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2017年10月15日
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カテゴリ:音楽
今年は未音亭にハープシコードが来てちょうど10年。当初はこれでバッハやラモーを弾けたら楽しいだろうと思って購入したのですが、ほどなくして(全く思いがけず)「チェンバロのショパン」とも評すべきスカルラッティの魅力にハマるとともに、ハープシコードが実に多彩なレパートリーを持つことを知り、その後時代を遡る感じでそれらの森を遍歴する長旅が続くことに。その間、バッハを振り返ることはあまりなかったというのが正直なところです。



一方で、そのように大きな回り道をして10年の長旅から戻ってみると、ピアノのレパートリーとしてもそれなりに馴染みのあるはずのバッハの作品群が、これまでになく新鮮に見えてくるのが面白いところです。

例えば表題のイギリス組曲。亭主のCD棚にはモダンチェンバロによる古いヴァルハの録音しかなかったので、ピリオド楽器による演奏を聴きたいと思い、ボブ・ファン・アスペレンのCDを(例によって中古で)ゲット。ライナーノートを眺めていると、冒頭にある様式についての解説記事で、第3番と第4番のプレリュードがリピエーノ(トゥッティ)とソロの対比というイタリアのコンチェルト様式に則っているという指摘になるほどと膝を打ち、今更ながら目からウロコが落ちる思いをしました。



(こういった解説は、実のところ亭主もこれまで何度も目にしていたハズなのですが、バロック以前の音楽世界をほとんど知らず、バッハをピアノのレパートリーの一部としか思っていた10年前の亭主には単なる言葉以上のものではありませんでした。)

確かに言われてみれば、第3番のプレリュード、冒頭はコンチェルトのトゥッティから始まっていることが今や感覚としてリアルに感じられます。(これまでそのように眺めていたのは有名な「イタリア協奏曲」と、ヴィヴァルディなどの編曲ものぐらいでした。)そうなってくると、トゥッティとソロの対比がどうなっているか、さらに2段鍵盤の使い分けも含めたレジストレーションをどうすべきか、などといったことを自然に考えさせられるようになります。

(これらの問題、ハープシコードと違って音そのものの響きの多彩さに欠ける現代ピアノでは、バッハの意図をうまく表現するためにデュナーミク(タッチ)やペダリングによる擬似効果という、より厄介なものを相手にせざるを得ないということもよく見えてきます。)

また、アスペレンの演奏で第1番のクーラントを聴いていると、これがあたかもルイ・クープランの曲のように聞こえてくるのが驚きです。この舞曲に限らず、アスペレンは要所でイネガル奏法を駆使しているのでこのような印象を持つのかもしれませんが、それがピタっとハマるということはそれだけ作品の性格(=フランス風舞曲)をよく表現しているということだとも思われます。(それにしても「イギリス」組曲という呼称、なんともミスリーディングです。)

ちなみにこれらの組曲は、推定される作曲年代から1720年に出版されたヘンデルの鍵盤作品集との関係が議論されている(例えば第1番同士、同じイ長調)ようですが、亭主は第4番の終曲ジグに出てくる音形がヘンデルの第1番の終曲ジグとよく似ていると感じます。いずれにせよ、バッハが過去および同時代の様々な作品を参考にしながら曲作りをしていたことを実感できることで、彼の音楽の鑑賞や演奏が数段面白くなってくることは確かです。

ところで、イギリス組曲のCDを探してみて驚いたことには、バッハの鍵盤音楽として代表的なレパートリーのひとつと思われるにもかかわらず、ハープシコードの演奏によるCD(全6曲版)のバラエティは見たところあまり多くありません。若手演奏家の皆さんの競演を期待したいところです。





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最終更新日  2017年10月15日 15時03分15秒
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