第344回「MEMORIES」
これは、実写の難しいアニメ版の「世にも奇妙な物語」と、思った。1995年の作品ということだから、時系列(時間)によっては、これが元祖で、今もたまに森田一義氏(タモリ)が案内人の「世にも奇妙な物語」のテレビ番組になったのであろうか。◆現品限り◆MEMORIES【中古】【アニメDVD】 MEMORIES / 山寺宏一、堀秀行、磯部勉、 キートン...価格:1,980円(税込、送料別) さて、第一話は「彼女の想いで」であるが、人の深い思い出は、宇宙に漂い、その波長に合った人の波長に入り込み、その人の深い悲しみの思い出をえぐり出す。そして、その苦しみを必死に乗り越えようと、また、乗り越えて来た心を、その勇気をえぐり出し惑わせながら、同じ道に(深い悲しい苦しみの井戸の底へ突き落とす)引き連れて行くことで、彼女は自分の心を慰め、和らげるのだ。なんと切なく、なんとやるせない「彼女の思い出の物語」なのだろう。 小生の思い出が重なる。昔の懐かしい楽しい友人との思い。 小生が、まだ、二十代の頃、友人が勤めるレンタルビデオショップ(当時はVHSビデオ)によくビデオを借りに行っていた。いつも、その友人に、お薦めの映画を紹介してもらっていた。これも、その中のひとつの作品だ。その彼は、一昨年の6月の末に脳梗塞で他界してしまった。その前のどのくらい前かはもう定かでないのだが、田舎に帰省した時、デパートでバッタリ声をかけられたのに彼とわからなくて・・・、 彼の風貌は、特に頭髪が薄くなり老けて見えて、だれなのかわからなかった。その小生の様子を見て、彼は、自身の風貌がかわってしまっていることを理解したのか「わからないかぁ~かわっちまったから、あはははははぁー」といいながら、お子さんたちとその場を立ち去って行ってしまった。そのことをかすかにしか思い出せない。なぜ、今頃になって、そんな一瞬の出来事を頭の片隅の記憶が、浮かび上がってきたのか。しかも、かすかにしか映像に浮かんでこないのだ。・・・なんて薄情な自分かと、思い返すと情けない。そのころ薦められたものを思い出しながら、再び当時の映画を思い起こしていた。 そんなとき、大友克洋監督がアニメーションの振興に貢献した人物に対する表彰である、ウィンザー・マッケイ賞を受賞しているテレビニュースを目にした。以前に『アキラ』でも同じように昔の事が頭に残っていて、なにかわからぬ不思議な世界感から、妙な気持ち良さ(懐かしさ)に吸い込まれているような感じが欲しくなり、仕事や、今自分が抱える問題や悩みを忘れたくて、そんな感情をこのアニメの物語から求めてしまのである。 そんな気持ちの虜にならないようにしなければいけない。そう、「MEMORIES」第一話の「彼女の思い出」のテーマのような気がする。(おわり)