ラストホープ　健康・美容かけ込み寺

　【ワシントン１２日共同】脊髄（せきずい）損傷で手足がまひした患者の脳に小さな電極を埋め込み、コンピューターを通じて本人の思い通りに、テレビの音量を変えたり簡単な器具を操作したりする初の臨床試験に成功したと、米ブラウン大（ロードアイランド州）などのチームが13日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

　本格的な実用化にはかなりの改良が必要だが、体を動かせない患者にとっては自立に道を開く成果。思うだけで機械を自在に操れるＳＦの世界が現実に近づいた格好だ。

　2004年7月から9カ月間の試験に参加したのは、手足がまひして約3年の男性（２５）。チームは4ミリ角の電極を、手などの運動をつかさどる大脳の運動皮質に埋め、ワイヤを通じて脳の電気信号を解読するコンピューターに接続した。

　手でコンピューターのマウスを動かすつもりになって、画面上のカーソルを移動しようと考えるよう指示したところ、男性はカーソルを移動し、コンピューターにつないだテレビの音量やチャンネルを変えることに成功した。

　また、画面を使わずに考えるだけで、義手の指を握ったり開いたりすることもできるようになった。臨床試験には、さらに3人が加わった。

　チームは「まひから数年たっても運動皮質の機能が保たれていることが分かったのは重要だ」と話している(共同通信社)。