ロシアで裏千家
まだモスクワにいたときのことなのですが、(ちょうど大家とのバトルが ヒートアップしている頃だったので書き忘れた)お茶会におよばれしました。アフタヌーン・ティーではありません。日本の茶道、裏千家の会です。例年6月に2日間、モスクワのボタニーチェスキー・サード(「植物園」)の中にある日本庭園で開かれていて、既に17年続いている催しだそうです。ペテルブルクで知り合ったロシア人の女の子がモスクワにいるならいらっしゃい、と招待してくれたのでした。つまり実働部隊は、茶道をやっているロシア人の子たちなわけで、日本庭園に足を踏み入れてみれば、みんな和服。で、日本人の私が洋服!みんなお作法ばっちり!!日本人の私は全然知らない!!!ロシア人にお作法を教えてもらった私。あぁ逆説的で変な感じ。庭園内の畳敷きの東屋で、お茶と練切菓子(きっと彼らが作った)をいただきながら、彼らを指導する日本から来た先生のお話。「茶道って、相手のために おいしいお茶をいれよう、と思うことなんですよ」という、「ええ話や」で片付いてしまいそうなセリフが、どういうわけかしみじみと温かく優しい哲学として伝わってきて、どれくらいお偉い方なのか正確には知りませんが、一つの道を追求してきた人の重みのようなものを感じました。庭園内では茶器の展示もありました。ロシアでの茶道ですから、茶器は日本製にこだわるわけではなく、ロシアやウクライナの伝統的木工芸品をなつめにしたり、中央アジアの陶器を茶碗にしたり。これもまた、茶道って究極には形ではなくて心なんだね、と思うと、ごく自然なことに思えました。なんというか、こういうふうに有機的にそれぞれの地元のものを己の中にとりこんで世界中に共通の思想として広まっていかれるならば、茶道ってイッツ・ア・スモール・ワールドを実現できるものなのかもしれませんね。(ちなみに先生に名刺をいただいたら、 私と同じ鎌倉にお住まいで、 うちの実家と電話番号がほとんど同じだった。 そういう意味でも世界って狭い。)ロシアの和服美人