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輝く翼・纏いし風

輝く翼・纏いし風

(纏いし運命と交差する心 優しき風)

      ~「プロローグ」~

夕日に染め上げられた桜並木の続く道を
少年はうつむき加減に歩いていた。
その表情からは何を考えているのかは分からない
ただ歩いているうちに、地面に落ちているものに目を留めて、
見つけた物の手前で足を止めて落ちている物に凝視していた。

「木の枝か? ……違うか……」

少年が見ていた物の特長を述べると
見た目は指揮棒のような形だが、大きさは約20cm程の棒で
精密な装飾が持つ所と思われる所以外に施されている。
持つ所は持つ所で、手に良く馴染みやすそうで握りやすそうになっている。
色合いは青っぽい色である

少年は不思議なその棒を拾ってよく見ていたが、
ゆっくりといつも持ち歩いている布で包み込んで、
考えてその考えがまとまってから歩き出した。
ここで一言述べておくが、少年の片手にはスーパー等で買った物が
入っている袋が握られている。少年はそのまま真っ直ぐ家に帰った。

……数時間後
少年は、居間で本を読んでいた。
しかし近くで爆発音が響いて来た
少年は訝しげな表情であったが、3分の恐怖と7分の好奇心で
外に見に行った。そして少し離れた通りを走っていくと
上空から爆発音が聞こえて少年が空を見上げると
凄い勢いで人が落ちてきた。
その落ちて来た人は一度地面で弾んで倒れていた。
その人は真っ白な少女であった。
とても美しい顔立ちで神秘的な雰囲気が漂っていた。
少年は少女を見た後にまた上を見ると火の玉が少女に向かって
降って来ていた。少年は頭で考えるより先に少女に向かって走り
少女を突き飛ばして上を見ると火の玉との距離が約1.5mくらいに
なっていた。

「(避けられないか? ……いや、無理だ。
さすがにこの距離じゃどうしようもない)」

少年はそう考えたが思いもしない事が目の前で起こった。
なんと先ほど突き飛ばした少女が自分と火の玉の間に飛び込むような形で
入ってその火の玉から庇ったからである。
ここで一言言っておくが、少女が少年の前に飛び出すには
とても無茶な動きをしなければならない
その動きとは突き飛ばされた体勢から地面に片手をついて
そのまま後ろに飛ばなければならない
普通の人や物理的な物から例えるととても無理な動きである
その為少女のとった動きは、少年も驚いていた。
そのまま少女は火の玉に吹き飛ばされて燃えながら地面に倒れた
しかしその少女を覆っていた炎が、不思議な光に包まれてまるで
ドライアイスが気体になって消えていくように掻き消えて行った。
少年はその光景を見ていたが上空に居る者がさらに攻撃を加えようとした時少女の前に立った。
上空の者は驚いたように動いたが、そっとその動きを止めて
煙のように消えて行った。
少年はその様子を2・3分眺めていたが、すぐに少女の方に向き直って
少女の外傷を一通り確認してそっとおぶって自宅の隣に住んでいる
いつもお世話になっている人の所に歩いて行った。
その家の人は少し驚いた風にしていたが、少年の家にその少女を運ばせて
空いている部屋に布団やベッドなどを準備して寝かせて、
少年に色々と準備するものを伝えてその間に傷の手当てをして
そっと布団をかぶせた
少年が戻ってくるとそっと耳打ちをして帰って行った。

……ただの平和な日常に僅かながらの変化が生じた。
少年は少女と出逢った事によりこの運命の糸に絡められて行く
これから少年が巻き込まれて行く不可思議な事に翻弄されて行くのか
はたまた馴染んで行くかは確かではない
この日を境に少年は、この運命(ものがたり)の始まりに立った……
たくさんの交差する想いや戸惑いと共に紡がれて行く物語
この物語の調べは紡がれ始めた……
歯車は廻りだした。もう逃げる事も出来ない運命の糸
少年と少女の複雑な物語……その始まりへの道が開かれて行った……


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