丸ゴリ婦人の新婚劇場

約1ヶ月ぶりの運ちゃんとの逢瀬。




誕生日を早めに祝ったのが、一番最近の逢瀬だった。





誕生日当日に警察に連行されたのもどうかと思うけど、

でも早めにお祝いしておいて良かったな、と思った。









1ヶ月ぶりの、待ち合わせの駐車場。


いつもの場所も、平日夜は車もまばらだった。






「着いたよ」と連絡を入れる。


10分ほどして、運ちゃんの車が駐車場に入ったのを見つけて


足早に駆け寄る。











「ひさしぶり！」




「疲れたろ、ありがとな」










そう、声をかけてくれたけど




・・・運転席の運ちゃんは、

横顔でもはっきりとわかるくらいに、痩せていた。













顔も、お腹も、肉が落ちていた。













10日で、8キロ痩せたらしい。

ここ3日、ほとんど何も口にしていないと言った。








出署してから、別居していた家族が頻繁に食事に呼んでくれるらしい。


でも、食欲がない。

食べ物が、のどを通らない日が続いている。












お腹がすくよりも、トラウマで胃が痛む。



医者から処方された
胃痛の薬だけを服用しているような状態。













夜の孤独が辛い。




眠れない。







罪悪感で、つぶれそうになる。











今までこんな気分になったことないくらいに、生きた心地がしない。


















涙もろい。
















連れて行かれた経緯、中であったこと、
残ったトラウマと罪悪感、






始終を、全て話してくれた。

私はただ横で、うん、うん、と聞いていた。













ほかに、相槌の言葉が見つからなかった。



軽く明るく、励ましの言葉を掛けられる内容でも雰囲気でもなかった。












途中、泣きそうに声が震える運ちゃんを抱きしめて

肩越しに話を聞いた。










もらい泣き、と似ていて少し違う。

なんで私もこんなに泣きそうになるんだろう。





運ちゃんがかわいそうなんじゃない。



運ちゃんが苦しんでるのが、辛い。















大丈夫、大丈夫、もう大丈夫だよ


私がついてるよ


辛いことも苦しいことも、私がきっと救うから



どんなことだって、必ず助けるから




泣かせたりしないから












そのどのひと言も、言えなかった。










ただ、自分の左肩が


運ちゃんの少ない涙で少し濡れるのを感じて







自分の目から
涙が落ちそうになるのを上を向いて必死でこらえていた。








悲しみに飲まれるな。

辛い感情に引きずりこまれるな。






共感こそしても、感化されすぎちゃだめだ。



ふたりで落ち込んでたら、
誰が彼を底から引っ張りあげるんだ？

















2時間近く、運ちゃんとしゃべった。
















睡魔がときおり自分を襲うけど


運ちゃんをひとり残して、夢へ旅立つのもいやだった。










電気を消した後も、運ちゃんは隣で
寝苦しそうに何度も寝返りを繰り返していた。






「…寝れない？」と小さく問いかけると


「うん・・・」と返ってきた。






手だけ繋いだまま、目をつぶって自然と眠りに着くのを待った。


私はすぐに意識が沈んでしまったけど

運ちゃんはいつまで起きていたか、わからなかった。











「一人じゃなかったから、少しだけいつもより安心して眠れたよ」



いつもなら目覚ましが何度鳴ってもなかなか起きない運ちゃんは


目覚ましよりも10分早く起きて、携帯のアラームを止めていた。





「すぐ起きるの、慣れた。

…"起床！"ってさ、看取が6時に起こしにくるんだよ。」








運ちゃんは、確かに罪を犯した。
数年前の、過去とはいえ悔い改める必要のあることで

連行されたのは然るべき処置であり

”過去のツケ"が回ってきたということに過ぎない。








能天気な言い方かもしれないけど、

運ちゃんは、これでよかったのかもしれないと私は思った。








罪は帳消しにはならないけど
これで、過去の清算がされたってことだ。



これから先、今から先は全部作っていける。

生き方次第で、どんどん良いものにできる。

そう思う以外、考えはなかった。






なによりも、運ちゃんの生き方と考え方が

この与えられたトラウマと罪悪感で大きく変わったのを実感する。




そのせいで今、本人はとても苦しんで押しつぶされそうだけど

長期的な目で見たら、良い方向へ大きく変わったのは確かだ。











悪いことをして捕まるのは
ひょっとして運が良いのかもしれない。




生き方を変えるきっかけを与えられる。
更生のチャンスをもらうことができる。




あ、悪いことしないにこしたことないんですけどね。










今はただ、せっかく与えられた
生き方を変えるチャンスに


トラウマと罪悪感に負けてつぶれてしまわない様に


運ちゃんを支えていく言葉や方法を考える毎日です。













下手すると、つぶれて鬱になってしまうかもしれないくらい

今の運ちゃんの状態は結構深刻だったので。



反省してるのは痛いくらいわかる。
反省しすぎて押しつぶされるんじゃないかと心配になる。













借金あろうが

連行されようが


私にとっての運ちゃんは結局、運ちゃんでしかない。













正直、今週友人の結婚式ですが

そのためにとった休日を運ちゃんの近くにいてあげたいと思ってしまいました。




ごめんなさい。

今、一番大切で気がかりなのは結婚式よりも

つぶれそうな恋人なんです。








出席ドタキャンなんて無礼なことはさすがにできませんが

2次会出ずに運ちゃん家に行きたいのですが

2次会の幹事なんですよね・・orz






嗚呼！