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千夜の本棚 ネット小説創作&紹介

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2012.07.22
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カテゴリ:本棚  ギレイ
ギレイ 携帯用 目次へ
<1>

「決勝まで残るなんて、さすが了様です! 了様なら、このまま優勝できます」

決勝戦までに30分ほどの休憩があった。

利香やギルドのメンバーと連れ立って、獅子のいる控え室へと押しかけた。

獅子の姿を見るなり利香は獅子に抱きつく。

「おう」

利香の頭をなでながら獅子が答える。

「あ、私達お茶でも飲んできちゃおっか」

キサが今来た道を引き返そうとする。

「ああ、儀礼。さっきはありがとうな」

目の前にいた大人たちがどき、儀礼の姿が見えて獅子が言った。

「ううん、みごとだったね」

ニッと儀礼が笑い二人は手を打ち合わせる。

「何です?」

理解できない利香が二人の顔を見比べる。

その会話に興味を持って、出て行こうとしていたメンバーが足を止める。

「なになに? 何の話?」

キサが儀礼の横に顔を出す。

「儀礼のおかげで勝てたからからさ」

獅子が大きく息を吐く。

「まじで負けるかと思ったからな」

真剣な顔でやぶれた服を見る。

「こいつのおかげって、こいつが言ったの背後が空いてるってだけだろ? 読まれてたじゃねぇか」

ハンが儀礼の頭を小突く。

「それがかく乱になってんだよ。俺は跳べって言われて跳んだだけ。そしたらあいつの首ががら空きだったんだ」

にやりと笑う獅子。

「ふーん、迷子の割りにやるなぁ」

ハンはぐしゃぐしゃと乱暴に儀礼の頭をなでる。

「迷子はもうやめてくださいって!」

「儀礼君、迷子になったの?」

利香が儀礼の顔を覗き込む。

「違うから、利香ちゃん。拓ちゃんのいたずらだから」

涙目で訴える儀礼に、利香は思わず頭をなでてあげた。


<2>

「おっ、お前らここにいたのか」

先ほどの試合で倒れたティルが控え室へ入ってきた。

「大丈夫か?」

「ああ、もうなんともないさ。負けちまったなぁ。今日は調子いいから絶対いけると思ったのに」

悔しそうに拳を握っているティル。

「お前勝てると思うか?」

ティルが真剣な面持ちで獅子に聞く。

「……正直、あのウォールってすっげぇ強い奴だと思う。でも戦うからには勝つ気でいく」

獅子の気迫にティルがうなずく。

「あいつ、どんどんペース上げてって、最後の一瞬は俺には何が起こったのかわからなかった。でもさ、感じたんだ。あいつはまだ何か隠してる」

「何か?」

「ああ、俺は奴の力を最後まで引き出せなかったが、あのスピード以外になんか技を持ってる。まったく、準決勝で余裕みせられちゃたまらねぇぜ。だからさ、お前、あいつぶっ飛ばしちまえ」

ティルは笑って言うが、ランクDの人間に言ってできることとは思えない。

普通ならば。

そこにいたメンバーにからかうものはいない。今までの戦いから、もしかしたらと言う思いがあった。

「ぶっ倒してやる」

獅子は笑い、ティルと拳を打ち合わせた。

◎ティルさんの拳、かぎ爪入ってなかったっけ。 痛くない??


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千夜 作2012年10月1日(月)





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最終更新日  2013.05.21 22:13:15
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