悲劇の旅行シリーズ第2段:イタリア
「春の空気」に肌が馴染んできたのか、「狂気の私」から「ハイの私」へと脱皮しました。いずれにしても危険ですが。。。もうすぐアテネオリンピックです。私はスポーツ観戦というやつが大好きな人間で、カーリングと重量挙げ以外のスポーツは、何でも見入ってしまう傾向にあります。昨日、私より2回り近く年上の方と食事をしていた際に、オリンピックの話題がのぼりました。私が、「オリンピックの記憶はロサンゼルスから」と言ったところ、「若い」とびっくりしたような声で言われました。最近若いといわれると、なぜか自分が褒められた気持ちになってしまいます。(笑)昨日に引き続き、旅行話をさせていただきます。今回は、花子の影響もあり、「悲劇の旅行談」を掲載します。オリンピックの話でギリシャ旅行を思い出したのですが、ふつふつと当時の怒りが蘇ってきました。正確にはギリシャ旅行ではありません。ギリシャ→イタリアへの船旅です。6年前のことです。トルコからバスでギリシャに入り、アテネ、ミコノス島など2週間ほどギリシャ国内を堪能した私は、次の旅行地としてイタリアを選びました。イタリアまでの交通手段として、長らく使用していなかった船を使うことにしました。ギリシャの港、キリニから出るイタリアBARI行きの主力船は、それなりに豪華客船なのですが、乗船チケットが予想よりも少し高めであった為、私は、値段が3割ほど低価格なBARIの隣町、BRINDISI行きの(小さい船)のチケットを購入することに決めました。閑散期ということもあり、BRINDISI行きのマイナー船の乗客は6名ほどでした。ギリシャ人、イタリア人、トルコ人、そして私、日本人の新婚夫婦2人です。新婚さんは、ローマでゆっくり滞在する予定だったらしいのですが、ギリシャの島々に魅せられてスケジュールを変更し、ローマでは一泊するだけに留め、BRINDISIに着いたらすぐに電車でローマに向かい、次の日にはもう日本に帰国するとのことでした。深夜にキリニを出発した船は、翌朝イタリアの港、BRINDISIに着きました。税関らしい税関もないし、「簡単にパスポートチェックで済むな」と思っていた私は、目はキラキラ、るんるんでした。何せ初めてのイタリアです。イタリア料理!ニューシネマパラダイス!シチリア!美術館!見たいところ行きたい場所に溢れていて・・・船代で浮いたお金を使ってちょっとリッチな食事でもしようか、なんて考えていました。ところがその税関とも言えない税関らしきところで、パスポートを提出したところ、私と新婚さん2人はありえない言葉を耳にしました。「君たちは中国人だ。取り調べます」すぐに抜け出せますよ、安心しましょ、おびえる新婚さんをなだめるように私は言いました。なんせヨーロッパですもの。そんな酷い目にあわないでしょ、気楽に待ち構えていたのです。ところが取り調べらしい取り調べもないまま、半日が過ぎました。イタリア語集を使って見張り人?の方に事情を問い詰めましたが、「一昨日、きみたちと同じ船で中国人の密入国者が入ってきた。彼らは日本人だと言い張った」そこまで分かりました。が、私たちは??明らかに日本人なんですけど??という質問には応えてくれませんでした。新婚さんは明日ローマから日本に帰るんだ、飛行機のチケットもあるよ、と私が涙ながらの演技をうっても無駄でした。そもそも取り調べる気配もありませんでした。「中国人らしい人間がいたら税関を通すな」とでも言われていたのでしょう。そして事態は最も恐れた状態へと向かいました。取調室(牢屋みたいな中に入れられたのです)で14時間ほど過ごした私たちは、その日の夜、その前日と同じ船で・・・BRINDISIからギリシャに強制的に戻されたのです。ギリシャへ戻される船の中では・・・怒りで言葉も出ず、三人とも無言の夜を過ごしたものでした。私はギリシャに戻ったその当日、BARI行きの主力船のチケットを購入し、イタリアに入りました。今度は殆ど素通りで税関を抜けることができました。新婚さんは、「アテネに戻って日本に帰国する」とのことで、キリニでお別れしました。このままでは気がすまない!怒った私はイタリアに着いた後、「こんなことがあった!ひどすぎる!」とローマの日本大使館にその様子を訴えました。が、「よくあります」くらいで追い返されたのでした。それでもイタリアは魅力的な国でした。怒っても割とすぐに機嫌がよくなる現金な私は、「酷い目にあった分楽しまないと」と、滞在していたホテルの受付を手伝うことで宿代を浮かしながら・・・市場で魚の値引き交渉ができるまでに成長したものでした。もう一個、イタリアでは大きな事件がありましたが、今回は省略します。自分の常識というものは全くもって自分の常識で、一歩外へ出ると・・・「全然通用しない」と思う方が正しいのかもしれません。あれだけ言葉も文化も宗教も顔も違うのだから。。。人質となった3人のご無事を心からお祈りしています。長い長いお話でした。