* 第二話 *
次の日…
「健人…朝だ…早く起きろ…」
コバルトの低い声で話しかけるが、なかなか健人は起きようとしない…
「起きろ…健人…!」
少し声のボリュームをあげた。
しかし、まだ起きる形跡は見られない。
「起きろと言っているのにまだ分からんかぁ!!!」
コバルトは、ついに怒鳴った。
その声に驚き、跳ね上がりベッドから落ちた。
そのときコバルトは、とんだ人間のナビになったものだと思った。
「あたたた…あ、おはよ、コバルト」
「起きたらさっさと着替えて、朝食を取れ…学校に遅れるぞ…」
「はいはい…」
「その前に、俺をPETに移してくれ…」
健人は眠そうに、パソコンからPETへコバルトを移動させた。
そして、朝食を取り、支度をし、家を出た。
――――
健人は、秋原小学校に通う六年生だ。
健人はいつものとおりにある友達に話しかける。
「おっす!熱斗!」
「お!健人!OHA!」
ある友達とは、クラスの中で一番ウイルスバスティングが得意な少年、光熱斗。
持ちナビはロックマンだ。
「昨日ナビダウンロードしにいったんだろ?どんなヤツか見せてくれよ!」
「あぁ!いいぜ!」
二人は、教室の隅にある誰でも使用可能なパソコンに、熱斗はロックマン、健人はコバルトをプラグインした。
そして、熱斗とロックマンは驚き
「まさか、フォルテ!?」
と、二人揃って言った。
そう、コバルトは、最強のナビ、フォルテに似た姿なのだ。
そして、コバルトが口を開く。
「我が名はコバルト…フォルテなどではない…」
低い声でそう言った。
「あ、そういえば…」
ロックマンは気付き、コバルトをよく見る。
コバルトは、首に黒いマフラーが器用に巻かれていて、背中には黒い翼があった。
「僕はロックマン。よろしくね、コバルト」
ロックマンは握手の手を差し出す。
コバルトは黙ってロックマンの手を握る。
他の皆にもコバルトを紹介した。
やはり熱斗&ロックマン同様、とても驚いていた。
なんせ、フォルテに似た姿なのだから…
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授業も終わり、放課後…
「おっし!コバルトに勝負だ!」
熱斗はそう言った。
もちろん、熱斗のライバル(?)、デカオも。
コバルトはロックマンと戦ってみたいと言った。
ガッツマンは弱そうだし、すぐにバトルが終わりそうだ、との事だ。
かなり、挑発的な発言だ。
実際、本当にバトルがすぐに終わった。
動きが鈍くて話にならん、との事だ。
それもそのはず。
コバルトは、フォルテの技を使ってくるし、動きも素早い。
だが、威力はそこそこで、本物には程遠い。
そんなこんなで、次は熱斗&ロックマンの番だ。
「本気でいくよ」
ロックマンはそう言った。
コバルトは無言だった。
そして、バトルが始まった。
「バトルチップ・ソード、スロット・イン!」
そう言ったのは熱斗だ。
ロックマンはソード片手に突っ込んで来た。
素早く避けるコバルト。
そこで、ロックマンは何かに気付いた。
普通、フォルテならすぐに後ろに回り込み攻撃を仕掛けて来るはず。
だが、コバルトは違った。
コバルトは避けたら避けたで、その場で待機。攻撃を仕掛けようともしない。
「どうしたの?」
とっさにロックマンが尋ねる。
「俺はあまり戦い慣れをしていない…だからお前みたいなヤツと戦ったら、俺は恐らく負けるだろう…」
特徴のある低い声で、コバルトは言った。
「そんなの、やってみなくちゃわからなよ!」
「見た目で分かるんだ…お前がどれだけ強いのか…」
ちなみに、ガッツマンの時は全く持って本気は出さなかった、と付け足す。
「いくらフォルテの姿で、フォルテの技を使おうとも、威力はそこそこだ。もう少し強くなってから、でいいか?」
「あ、うん…」
結局、バトルはそこで終わった。
そして、皆、各家に帰って行った。
――――
家に帰って、健人はコバルトによって今日出た宿題をやらされている。
この時健人は、こういう時だけコバルトはオニだ、と思ったらしい。
(続く)