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2016年12月04日
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カテゴリ:音楽
10日ほど前、例によって常磐自動車道を移動中だった亭主は、FMラジオからハープシコード奏者であるマハン・エスファハニの来日コンサート(録音)が流れるのを偶然耳にしました。一聴してとても素晴らしい演奏もさることながら、プログラム自体もオッと思わせるものがあります。「しまったなぁ、録音を仕掛けておくんだった…」と一瞬後悔したものの、すぐに「そういえばベストオブクラッシックもパソコン上のストリーミングキャプチャで自動エアチェックをかけていた」ことを思い出し、帰宅後に(翌日の放送を上書きされないよう)放送終了を待ってファイルを確保。後日改めてじっくり拝聴することに。(これを書くにあたりまた聞き直しています…)

エスファハニは1984年生まれのイラン系アメリカ人、まだ30歳そこそこの若手演奏家で、鈴木優人さん(1981年生まれ)などと同世代です。ウェブに出ている経歴を見ると、ハープシコード奏者としてデビュー後のキャリアのほとんどを英国で築いており、2015年からはギルドホール音楽演劇学校の教授を務めているとか。コンクール(業界団体のリクルートの場)経由ではなく、演奏会での評価を通して世に出た実力派というところでしょうか。

コンサートは9月16日に東京・王子ホールで開催されたもので、彼にとっては2013年以来、2度目の来日だとか。(亭主はこの日付を見て、ちょうど金沢への学会出張と重なっていて行くのを諦めたことを思い出しました。おまけにFM放送で流れるとはつゆ知らず、偶然ラジオをつけていたことによる巡り合わせです。)


プログラムはまず英国ヴァージナル音楽のレパートリーから3曲。最初に取り上げられたのはピーター・フィリップスの「悲しみのパヴァーヌ、ガイヤルド」。さすがは「英国古楽界のスター」というところでしょうか、この演奏が実に素晴らしく、一気に「モード」の世界に引き込まれます。そのままブレークなしでファーナビー親子の作品を1つずつ、「ファーマーのパヴァーヌ」、「誰のものでもないジーグ」が続いて奏されました。

ところで、録音で聴くメリッットの1つは、譜面を見ながら鑑賞できることです。調べてみると、1曲目はドーヴァー版フィッツウィリアム・ヴァージナルブック第1巻p.321にあるPauana Doloroso Treg[ian](LXXX)及びGaliarda Dolorosa(LXXXI)でした。ところが2曲目の作品は、同じヴァージナルブック第2巻p.465にFarmer’s Paven(CCLXXXVII)というそれらしい作品が収まっているものの、どうやらエスファハニはこれと全く違う作品を弾いているようで、残念ながらどの作品なのかを特定できませんでした(当日の演奏曲目がプログラムと違っていた?)。最後の3曲目はやはり第2巻p.162にあるNobody’s Gigge(CXLIX)でした。

次に演奏されたのはバッハのフランス組曲第4番BWV815ですが、これがまたフツーでないことには、新バッハ全集に収録されているという異本(BWV815a)の前奏曲付きバージョンによる演奏でした。このところバロック音楽に親しむにつれ、これらの作品がフランス風舞曲の組み合わせ(アグリコラやフォルケルがそのように呼んでいたらしい)と言いながら、前奏曲がないのは変だなと思っていたところなので、こういう異本があることを知って目からウロコが落ちた感じです。

さらに、引続くフランス組曲第6番BWV817では、前述のような前奏曲付きの異本もないらしく、エスファハニは平均律クラヴィア曲集第1巻から同じ調性の前奏曲(第9番)を借用することで「組曲」を完結させる、という面白い試みを行っていました。

この後、F.クープランの第24組曲からの6曲を挟み、プログラム最後の演目として再びバッハのフランス組曲第5番が奏されました。ここでも冒頭に耳慣れない前奏曲風のもの(亭主には出典不明)が挿入されており、エスファハニのこだわりぶりが際立っています。

そして、アンコールはなんとスカルラッティのソナタK.120。エスファハニはこのサルタレッロ風の難曲を誰よりも速いスピードで駆け抜けていきました。いやはや、なんとも恐るべき腕前です。

以上、改めて聴き直して非常に印象的なのは、とにかくレジストレーション(弦やストップの組み合わせ)も含めて音色が実に多彩で、とても一つの楽器からの音とは思えないほどです。(彼が使っている楽器の情報が手元にないのはとても残念ですが。)

王子ホールのウェブサイトに行くと、彼のインタビュー記事が掲載されていますが、これがまた大変興味深い内容です。8歳でハープシコードに目覚め、若い頃はカークパトリックを崇拝していたとか。彼が生まれた1984年はカークパトリックの没年でもあり、特別の思い入れがあるようです。(だとすれば、スカルラッティの演奏にもそれが現れていたのかも?)

というわけで、また一人古楽界にハープシコード奏者の新星が現れました。

(PS そういえば最近「クラッシックカフェ」でもエスファハニのCD録音がオンエアされているのを耳にしました。どうやら日本でも急速にその名を知られる存在になりつつある?)





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最終更新日  2016年12月04日 21時42分08秒
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