素晴らしい国産小型ジェット機:MRJの初飛行:写経訂正
★2015.11.11に日本初の国産ジェット機が空を飛んだ。MRJ(三菱リージョナル・ジェット)である。 <MRJ試験JET機:WIKIPEDIAから>★ 昔、大阪(伊丹)から高知空港まで帰省のために乗船したのが、YS11(乗員2名、定員56-64名、最大巡航速度470-480km/h、フル搭載時の航続距離1,090km)という国産プロペラ機であった。安定感はあったものの四国山地の山々の上空をすれすれに飛んでいるような錯覚を覚えたものである。 <YS11,WIKIPEDIAより>★第二次世界大戦の敗戦国としてGHQにより日本は全航空機の破壊、航空機製造会社・運航会社・研究機関を解体された。日本航空(1951年)、全日空(の前身、1952年)その他航空会社が1953年までに発足できたが、機材は米国、英国などの航空機で占められていた。航空機メーカーとしては、1950年に勃発した朝鮮戦争で特需を受けた米軍機の整備・補修であった。国産航空機の製造プロジェクトは現三菱重工業、現川崎重工業航空宇宙カンパニー、富士重工業、新明和工業、日本飛行機、昭和飛行機(以上の機体メーカー)と、住友金属、島津製作所、日本電気、東京芝浦電気、三菱電機、東京航空計器製造所(部品メーカー)の複合ジョイントで、現経産省、現財務省の支援のもと、東京大学の財団法人輸送機設計研究協会(「輸研」) で始まり、戦前の「ゼロ戦」、「隼」、「紫電改」、「飛燕」などの設計に関わった技術陣「五人のサムライ」が「中型航空機」の設計に取り組んだ。「輸研」の 「輸送機のY」、「設計のS」、「エンジン番号の1」、「機体番号の1」とし、1958.12.11に 「製品の外観や機能性を表す実物大の木製の木型=モックアップ」が披露された。「横浜(Y)杉田(S)で11日に会いましょう」 がYS11にも一致することで、「ワイエスジュウイチ」 とも呼ばれる。「輸研」は日本航空機製造(日航製=NAMC)に改組、以前に加えて商社、金融機関が出資に加わった。★YS11は輸出も目指したために、戦前の軍用機技術(*)はほとんど使えず、「5人のサムライ」は実用機設計の道を譲った。 /////(*)戦前の日本の軍用機は主に単座や複座・複葉機で、敵機を邀撃したり、敵地・敵艦隊の爆撃などを主目的に製造されており、民間人・貨物を大量・安全に輸送する機体ではないように思える。ただし、将来の超音速機は複葉機が轟音を軽減できるとも言われている。 <未来の超音速複葉機・・東北大学の複葉翼造波抵抗減少理論>///// 純国産とはいかず、既存の部品を輸入した。エンジンはターボプロップエンジン=ロールスロイス(英)製プロペラはダウティ・ロートル製タイヤはグッドイヤー製気象レーダーと無線機はロックウェル・コリンズ、ベンディックス製ジュラルミン部材はアルコア製 となっている。 YS11の初飛行は1962年8月30日であったが、数々の問題が発生し、就航復活をアピールできたのは東京オリンピック聖火を各地に運んだ1964年9月9日であった。長期に亘って運航されたが、2006年国内旅客運搬から退場した。★さて、小型国産JET機・MRJは2002年8月に経産省が発表した「環境適応型高性能小型航空機(=30~50席クラス小型ジェット機)」の構想に沿う、ターボファンエンジン搭載の噴射式JET機である。以前のYS11での他社横並びの事業体制を取らずに、主契約社:三菱重工業(事業を子会社化=三菱航空機)、協力会社:富士重工業、日本航空機開発協会、開発協力:JAXA、東北大学 エンジン:IHIなどでスタートしている。座席は70~92席、巡航速度マッハ0.74、離陸滑走距離1,450~1,740m最長タイプ航続距離3,770kmの小型JET機。部品の7割は外国製に依存するが、設計、組み立ては国内メーカーが行う国産機である。 今後20年間にわたり2,500機を販売予定で、現在407機を受注している。★TVドラマ「下町のロケット」が高い視聴率を得る中で、岡山などの中小企業企業群も参加する、初めての国産JET機構想の実現は国民の高い期待で迎えられている。★この快挙は、「はやぶさ」宇宙ロケットでの日本の技術の高さに裏付けられているように思う。 <はやぶさ-JAXA>小生には、MRJの機体の形状は仏の超音速機・コンコルドのミニチュア版のように見える。 <Web画像:コンコルド関空記念フライトより> 兎に角、おめでたい話である。★ 参考:日本公庫総研レポート No.2010-3 「航空機産業に於ける部品供給構造と参入環境の実態」 ~機体・エンジンから個別部品分野に至るサプライヤーの実像~ I.航空機産業の構造と市場の概要 II.航空機産業を担う先進的企業へのインタビュー調査 III.航空機部品の供給構造と取引態様 IV.航空機産業への参入と明日への期待 ////////// 上記から抜き出し・・・ Webで検索できます・・・ リージョナルJET全幅/全長座席数/航続距離全備重量/航続マッハエンジン機体価格/初飛行 ボンバルディア・エアロスペース(加) CRJ-900LR 24.8m 36.2m 88席1,804km 38.3t 0.780 CF34-8C5 $28.0m2001.10 エンブラエル(伯) ERJ-190 28.7m 36.2m 98席1,680km 47.0t 0.90 CF34-10E $31.0m2004.3 三菱航空機(日) MRJ-90 30.9m 35.8m 92席880km (*1) 39.6t 0.78 PW-GTF -(*2)2015.11 スホーイ・カンパニー(露) 中国商用飛機有限責任公司(COMAC)(中) -2008 (*)朝日新聞2015.11.12によると少し情報が違うようである。MRJ90では・・ (*1)座席数88席、航続距離は3,770km (*2) カタログ価格 58億円 約122.86円/$として$47.2million ・三菱航空機は 1.優れた環境性(次世代エンジン、先進空力技術採用でCO2,NOx排出量を 競合機に比して大幅低減、かつ、騒音は競合機に比し約10デシベル抑制) 2.快適な客室(日本独自の三次元立体編み物技術を採用したシート、 広いヘッドクリアランス、広い客室内荷物収納設備、落ち着きのある照明) 3.優れた運航経済性(低燃費の次世代エンジン、複合材採用による機体軽量化 により、競合機に比し約20%の燃費向上、騒音レベルの低下による着陸料軽減) を実現するMRJの機体開発、設計、委託製造、販売を目的に 親会社・三菱重工業が設立した。 三菱重工業、トヨタ自動車、三菱商事、住友商事、三井物産、 東京海上日動火災保険、日本政策投資銀行の出資により設立された。 //////// ・ウィングウィン岡山(会長企業=株式会社中塚鉄工所)・・岡山県 航空機関連部品の共同受注のための連携体組織 ★