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NOVELS ROOM

第三話

* 第三話~コバルトの過去~ *
ここに、小さな黒いナビが眠っている。

「……ぅ…ぅ~ん…」

どうやら、目を覚ましたようだ。
その黒いナビは子供だ。
眠そうに目をこすりながら、むくっと起きる。

「…ここ…は…」

そんな事を言うのも仕方がない。

今日、彼は誰かの手によって``生まれた''のだから。

首には黒い物がまかれていて、背中には黒い翼がある。
胸のコアには何故か斜めに傷がある。

訳も分からず、辺りを見回すが、まわりは辺り一面真っ暗闇。そこに立っているのか、それとも落ちているのか、そんなよく分からない感覚が、彼の体に伝わる。
すると…

「お前か…我が分身というのは…」

どこからか声が聞こえた。
彼は声の聞こえた方に向いて見る。
すると、暗闇の中から誰かが現れた。
自分とよく似た姿のネットナビだ。
体は、所々亀裂の入ったベージュ色のマントで、隠れていた。

「君は誰?」

彼はそのナビに話しかける。

「私に名前など無い…」

彼は小さな黒いナビの前まで歩いて来る。

「全く、こんな小さな餓鬼が、我が分身とは…」

小さな黒いナビを見下して、名乗らなかったナビはそう言った。
小さな黒いナビは、上を見上げる。

「『我が分身』?どういうこと?」
「語る理由は無い…」

マントのナビは背を向けた。
小さな黒いナビは、少しばかり悲しそうな顔になった。
そして、

「あの…僕はこれからどうなるんですか…?」
「付いて来い…」

ナビがゆっくりと動き出す。
その後ろを、小さな黒いナビがついていく。
暗闇の向こう側に小さな光が見えた。それが段々と大きくなる。

「着いたぞ…」

着いた所、そこは…子供型ナビの集まる所だった。

「…」
「ここは…?」

しばらくの沈黙。
マントのナビはどこかへと行ってしまった。

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僕はまわりのみんなと仲良くなれないでいた。
話しかけようにも、そんな勇気はどこにもなかった。
だからいつも一人でいた。

「…」

心の中であのナビを呼んでみた。
しかし、ナビはこなかった。

――――

しばらくたちようやく僕も、この生活に慣れてきた。
あまり彼の事も呼ばなくなった。

そんなある日の事。
いつの間にか、子供の集団は二つに別れていた。それも、僕が理由で。

今、子供たちは僕抜きで言い争っていた。
追い出すべきか、出さないか…何故かそんな話題になっていた。
そこをちょうど、僕が来る。
そして、こう言った。

「ホントはみんな…僕がいないほうがいいと思ってるんでしょ…」

そうだと言う者と、違うと否定する者。

「僕がいたから、二手に別れたし、こうして言い争いにもなってる」

みんなは、黙ってしまった。

「…図星…だよね…」

子供たちからの返事はこない。
僕もずっと黙って、みんなを見つめた。

とおくに走り去り、僕は、一人でうずくまってすすり泣いていた。
そこに、彼がやって来た。

「残念な結果だな…」
「…………」

僕はずっと黙り続けた。彼が何を言っても聞かない振りをし続けた。
そして、彼は、

「仕方ない…」

そう言って、少ししゃがみ僕の頭に手を置き、一瞬にして違う場所へと転送した。

そこは、オフィシャルセンターのネットナビ登録場の電脳だった。

「ここにお前を登録しておく…」

そう、彼が言っていた気がする。
体は大体フォルテぐらいの大きさになっていた。

「………!」

僕…いや、我は驚いていた。

「あと、今までの記憶を一部抜いておく…いつかまた思い出せるようにな…」

そして、

「また会う時がくるだろう…我が分身よ…」

奴はそう言って、我は気を失った。

そして、その数日後に、黒木健人と出会う事になる…

(第四話に続く・・・)

コメント
修正しました!ある人達の協力によって、ここまで出来ました!
本当に有り難う御座いました!

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