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<1> 「決勝まで残るなんて、さすが了様です! 了様なら、このまま優勝できます」 決勝戦までに30分ほどの休憩があった。 利香やギルドのメンバーと連れ立って、獅子のいる控え室へと押しかけた。 獅子の姿を見るなり利香は獅子に抱きつく。 「おう」 利香の頭をなでながら獅子が答える。 「あ、私達お茶でも飲んできちゃおっか」 キサが今来た道を引き返そうとする。 「ああ、儀礼。さっきはありがとうな」 目の前にいた大人たちがどき、儀礼の姿が見えて獅子が言った。 「ううん、みごとだったね」 ニッと儀礼が笑い二人は手を打ち合わせる。 「何です?」 理解できない利香が二人の顔を見比べる。 その会話に興味を持って、出て行こうとしていたメンバーが足を止める。 「なになに? 何の話?」 キサが儀礼の横に顔を出す。 「儀礼のおかげで勝てたからからさ」 獅子が大きく息を吐く。 「まじで負けるかと思ったからな」 真剣な顔でやぶれた服を見る。 「こいつのおかげって、こいつが言ったの背後が空いてるってだけだろ? 読まれてたじゃねぇか」 ハンが儀礼の頭を小突く。 「それがかく乱になってんだよ。俺は跳べって言われて跳んだだけ。そしたらあいつの首ががら空きだったんだ」 にやりと笑う獅子。 「ふーん、迷子の割りにやるなぁ」 ハンはぐしゃぐしゃと乱暴に儀礼の頭をなでる。 「迷子はもうやめてくださいって!」 「儀礼君、迷子になったの?」 利香が儀礼の顔を覗き込む。 「違うから、利香ちゃん。拓ちゃんのいたずらだから」 涙目で訴える儀礼に、利香は思わず頭をなでてあげた。 <2> 「おっ、お前らここにいたのか」 先ほどの試合で倒れたティルが控え室へ入ってきた。 「大丈夫か?」 「ああ、もうなんともないさ。負けちまったなぁ。今日は調子いいから絶対いけると思ったのに」 悔しそうに拳を握っているティル。 「お前勝てると思うか?」 ティルが真剣な面持ちで獅子に聞く。 「……正直、あのウォールってすっげぇ強い奴だと思う。でも戦うからには勝つ気でいく」 獅子の気迫にティルがうなずく。 「あいつ、どんどんペース上げてって、最後の一瞬は俺には何が起こったのかわからなかった。でもさ、感じたんだ。あいつはまだ何か隠してる」 「何か?」 「ああ、俺は奴の力を最後まで引き出せなかったが、あのスピード以外になんか技を持ってる。まったく、準決勝で余裕みせられちゃたまらねぇぜ。だからさ、お前、あいつぶっ飛ばしちまえ」 ティルは笑って言うが、ランクDの人間に言ってできることとは思えない。 普通ならば。 そこにいたメンバーにからかうものはいない。今までの戦いから、もしかしたらと言う思いがあった。 「ぶっ倒してやる」 獅子は笑い、ティルと拳を打ち合わせた。 ◎ティルさんの拳、かぎ爪入ってなかったっけ。 痛くない?? ←前へ■ギレイ目次■次へ→ 小説を読もう!「ギレイの旅」内容はほぼ同じです。 NEWVEL:「ギレイ」に投票 ネット小説ランキング「ギレイ」に投票 千夜 作2012年10月1日(月) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.05.21 22:13:15
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