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カテゴリ:初音ミク龍騎
初音ライダー龍騎 第19話 「KAITO」 ベルデ=ANNを葬り、上機嫌でミラーワールドから出てきた王蛇=ルカは変身を解いた後、一筋の視線に気付いた。意識を取り戻したミクが怒れる目で自分を睨んでいた。 ルカ「あら、ミクちゃん。お目覚め?」 ミク「・・・許せない・・・あなただけは・・・!」 ミクは目の前で人を殺したルカ=王蛇にただならぬ怒りを覚えていた。ミクは依然、椅子に縛られたままだが、その怒りに震えてルカを睨む。だが、ルカはミクの側に寄ってその顔を撫でる。 ルカ「成程。でもね、ミクちゃん。あなた、口ではそう意気込んでも、本当は私が恐ろしいのではなくて?」 ミク「・・・!」 ミクはルカの瞳の奥に1匹のコブラを見た。そしてそのコブラは目を光らせて威嚇し襲い掛かる。ミクはその恐ろしさに呑まれ、表情が恐怖に引きつられる。怒りと闘争心が消え、恐怖に取って代わられた。 ミク「・・・嫌・・・来ないで・・・」 ルカ「ふふっ。かわいいねぇ。いい声で泣いてくれそう。」 ルカはミクの顔から手を離す。ミクは思わず腰が抜けた。 ルカ「いつでもいらっしゃい。手厚くおもてなししてあ・げ・る♥」 ルカはコブラの目を収めて上品に笑った後、ミクの束縛を解き、龍騎のカードデッキを渡して去っていった。 ミクは未だルカの植えつけた”恐怖”が消えず、拘束から解放された後も立てずに震えていた。 深夜、「ボカロ荘」に帰ったミクは玄関でレンと会った。 レン「ミク姉・・・生きてたんだな・・・」 レンはミクに半眼を向けて言う。 ミク「レン君・・・どこ行くの?」 レン「どこだっていいだろ。それより次はきっちりとどめ刺してやるから、今のうちに余生を楽しんでろよ。」 ミクはレンの台詞を聞き、レンの記憶が戻ったことを確信した。同時にレンを止めようとする。 ミク「レン君!」 レン「るせぇ!!」 レンは自分の肩を掴むミクの手を振りほどき、手の甲でミクに張り手を入れる。そして走ってボカロ荘を出ていった。ミクはレンに叩かれた右頬を抑え、去っていくレンを見送らざるを得なかった。 ミク「・・・レン君・・・ごめんね・・・」 ミクは悲しくなり、涙が流れてきた。彼女は今までライダーの一人とて救うことができなかった。怒りに身を任せて戦いに明け暮れるレン、未知の症状により生死の境で苦しむリン、殺戮を楽しむルカ、そして戦いの中で命を落としたネル、ハク、ANN。特にANNやハク等は、話し合いで止められたかもしれないだけに、戦うのを止められずに死んでしまったことが余計に悲しい。そう思うと、もう涙が止まらなかった。 KAITO「ミク、どうした?」 泣きを入れるミクに声をかけたのはKAITOだった。KAITOは「クりプトン」で残業をこなしていたため、帰宅が夜遅くになっていた。 ミク「・・・お兄ちゃん・・・」 ミクは泣きながらKAITOに抱きついた。 KAITO「・・・そうか。レンのヤツ、また出ていったのか・・・」 KAITOはミクが落ち着いたのを見計らって話を聞いた。ミクはレンが家出したことのみを話した。 KAITO「・・・ミク、前から気になってたんだが、あの仮面ライダーのゲーム、何なんだ?」 ミク「!」 ミクは驚いて一瞬口篭った。だがKAITOは執拗に聞いてくる。 KAITO「笑ったり怒ったりしないから言ってくれ。俺も知っとかなきゃならないと思うんだ。」 KAITOは親身になって聞いてくるので、ミクは仮面ライダーに関することを話すことにした。 その頃、MEIKOはMikiの家で、彼女の調べの報告を聞いていた。少し前までミクの捜索も行なっていたが、結局見つけることはできなかった。だがミクが戻ってきた事をメールで確認し、少し安堵を着いた。 MEIKO「・・・で、ほとんど分かってないの?」 Miki「ごめんなさい。ありったけ調べたんですが、私の持ってる情報と手段じゃちょっと・・・」 MEIKO「・・・いえ、いいのよ。ごめんね。」 MEIKOとMikiは互いに謝る。MEIKOの心境は再び進退窮まった。 Miki「MEIKO先輩。やっぱり専門機関に調べてもらったほうが良いですよ?」 Mikiは見つけたものをMEIKOに提供する。Mikiとて何もしなかった訳ではない。MikiはPCを開いてインターネットに繋ぎ、ある企業のホームページを見せる。開いたホームページには摩訶不思議現象研究機関「BOARD」と出ていた。 MEIKO「BOARDか・・・聞いたことはあるけど・・・」 Miki「オーパーツとかポルターガイストとか色々オカルトなものを研究してるみたいなんです。問い合わせてみたら、明後日なら取り合ってくれるみたいです。地図と資料も印刷しといたから、明日泊りがけで行ってきますよ。」 MEIKO「・・・いや、それは私が行くわ。元々は私が頼んだことだし。」 MEIKOはMikiから地図と資料を受け取り、しばらく「ボカロ荘」に帰らないことを伝えるメールをKAITOに送った。 先日の夜、ミクはKAITOに仮面ライダーについて語った。自分がライダーになったこと、鏡の中にもう一つの世界があること、そしてその中のモンスターが現実の人を食っていることを話した。KAITOはバカに等はしなかったが、やはりにわかには信じられなかった。 そして翌日、KAITOは少しでもミクに元気を出してもらおうと、ミクを連れて大型ショッピングモールへ来ていた。 KAITO「ミク。まだ気にしてんのか?」 ミク「うん・・・!?」 ミクはモンスターの気配を察知し、そこに向かう。鏡の中から出てきたモンスターが近くを歩いていた女性に襲いかかる。女性は悲鳴を上げようとするが、ミクがドラグレッダーを呼び、モンスターに体当たりさせた。 KAITO「!?」 モンスターは女性を解放し、ミラーワールドに逃げていった。ミクはカードデッキを取り出し、ガラスにかざしてVバックルを呼び出す。 KAITO「お前・・・死ぬかもしれないのに怖くないのか!?」 ミク「怖いけど、戦う力があるのに人が殺されるのを黙って見てるなんかできない!人を守るためにライダーになったんだから!」 先の様子を見ていたKAITOは腰が引けつつも女性に逃げるよう促し、ガラスの前に立つミクに問う。 ミク「変身!」 ミクはポーズを取った後、Vバックルにカードをセットし、龍騎に変身する。そして、鏡の中へ入り、ミラーワールドへ向かった。 KAITO「ミク・・・お前・・・」 KAITOは目の前で命をかけた戦いに赴く妹を見届けるしかできなかった。そんなKAITOに突然ガラスの中から現れた謎の影・オーディンが声をかける。 オーディン「妹を助けたければ、お前も戦え。」 KAITO「何!?誰だ!?」 オーディン「戦わなければ、お前の大事なものは守れない。」 オーディンはそう言った後、腰の落ちたKAITOの足元にエイのレリーフが入ったルージュのカードデッキを置く。オーディンはその後、すぐに消えていった。 KAITOは鏡の中を見る。中では龍騎=ミクが得体の知れないモンスターと戦っていた。その姿はKAITOにミクのあの言葉を思い出させた。「人を守るために」。自分も大事な人を守るために戦うべきだ。その意思がKAITOを奮い立たせた。KAITOはカードデッキを取って鏡にかざし、Vバックルを呼ぶ。 KAITO「変身!」 KAITOは親指、人差し指、中指を立てた右手を突き出してポーズを取り、その後Vバックルにカードをセットする。KAITOの体にエイの意匠を持つルージュの仮面ライダー・ライアの姿がオーバーラップされた。 KAITO「ミク・・・待ってろ」 仮面ライダーライアとなったKAITOはミラーワールドへ入っていった。 龍騎はイモリ型モンスター・ゲルニュートと戦っていた。しかし、どこか腰が退けており、ゲルニュートにやや押され気味だった。そこに思わぬ援軍が現れた。ライア=KAITOがゲルニュートを蹴り飛ばしたのだ。 KAITO「待たせたな、ミク。」 ミク「・・・お兄ちゃん?」 龍騎=ミクはライアが兄・KAITOだと確信した。その直後、ゲルニュートは体制を立て直して襲いかかってきた。 ミク「来るよ!」 龍騎の忠告を聞き、ライアはカードデッキからカードを取り出し、左手の盾型カードリーダー・エビルバイザーにセットした。 「SWING VENT」 ライアは鞭状の武器・エビルウィップを手にし、ゲルニュートに振り上げた。ゲルニュートはエビルウィップから繰り出される電撃を受け、よろけてしまう。しかし、すぐさま体制を立て直して巨大な手裏剣のような武器を取り出した。そしてその手裏剣を振り回し、龍騎とライアを攻撃する。2人はゲルニュートの手裏剣を紙一重で回避し、ショッピングモールの屋上へと舞台を移した。龍騎とライアを追って屋上へ上がってきたゲルニュートは、2人目掛けて巨大手裏剣を投げる。龍騎は右に、ライアは左に側転して回避する。そして龍騎は、ドラグバイザーにカードをセットした。 「STRIKE VENT」 龍騎に呼応するように、ライアもエビルバイザーにカードをセットする。 「COPY VENT」 龍騎の右腕にドラグクローが現れた直後、ライアの右腕にもドラグクローが現れた。 ミク「行くよ。」 KAITO「ああ。」 龍騎とライアはゲルニュートに向けて同時にドラグクローファイアを放つ。ゲルニュートは回避行動が遅れ、2つのファイアの直撃を受け、燃え尽きて消滅した。 ミク「やったね!お兄ちゃん!」 KAITO「・・・ああ。」 俺でもできるんだな、ライア=KAITOはそう実感した。そして龍騎に今後の事を問う。 KAITO「ミク、これからどうするんだ?」 ミク「?」 KAITO「俺はまだライダーになったばっかで、知らない事が多過ぎる。それで、ライダーの事や今起きてることをちゃんと聞いて、これからやるべきを考えようと思うんだ。」 ミク「・・・でも・・・ライダー同士は・・・」 KAITO「大丈夫だ。俺は絶対、家族を裏切ったりしないから。」 ミク「・・・うん!一緒に戦おう!」 ライア=KAITOはもちろんミク=龍騎の心配事を理解している。そのうえで彼女を安心させる言葉を発した。 龍騎=ミクは初めて共に戦う仲間ができた心強さを実感した。CONTINUE THE NEXT TUNE
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最終更新日
2019年05月23日 23時23分44秒
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