュータウンとその住人を絶滅保護種として扱う!この視点が三崎亜記だ。この作品の中では長めの短編。








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Last updated  2014.07.05 17:55:20
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2014.07.02
カテゴリ:ばくばく冒険小説
ミステリーの傑作として名高い岡嶋二人の作品を読んだ。

○ストーリー
ガンで余命数ヶ月を宣告された男が,8年前に起きた事件を思い出して手記を記す。そこには,5才だった彼の息子・慎吾が誘拐され,身代金の金塊を抱えて,男が日本を横断した物語が記されていた。さらに12年後,ある少年が誘拐される。開放の条件の身代金のダイヤを運ぶために,犯人に指名されたのは,25才の研究員になっていた慎吾だった。だが複数の警察官の監視の下,10億円のダイヤは消えてしまった。果たしてそのトリックは?

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冒頭から緊迫の誘拐事件が始まる。次々と繰り出される犯人の斬新なテクニックが興味深くて,どんどんと読み進んでしまう。シンプルな文体で,人間描写は少ないが,きちんと必要な情報は伝わってくる。

過去と現在の2つの誘拐事件が語られる。ページの比率は1対5くらいで,圧倒的に現在編が多いが,双方ともアイディア満載で,先が全く読めない。とてつもない量のアイディアが,この作品1つに盛り込まれている。

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実は過去編と現在編の大きな差は,過去編は被害者の視点から,現在編は犯人の視点から物語が描かれていることだ。

とは言え,読者に犯人の計画が明かされているワケではない。結局のところ,読者の立場は,ダイヤ運搬役の慎吾を護衛している警察官のように,「うん?この指示はどういう意味だ?」とおろおろと考えている,というのに近い。

視点は異なるものの,途中までは作者に良いように翻弄され五里夢中状態になる。これもまたミステリーの楽しみの1つだと思う。

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個人的には,ルシアン・ネイハムの「シャドー81」という冒険小説を思い出した。この作品も,途中にいくつも危険はあるものの,淡々と計画を進める犯人が,最後には勝利する,というクライムノベルだ。

この作品の主人公も,ひじょうに緻密な計画を,神のような素晴らしいタイミングで進めていく。

こんな主人公が日本の小説にもいたとは驚いた。

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この作品は1988年に発表されたので,当然今日の視点で見れば,いろんな技術が陳腐化している。それでもまったく作品の魅力は薄れておらず,いくつかの機器と名称を今日使用されているものに置き換えれば,少しも問題なく物語は成立する。

手に取ったら止められなくなる魅力に満ちている悪魔のような作品だ。

日本のベストオブベストだと思う。圧倒的にオススメだ。














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Last updated  2014.07.02 21:49:00
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2014.06.30
カテゴリ:ばくばく冒険小説
「暗黒神話」という大傑作伝奇マンガを40年前に発表し,奇才として有名な諸星大二郎の〈妖怪ハンター〉シリーズの新刊を読んだ。

○ストーリー
民俗学者・稗田の生徒・天木薫は,夢を売り買いする風習があるという夢見村を調査に訪れる。薫は村で,妖怪〈夢盗り男〉に追われる夢を見る。そして目覚めてみると,村では〈夢盗り男〉に襲われて死んだ人が出ていた。薫は謎の儀式〈夢交換〉で,その悪夢を自分から引き離そうとするが,村ではさらに・・・

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表題作「夢見村にて」と「悪魚の海」の2編が収録されている。〈妖怪ハンター〉稗田礼次郎はあまり活躍せず,彼の弟子にあたる少年たちが主人公となっている。そうした不満はあるものの,やはり正統なシリーズの新作が発表されるのは単純にうれしい。

伝奇ホラーの楽しさは,歴史的な裏付けや因縁を作品に取り込むことで,「ひょっとしたらこれはありえるかも知れない」と思わせることだ。まだまだあちこちに残る日本の変わった風習や,奇妙な遺跡をきっかけにして,そこから広がる物語には深いロマンがある。

長編となり世界の命運を語るような物語だと,あまりにも現実から離れてしまうので,旅先で経験した不思議な出来事,という程度のこのシリーズは,なかなか良いバランスだと思う。

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諸星大二郎はお世辞にも絵が上手いとは言えない。昭和の絵物語のイラストのようなおどろおどろしいタッチ,執拗に書き込まれた背景は,正直怖い。これで40年間現役なのは,やはり突出した独自性があるからだろう。

30年前から執筆をしている諸星大二郎版の「西遊記」,「西遊妖猿伝」は完結しないのでは?と言われているし,まだまだ頑張ってもらいたい作家だ。

この作品は,ソフトカバーとは言え200ページを超える本なのに,2編しか収録されていないのは残念だ。それぞれの短編も,もっとコンパクトに出来るはず。前巻から5年も待たせたのだから,もう少し濃いものを読みたかった。

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各編について簡単に感想を述べる。
「夢見村にて」:夢の売り買いをする風習があるという夢見村の調査に一足先に出向いた天木薫は,早速,村の人々に新鮮な夢を売ることを求められる。だが,夢の中にいるはずだった妖怪〈夢盗り男〉が現実に現れ,村の人々を襲い始める。果たして,その真相は?・・・山の物語担当の天木薫と美加の兄妹が主人公の短編だ。〈夢交換〉という怪しい習慣,土偶風の仮面を被った祭,と期待通りの展開となる。ラストはファンタジー風。稗田先生は活躍出来ず。

「悪魚の海」:小島渚は夜の海岸で,海女の修行をしているはずの中学時代の友人・後藤カオリと出会う。カオリは海女の修行がつらくて逃げ出していたのだが,海から呼ぶ不思議な声を聞くと,戻って行ってしまう。心配した渚は,ボーイフレンドの大島潮とともに,カオリが暮らしているはずの集落へ出かけるが,そこはひどく排他的で追い払われてしまう。渚たちは,知り合ったジャーナリストと共に,夜の闇に乗じて海女小屋を目指す。そこで彼らが見たものとは?・・・海の物語担当の大島潮と小島渚が主人公の中編だ。訪問者を嫌う村人,海から来る謎の生物,漂う悲哀,と,これまた海の〈妖怪ハンター〉のパターンの展開となる。まあ,こうなるよね,という終わり方。稗田先生は登場出来ず。手紙ぐらい書いてあげればいいのに。










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Last updated  2014.06.30 21:57:15
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