カテゴリ:小説
特に通行証を持ち合わせていた訳でもなく、適当な物を捧げて入ったラビダンジョン。
今までと変わる事無く、出てくるスケルトンや骸骨オオカミを退けていく。 エルマが異変を感じたのは、2階のとある部屋でラグナスがネズミに刃を向けた時だった。 『待ってラグナス、あのネズミ様子が変よ!』 「変だって?どういう事だ?」 『あいつの周りに何か変なのがある・・・遠隔操作かな?』 「遠隔操作、ね・・・霊媒能力でも持っている奴なら出来るだろうけど、それがどうし・・・」 そこまで言いかけ、ラグナスはハッとなった。 「・・・待てよ、霊媒能力はあいつも持っているな。」 『確証は無いけど、多分・・・』 そこまでエルマが口にした次の瞬間、耳障りな音と共にラグナスの頭に痛みが走った。 思わず頭を抱えるラグナス。 「―――っ!?」 『ラグナス!?』 強烈な痛みが少し引いてきたところで、聞き覚えのある声が聞こえて来た。 ―――聞こえますか?私は今ダンジョンの中にいます・・・多分、まだあの世界の中だと思います。 少し間をおいて、少女―――悠楽の声は続いた。 ―――確証は無いのですが、このネズミに2枚の通行証を持たせました。一方をあのダンジョンで捧げれば、多分・・・お願いです、誰か・・・っ! 声はそこで途切れ、頭痛も治まった。 『ラグナス、大丈夫?』 「ああ、なんとかな・・・それより・・・」 ラグナスは未だ目の前にいるネズミを調べると、黒い紙切れを2枚見つけた。 この前の依頼で使ったあの通行証と結構似ている。 「やっぱりあったか。」 『ちょっと、これって・・・』 「悠楽の言っていた通りだ・・・こいつであのダンジョンに入るのか・・・」 『・・・良く分からないけど、ビンゴみたいね。』 「ああ、そうだな・・・そうと決まれば、早速殴り込ませて貰うとするか。」 通行証を仕舞い込むと、ラグナスは再び歩き出した。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/03/17 11:29:36 PM
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