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無尽の鎖 第4話

無尽の鎖 第4話「過去の悪夢 ―Nightmare―」
作者 倉麻るみ子(PN&HN)

―入院1日後―
本当に、ラルドはすぐに退院できた。
医師によると、完治はしたが無理はしないようにとの事。
実際そういうものだった。
完治したと言うのに、まだ痛みが残っているようなのだ。

ラルド「これが、完治したというのか・・・?」

というのは、退院してからの彼の感想である。
ラルドは、カインにおぶってもらい、帰るときにその中で寝てしまった。
年は、14歳ぐらいだというのに、こういうときだけは、ガキなんだなぁ・・と思うカインであった。


―カインの家の前―
ここはカインの家。入る前にラルドを起こす。

ラルド「・・・ぅうん・・・、・・・もう・・・着いたのか・・・?」

眠そうな目をこすりつつ、ラルドは起きる。
その仕草が、何気に可愛い・・・w

カイン「ラルド、家の中はいるけど、覚悟出来てるか?」
ラルド「・・・何が・・・?」

ラルドは、まだ眠そうである。

カイン「だから、俺の家の中、予想以上に汚いから、覚悟しとけって事。・・・っておーい!寝んな!」
ラルド「Zzzzzzzz・・・。」

ラルドは、再び眠りにつく。
仕方なく、家の中に入る。
カインの家の中はこんな感じだ。
入ったらすぐゴミ袋が何個かあり、ゴミ袋があるにもかかわらず、ゴミが散乱している。
その他、出したものは片付けていないし、服も出しっぱなし。
おまけにベッドの布団もグシャグシャなのだ。

カインは自分の家の中を見て、自分で呆れていた。
後から入ったミラルも、いつものように呆れる。
カインは再びラルドを起こすが、今度はまったく起きようとしない。
かなりぐっすり眠っているようだ。

ミラル「私が片付けておくから、カインはラルド君おぶったまま外に出ていて。
すぐ終わるから。」

ミラルはそういって、片付けや掃除を始め、カインは外に出た。
立っているのもなんだから、ラルドをおぶったまま段差に座る。
未だにラルドは眠ったままだ。

カイン「全く、良く寝ているぜ。・・・ホントに14なのかよ・・・。」


―1時間後―
ミラル「終わったわよ。」

と、ミラルが家から出てきた。
中に入ると、出しっぱなしの物や、数個あったゴミ袋がきれいさっぱりなくなっていたのだ。
おまけに、床などがピッカピカである。

カイン「さっすがミラル!ありがとな!」
ミラル「綺麗にしても、すぐに汚くなるけどね・・・。」
カイン「ははは^^;」

とりあえず、眠っているラルドをベッドに移す。

カイン「眠っていちゃ、することがねぇよな・・・。」
ミラル「ラルド君の過去とか聞くつもりだったの?」
カイン「あぁ・・・。」
ミラル「でも、過去の事ほとんど覚えてないって言っていたじゃない。」
カイン「多分、いつか思い出すよ。」
ミラル「・・・。」





ラルド『・・・ここはどこだ・・・?見たことがあるような、ないような・・・。』

ここはラルドが見ている夢の中。
よくある家の中を、ラルドは歩いていた。
入り口から歩いていくと、両側にドアがある。右にはキッチンおよび食事をするところ。
左は誰かの部屋。もう少し進み、突き当りを右に曲がる。
そして少し進むと、右側に入浴場、その先がトイレ。左側にはまた誰かの部屋。
そして、その突き当たりにドアがある。
前方と、左に。前方のドアをゆっくりと開ける。
すると、そこには、ラルドと同じ髪型、同じ髪の色の小さな少年が、誰かにすがり寄っていた。

ラルド『・・・あれは・・・、まさか・・・私・・・?』

少年「ねぇ・・・父さん・・・どうしてボクは外に出て行っちゃダメなの?」
父親「・・・お前には、不思議な能力がある。きっと、その能力のせいで周りの人たちに嫌われたりするだろ。」
少年「でも、ボク一回も外に出た事ないよ?大丈夫だよ、ボクの事知られてないし、嫌われたりしないよきっと!」
父親「それが問題なんだ。もし、そとでその力を使ってみろ。
皆はまず驚くだろうが、そのあとから軽蔑眼で見て来るんだぞ。お前は耐えられるのか?」
少年「・・・。」
父親「判ったら、父さんの言うとおりにしなさい。」
少年「うん・・・。」


場面が変わり・・・。


ここはある公園。

少年は、ラルドぐらいの大きさであった。

少年「・・・。」
???「やぁ、ラルド君♪」

ラルド『やはり、あの少年は私!』

少年「なんだ、またお前か・・・・」
???「『またお前か』はないだろ?ちゃんと名前で呼んでよね。
『ウラン』って。・・・ところでどうだい?結論は出たかな?」
少年「あぁ・・・、案外早く出た。」
ウラン「それじゃ、やろう。ボクらであのドナウ川のダムを破壊するんだ。」
少年「あぁ。」


次の場面。
そこはヨーロッパに流れる川の1つであるドナウ川。
そのドナウ川の上流のダムに2人はいた。

2人は片っ端から破壊を始め、ラルドはダムの半分を光で包み込んだ。
そして、辺りが光に包まれたと思ったらダムの半分が吹き飛んでいて、その崩壊した場所から水が噴出した。
その大量の水はドナウ川を下っていく。
このまま行けば、その下流にある村は水で飲み込まれてしまうだろう。

だが、そこにある青年が2人に突っ込んだ。

2人を引き離し、その2人をそれぞれ違う光の弾の中に入れ、森の奥深くに。
そして、それぞれ違うところで、ラルドと思われる少年は鎖につなぎ封印。
ウランと名乗った少年のほうは植物のつるで封印した。

人物は、封印したラルドをしばらく見つめていた。


ラルド『・・・。』


ラルド「・・・っは!」

ラルドは夢から覚めた。何故か、涙が出てきた。涙を拭うが、少しずつ出てきてしまう。
それをカインとミラルは見ていた。

カイン「ど、どうしたんだよ?起きていきなり泣き出すなんて・・・。」
ラルド「ち、違う!これは・・・、」
ミラル「相当嫌な夢を見ていたのね。」

何故かミラルは勘付いたように言った。

ミラル「言ってみて、どんな夢だったの?」

ラルドは、見た夢を隅々まで答えた。そして、こう付け加えた。これは過去の夢なんだと。

カイン「そんな事が・・・、」
ラルド「だが、安心しろ。私はもう世界を破滅させはしない。」

涙を少しずつ流しながら、ラルドは必死に言った。

カイン「判っているよ。お前はそんなことする奴じゃないもんな。」

ラルドはコクリと頷いた。

ラルド「だが、私の隣に居たあのウランとか言う少年。・・・一体誰なんだ・・・?」

涙を拭きつつ、そうぼそりと呟いた。





それを、遠くで見守るある気配。

???「・・・やっぱり、ボクの事覚えてなかったか。ま、あいつの前に姿を現せば、判るかな・・・。フフ・・・。」

その気配は、またどこかへと行ってしまった・・・。

第5話へ続く




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