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2019年05月06日
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カテゴリ:初音ミク龍騎
初音ライダー龍騎
第1話
「GAME START」
 
リン「ミク姉、レン見なかった?」
鏡音リンは「ボーカロイド荘」の中の階段をドタバタとかけ降りたところで脚を止め、視界に入った姉・初音ミクに声をかける。
ミク「レン君?見てないけどどうかしたの?」
外出から帰ってきたミクはリンに聞き返す。
リン「リンが昼寝してたら居なくなっちゃってたの。どこ行ったんだろ?」
リンは先まで2階の自分の部屋でファッション雑誌を読みながら音楽を聴いていたが、その最中にうたた寝してしまっていた。そして起きたところで自分の双子の弟・鏡音レンと遊びに行こうと思い、レンの部屋に声をかけ、入ってみるとレンの姿はなかった。
ミク「私は先外から帰ってきたとこだけど、見てないよ。お姉ちゃんかお兄ちゃんなら知ってるかもしれないよ?」
ミクは姉・MEIKOか兄・KAITOなら何か知っているだろうと思い、2人に聞いてみることをリンに薦めてみた。
リン「MEIKO姉、KAITO兄、レンどこ行ったか知らない?」
リンはミクを薦めを聞き入れ、リビングのテーブルに座っているMEIKOとKAITOに聞く。
MEIKO「レン?10分くらい前に外に出かけて行ったわよ。」
MEIKOは顔をTVからリンの方へ向けて答える。
リン「どこ行くって言ってた?」
KAITO「確か、新しいゲームを買いに行くって言ってたな。」
新聞を読んでいたKAITOがリンの追加質問に答える。
MEIKO「あら、ミク帰ってたの。レンとは会ってない?」
ミク「つい先帰ったの。レン君とは会ってないよ。」
リン「ねぇ、レンはどこのゲーム店に行くって言ってた?」
ミクが帰っていたことを確認したMEIKOとミクとの会話にリンが割って入る。
KAITO「最近、新しくできた中古ゲーム屋がどうとか言ってたかな?もっとも、そこまで詳しく聞いてないけど」
KAITOがリンの質問に答える。
リン「リンも行ってくる!」
リンはレンに置いて行かれたような気分となって若干焦り、駆け出しで玄関に向かっていった。
MEIKO「十分気をつけなさいよ。最近変な事件が多発してるから。」
リン「分かっぱ!」
MEIKO「・・・何それ」
リンはMEIKOの忠告に変な台詞で頷き、玄関のドアを開けて外に出ていった。
リン「うわっっ!?」
リンは勢いよく玄関を出た矢先にバナナの皮を踏み、案の定滑って転んだ。
ミク「ちょっと、大丈夫?」
MEIKO「・・・言った傍から」
ミク、KAITO、MEIKOはリンの側に駆け寄る。
ミク「あ、そういえばこんなのあったな・・・」
MEIKO「リン、大丈夫?」
KAITO「バナナの皮か・・・レンの仕業だな。」
KAITOは玄関の外に落ちていたバナナの皮を拾った。レンは食べたバナナの皮を適当なところに放置するという、一昔前の悪戯を仕掛ける癖がある。KAITOやMEIKOはもちろん、ミクもよく注意するが一向に止める気配がない。
リン「ん、だいじょーぶ!特にケガもないしさ!それじゃ!レンに仕返ししてくる!」
リンは体制を立て直して自分の身体のケガ等を確認し、再び駆け足で出発した。
KAITO「ところでめーちゃん。変な事件って、最近よく聞く神隠し事件のこと?」
MEIKO「そ。それも1人や2人じゃないし、行方不明者も誰1人未だに生存が確認されてないから、心配でね。」
出かけたリンを見送った後、KAITOがMEIKOに聞く。ここ最近、奇妙な事件に合う行方不明者が続出していた。人が突然消えてしまう事件だ。それも消えるのは人間だけでなく、犬や猫やその他の動物まで消えてしまうという話だった。さらに消えた現場は外だけでなく、家や建物の中でまで起こっている。そしてMEIKOの言うとおり、行方不明者は誰1人見つかっていない。
ミク「・・・確かに。何なんだろ?あの事件・・・」
ミクは不安そうに呟く。
 
 
少し寂れた雰囲気を持つ老舗の商店街。その商店街に近日、如何にも中古屋といった感じの中古ゲームショップが開店した。その噂を聞いた鏡音レンは、そこでゲームを購入し、店から出てきた。
レン「へへ、さてどこでやろうか・・・」
リン「レン!」
レン「あ、リン。」
ゲームを買って店から出てきたレンの元に、レンの双子の姉・鏡音リンが駆け寄ってきた。
リン「それが新しく買ったゲーム?」
リンはレンが左手に握っているモノに目をやり、レンに尋ねる。
レン「ああ。つい先そこの中古屋で買ったんだ。」
レンは左手で握っているモノをリンに見せる。10センチ程の四角い物体。中央には蝙蝠を模した形をした金色のレリーフがあり、中には何かのカードのようなものが入っている。
リン「ふーん。コレ機種は何?」
リンはレンの見せるモノの中央に手の指をやりつつ、レンに聞く。
レン「いや機種っつーかさ、これまでのゲームとはまた違うらしいんだ。」
リン「へ?どうやって遊ぶの?」
リンは立て続けにレンに尋ねる。
レン「ちょっと待った。ここじゃやりにくいから移動しようぜ。」
レンは平手を出してリンを制止する、そして2人は人のほとんどいない公園の方に移動した。
レン「このゲームはカードデッキを鏡とか鏡面になるものの前にかざすと、ゲーム機本体が出てくるらしいんだ。そしてそのゲーム機にカードデッキをセットすると出てくる仮面ライダーのスーツを付けてセット完了。それで鏡の中に入って、そこにいるモンスターたちと戦っていくゲームなんだってよ。」
リン「へぇ~。で、どうやんの?」
レン「まあ見てろよ。」
レンはリンにゲームの概要を簡単に説明すると、左手で公園の近くにある交通用ミラーに向けてカードデッキをかざす。すると鏡にベルトのようなものが映り、そのままレンの腰に装着された。
リン「おお!」
レン「変身!」
レンは右拳を左肩付近に振り上げてガッツポーズを取り、力強く叫ぶ。そしてカードデッキを腰に付けたベルトのようなものに装着すると藍色のスーツに蝙蝠の意匠を持った仮面ライダーらしきスーツがレンの体にオーバーラップするような形で重なり、レンの姿がその仮面ライダーへと変わった。
レン「へへっ、そんじゃ、ゲームスタートといきますか!」
騎士のような面を持つ仮面ライダーの姿を纏ったレンは鏡に吸い込まれるようにして鏡の中へと入っていった。
リン「面白そ~!!リンもやりたい!!」
リンは目を光らせて歓喜の声をあげ、先の中古ゲーム屋へと向かった。リンはレンに置いて行かれたことと、レンの仕掛けたバナナの皮にやられたことで、レンに報復してやろうと思っていたが、先程レンに「面白そうなゲーム」を見せられ、完全にそっちに気が移っていた。
 
 
ミク「・・・もう、何でこんなときにパンクするの・・・」
商店街の老舗クリーニング店「菊池クリーニング」でクリーニング品を受け取りに来ていた初音ミクはパンクした原付バイクを自力で引こずりながら呟く。大通りを走れない今、原付を引こずって歩道を歩かなければならないとはいえ、16歳の少女の力では少々重過ぎる荷物である。
リン「あ、ミク姉」
ミク「リンちゃん?」
ミクは進展された中古ゲーム屋から出てきたリンと会った。
リン「今面白そうなゲーム買ったんだ♪でもこれ1人プレイしかできないからミク姉と一緒に遊べないね。残念!」
リンは中古ゲーム屋で買ったらしいカードデッキをミクに見せて語る。型はレンが持っていたものと同じだが、リンの持つこちらは白く塗装されており、中央には金色の白鳥のようなレリーフが付いている。
ミク「ゲームって・・・」
リン「レンに見せてもらったけど、このゲーム凄いんだ♪見ててよ!」
リンはミクの言い分を無視して、ノリノリで白いカードデッキを商店のガラスの前にかざす。すると鏡面からゲーム機らしきベルトが出現し、リンの腰に取り付いた。
リン「変身!」
リンは深呼吸したように両腕を広げた後、右手の人差し指と中指を立てて左肩に振りかざして叫ぶ。その後、リンはカードデッキをベルトに装着する。そしてリンの体に白鳥の意匠を持つ細身の女性体型をした白い仮面ライダーの姿がオーバーラップされ、リンに憑依した。
ミク「えぇっ!?」
リン「それじゃね、ミク姉!」
ミク「ちょ、ちょっとリンちゃん!」
仮面ライダーに変身したリンは驚愕するミクをよそに鏡の中へ入っていった。
ミク「どういうゲームなの・・・」
その後、ミクの視界に青い作業着を着た1人の男が入ってきた。しかし、その男は横断歩道の手前、信号が赤になったところで止まった。交差点を通行する軽自動車が1台通ったあと、その男の姿が鏡に吸い込まれていく光景が映った。
ミク「何なの?今の・・・」
?「おや、どうなされたかな?」
怪訝な表情をするミクに声をかけたのは中古ゲーム屋の店番をしているらしい地味な色の吹くを着た老人だった。
ミク「いえ、人がいきなり消えちゃって・・・」
老人「人がいきなり消えるのがそんなに不思議かい?」
老人はミクの疑問に聞き返す。
ミク「でも、あのあたり、人が入れるところってないですよ。左右に曲がったか、後に引き返したならすぐに気付くし。というかそもそも、何か鏡の中に吸い込まれていくみたいな感じでしたよ。」
ミクは老人に問いただす。確かに作業着の男が消えた交差点付近は建物はあるが人が入れる入口のようなものはなく、細い間道等も存在しない。さらに見通しも良く交通量も少なく、ミクの位置から見ればいきなり視界から消えるということはありえない。そして何より引っかかるのは、その男が鏡の中に吸い込まれるようだったということだ。
老人「ふむ。鏡の中が気になるのなら、いっそこのカードデッキを使って見るかな?」
老人はカードデッキを取り出した。
ミク「カードデッキ?」
ミクはそのカードデッキを見た。形は先にリンが持っていたものと同じだが、こちらは黒く塗装されている。また中央には龍か何かの動物の顔を模した金色のレリーフが飾られている。
老人「お嬢さん。ゲームとはいえ、このカードデッキがあれば鏡の中に入ることができる。鏡の中で何が起こっとるか気になるなら、使ってみるとええ。ああ代金は構わんよ。どうせ在庫処分しようとしたヤツじゃからな。」
老人は勧めるようにしてミクにカードデッキを渡す。
ミク「・・・分かりました」
ミクは老人からカードデッキを受け取る。受け取った後、ミクの頭の中に自然と「変身」の文字が浮かんできた。そしてミクは交差点を渡り、作業着の男が消えたガラスにカードデッキをかざす。
ミク「変身!」
ミクは右腕を左斜めに掲げて叫ぶ。そして鏡の中から出てきたベルトにカードデッキを差し込むように取り付けた。赤いスーツに龍の意匠を持つ騎士のような甲冑を身に付けた仮面ライダーの姿がオーバーラップされ、ミクの体に憑依した。
ミク「よし!」
仮面ライダー龍騎となったミクは勇んで鏡の中へ入っていく・・・
 
 CONTINUED THE NEXT TUNE 






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最終更新日  2019年05月06日 20時54分33秒
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