2024501 ランダム
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NOVELS ROOM

第11話 コルボー・チームを探せ。

第11話 コルボー・チームを探せ。

ここは、セルヴォの部屋。
その部屋のカプセルで、ブルーは眠っていた。やはり寝顔が小さな子供のようである。
その様子を、ゼロは黙ってみていた。ゼクトも一緒にみている。

「調整完了。後は目覚めてくれるまで待つだけだ。」

セルヴォがそう言い、次の作業にかかる。
取り出したのは、ブルーの武器、ライトブレードだ。この武器は前にも言ったように、雷技しか使えない。そのためか、本人事態も雷の属性が備わっているようなのだ。
セルヴォはそれを知り、ブルーを調整するついでに、雷属性を無属性に変えた。そうすれば、属性に関するダメージが多少減るのである。
ブリザック・スタグロフと戦った時には、通常より2倍のダメージを受けていたことになる。だが、重傷には至らなかったのは、奇跡と言えよう。

セルヴォは、ライトブレードにコードをつなぎ、何かのプログラムを打ち込んでいた。カタカタとキーボードの打つ速さは尋常ではない。
小さな液晶画面に写し出されるライトブレードの回りには、色々なプログラムの名前が所狭しと並んでいる。
セルヴォは、何か新たな技を組み込んでいるように、ブツブツと技名をつぶやいていた。
だが、2人には全く聞こえてはいなかった。・・・というより、聞き取れなかったと言う方が正しい。
すると・・・、

「うぅん・・・。」

ブルーが目覚めた。

「目が覚めたか。どうだい、気分の方は?」
「えぇ、お陰様で良くなりました。でも、何か違和感が・・・。」
「君の属性を変えたのだよ。雷属性だけだと、後がつらいと思ってね。」
「そうなんですか、ありがとうございます。」
「礼には及ばないよ。」
「そういえば、僕のライトブレードは?」

辺りをキョロキョロと探すブルーに、セルヴォは、今はちょっとした改造を施しているところだと伝える。

「もうすぐ終わるから、待っていたまえ。」

セルヴォはいきいきとしたような感じで、作業を続けた。この時2人は思った。出来たら必ず性能を伝えたいんだと。

数分後。セルヴォは、改造を施したライトブレードをブルーに渡し、武器の性能を細かく伝えた。正直、聞いているとアンドリューじいさんの長話を聞いているような感じになってくる。セルヴォはそれほどの、武器マニアなのだ。
セルヴォが話していると、必ずと言っていいほど楽しそうに話す。言葉の一つ一つに、感情がこもっているのである。まぁ、説明したい気持ちも分からないわけではない。

とりあえず、セルヴォが話す改造版のライトブレードには、雷属性だけではなく、炎属性、氷属性、無属性が加わっていた。それ故、新しい技も組み込まれているのだ。

まずは炎属性の技。
名前は炎龍風砕牙(えんりゅうふうさいが)。ライトブレードが炎に包まれ、それを素早く縦に振ると炎の龍が現れて、相手を焼尽くす事が出来る。まぁ、普通に攻撃しても焼尽くす事が出来るが、こちらの方が攻撃力は高い。氷属性には効果抜群だ。
次は氷属性だ。
名前は、氷幻刃(ひょうげんじん)。横に振ると、氷属性を帯びた真空刃が飛ぶ。それで雑魚ならば凍る事間違いなしだ。
最後は、無属性。技が二つも組み込まれている。
一つ目は、瞬動翔烈破(しゅんどうしょうれっぱ)。名前のとおり瞬時に動き、相手を2回突き斬り上げる。そして、2mぐらい飛んで、ライトブレードを振り落とす、という何ともテクニックのいる技。
二つ目は、虎双牙斬(こそうがざん)。ライトブレードに新たなスイッチが備わっていて、そのスイッチを押すと反対側からも出て来る仕組みとなり、2つにわかれるのだ。つまり、ダブルブレードと言う事になる。斬り上げ斬り下ろし、ズバズバといくそうだ。これも、少しだかテクニックはいるようだ。
そして、雷属性の轟雷烈落斬の他に、轟雷翔(ごうらいしょう)と言う技が組み込まれているそうだ。この技は、轟雷烈落斬と同じで、雷を帯びさせてから攻撃するものだが、違うところは、瞬時に敵の懐へ近付き、斬り付けるというものである。

≪セルヴォ、それ技つけすぎてないか?≫

セルヴォの説明にキリがついたところで、ゼクトが話しかける。

「ははは、勢いあまり過ぎてしまったようだね。」

と、セルヴォは笑ってごまかす。

「でも、この技は身軽なブルー君にしか出来ない技ばかりなんだ。だから、是非とも使いこなして欲しくてね。」
「そうだったんですか。じゃ、一刻もはやく使いこなさないといけませんね。」

と言いながら、いつ取り出したメモ帳に、さっきの技をメモしていた。戦闘になれば、メモ帳などろくに見ないのに。

≪なぁ、セルヴォ~。≫
「なんだね?」
≪オレにも何か武器作って~。≫

ゼクトは突然、セルヴォに武器を作って欲しいと要求した。
だが・・・、

「お前には、スパイラルショットがあるだろ?」

ゼロにすぐに突っ込まれてしまった。

≪何だよ!別にいいじゃねぇかよ!≫
「いや、お前は援護出来ればそれでいいと思うが?」
≪ぶ~。≫

ゼクトは顔を膨らました。

「とにかく、シエルさんのところへ行きましょう?」
「そうだな。」

2人はそう言い、セルヴォの部屋を後にする。

≪ちょ、待てよ~!≫

置いて行かれそうなやつが、1匹いたが。

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―ウイィィン・・・

3人(2人と1匹)がシエルの部屋へ入って行く。

「あ、お帰りなさい。」
≪たっだいまぁ~!≫
「ただいま。」
「・・・た、ただいま・・・。」

ゼロだけ、何故か恥ずかしそうに言っている。まぁ、そういう所は気にしない方向でいこう。

「気分の方はどう?」
「はい、セルヴォさんのお陰で元気になりました。」
「良かった。」
「とにかくシエル、次のミッションは?」

ゼロはせかすようにして、シエルに話しかける。

ミッションの内容はこうだ。
仲間のコルボー・チームがゼロやブルーばかりに戦ってもらって申し訳ないと言い、地下鉄のルートから敵の基地に侵入したのだが、そのまま帰って来ないのだ。敵に見つかって、大変な事になっていなければいいのだが、その「もしも」が当たっていれば、仲間がまた減りかねない。だから、様子を見に行って欲しいとの事だ。

「そうそう、あとゼクト君に言わないといけない事があったわ。」

シエルは、手をポンと叩いてそう言った。

≪何、言わなきゃいけない事って?≫
「ゼクト君を調べて、また判った事があるの。」

「判った事」。それは、ゼクトと他のサイバーエルフがシンクロすると、ゼクトがその能力を使えるようになると言う事。ただし、普通に使う時と同じように、シンクロして解除すればサイバーエルフは死んでしまう。そう、今の技術では、サイバーエルフを生かしたままには出来ないのだ。

≪そうか・・・。オレ、サイバーエルフだけどさ、他のサイバーエルフみたいに能力使ったら死んじゃう訳じゃねぇから、なんか使う時、躊躇しちまうんだよな。≫
「ごめんなさい、私にもっと技術があれば・・・。」
≪いいって、いいって。あいつらも、オレ達に使われるなら、本望だってきっと思ってるし。≫
「そう、それならいいんだけどね。」
≪つーことだから、ナース系のジリフを連れてくよ。≫
「判ったわ。じゃ、気を付けてね、みんな。」
「あぁ。」
「今度は足手まといにならないよう頑張ります。」
≪じゃ、行くぜ!2人とも!≫
「「だから、仕切るな!」」

やはり何故か仕切るゼクトであった。

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トランスサーバーで移動し、下に降りると、シエルから通信が入った。

『敵の活動が活発になってきてる・・・。』

「まさか・・・?」

『えぇ、敵に見つかったのかも・・・。さっきも言ったけど、気を付けてね。』

そこで通信は終わる。

このルートは、以前ゼロが輸送列車で通ったルートだか、輸送列車を破壊したせいもあるのか、ルートが多少崩れている。つまりは、輸送列車は愚か、普通に通るのも難しい状況なのだ。
だが、進まない訳には行かないのだ。コルボー・チームがこの先にいる可能性があるのだ。

とりあえず、間が開いている所を飛び越え、目の前にいるパンテオン・ハンター2体を斬り裂く。次いで、上にのぼりパンテオン・フライナーを破壊、そしてパンテオン・ハンターを破壊。目の前にまた間が開いていた。
だが、足場に違和感を覚えた。まさか、乗ったら崩れるんじゃないかと。

「ものは試しだ。」

そう言ってゼロは、大きくジャンプし、その足場に乗る。
予想は的中。足場は突然崩れだしたが、何とかそのまま落ちずにはすんだ。ゼロのまた目の前の足場も、いかにも崩れそうな雰囲気を漂わせている。実際ゼロが足を一歩前へ出しただけで、その足場は崩れてしまった。近くにパンテオン・フライナーが飛んでいたので、ゼクトがスパイラルショットを撃ち、破壊した。

「ブルー、何をしている。早く来い。」
≪足手まといにならないんじゃなかったのか?≫
「そ、そんな事判ってますよ!」

そう言って、勢いをつけその間をジャンプした。だが、勢いが余ったのか着地した時に失敗をし、ゼロに倒れかかった。そこでちょっとしたトラブルが・・・。

≪大丈夫か、2人と・・・。≫

ゼクトの言葉が止まる。何故なら、ブルーが倒れかかった勢いがあり過ぎたため、ゼロとブルーが関節キスをしてしまったのだ。
キスしたまま、ボーッと見つめ合う2人は、やっと我にかえり勢いよくはなれる。

「ご、ごめんなさい!そういうつもりはなかったんです!」

謝るブルーに、ゼロは唇を押さえて外方を向いていた。頬が多少赤い。

「ごめんなさい・・・。」
「・・・とにかく、行くぞ。」

ゼロは次の足場へと飛ぶ、これまた崩れる足し場。だが落ちる事もなかった。ブルーはさっきの事をまだ気にしていて、前に進む事が出来なかった。

「いつまで気にしているつもりだ。そう言うのも、足手まといなんじゃないのか?」
「ごめんなさい・・・。」
「今度は、踏み外しても受け止めてやるから、早く来い。」

そう言って、ゼロは手をさし伸ばした。
ゼロのコメントとその仕草が嬉しかったのか、ブルーは笑顔で「はい!」と答えた。そして、足場から足場へと飛ぶ。

次の足場は、ゼクトが様子を見てみる事に。ゼクト曰く、この足場もといさっきの足場も切断された後があるという。つまりは、崩れる足場は、敵の罠だったという可能性が高い。まぁ、そうだとは思うが。
とにかく、目の前の足場は、2つぐらい落ちる事になっているようだ。1人ずつ飛んでいたら後がきつい。

「ブルー、こっちへ来い。」
「え?」

ゼロはブルーを呼ぶなり、突然お姫様抱っこで抱き上げたのだ。

「あのっ、ゼロさん?」
「飛ぶぞ。しっかりつかまってろ。」

ゼロはブルーを抱いたまま、足場に乗り崩れ出したら再び次の足場へ移り、もうひとつの足場が崩れたら安全地帯へと、着地する。が、目の前にバトルタトルBROS.がいたので、すぐに降ろし、ゼロではなくブルーがライトブレードで破壊した。

「あの、何でわざわざお姫様抱っこしたんですか?担ぐだけなら、両手ふさがらずにすみましたのに・・・。」
「細かい事は気にするな。行くぞ。」
「は、はぁ・・・。」

どうも理解が手出来なかったブルーであった。

とりあえず、前に進む。

次の足場に飛び移ると、梯子があった。だが、上に上ると、なんか、コマのような奴がいるとゼクトは言う。
その正体はトップガビョール。地面や壁を往復移動し、こちらが近付くと加速する。攻撃すれば一時的に停止させる事が出来るが、破壊は不能。だが、ダメージを与えていれば、停止させる事が出来るから、停止させてからのほうが無難だろう。

≪とりあえず、あいつの動きはオレが止めて置くから、2人はそのすきにいってくれ。≫
「あぁ、頼んだぞ。」

ゼクトはスパイラルショットを何度も撃ち、トップガビョールの動きを止める。そして、2人は先へ進む。といっても、次の足場は飛び下りる方。
2人は飛び下りようとしたのだが・・・、

「ゼロさん!危ない!」
「!!」

―ドガッ!

目の前に敵がいたのだ。
その敵はレイブン。誘導ミサイルを撃った後に、突進してくる習性を持つ。ゼロは、レイブンに突進されたのだ。それも、腹の辺りに。もちろんすぐに破壊した。

「大丈夫ですか?」
「けほ、けほ・・・大丈夫だ、気にするな。これぐらいでバテる俺ではない。」
「そ、そうですよね。」

とりあえず、したに飛び下りて、バトルタトルBROS.を撃破する。そして、次の足場へと移る。その場所にも、トップガビョールがいるので、さっきの戦法で。再びレイブンがいたので、即撃破。
ゼクト曰く、トップガビョールがいる足場は次で最後らしい。さっきの戦法でトップガビョールの動きを止めてから次の足場へ。だが、目の前に次なる足場はなかった。あるのは、浮遊する足場。その足場には、パンテオン・ハンターが乗っている。
ふと、下を見てみると、浮遊する足場が1つだけあった。どうやらあの足場は、安全に移
動出来るものらしい。

「俺は、こっちを行く。ブルーは下の足場に乗って移動しろ。」
「でも・・・。」
≪こういう事は、ゼロに任せておけよ。≫
「判りました。」

ブルーは、さっきの足場から梯子をおり、したのルートからその足場に乗った。だが、動かない。

≪なんだよこれ、見掛け倒しか!?≫

とか言いながら、その足場を蹴った。すると、その足場が動き出した。

≪見掛け倒しじゃなかったぁ!!≫
「まぁ、いいじゃないですか。動いたんですし。」
≪そうだな。≫

さて、ゼロの方は順調に敵を倒して進んでいるようだ。

突き当たりの足場で、2人は合流する。

「ゼロさん、大丈夫でしたか?」
「あぁ、問題ない。」
≪んじゃ、先へ進もうか!≫
「「だから仕切るな。」」

2人は間を飛び、前に進む。
すると、レジスタンスの仲間が数人倒れていたのだ。
ブルーは彼らに寄る。

「大きな傷を負っていますが、気を失っているだけです。」

そう言って立ち上がる。
ふと前を見ると、誰かがそこに立っていた。その誰かに、今にもやられそうな仲間が1人いた。足がすくんで、動く事が出来ないようだ。

「何しているんですか!早く逃げてください!」

ブルーが、そう叫ぶ。
彼は振り向いて、安心したかのように、こちらの方に走ってきた。ブルーは、傷ついた彼らといっしょに、簡易転送装置でベースに送る。
彼らに攻撃をしたと思われる、その人物は口を開いた。

「お前がゼロか。我が名はハルピュイア。エックス様にお仕えする、四天王がひとり。そして・・・、」

ハルピュイアと名乗ったその人物は、ブルーの方を見た。ブルーもハルピュイアの方を見ている。

「久しぶりだな、ブルー。」

そう言った。

「ホントですね。まさかこのような形で出会うなんて、思ってもみませんでしたよ。」

呆然と、2人を見るゼロとゼクト。状況が掴めていないらしい。

≪な、なぁブルー。こいつと知り合いなのか?≫
「はい。ネオ・アルカディアにいた時、一ヵ月に一度のメンテナンスがあったんです。その四天王の担当が、僕だったんです。今はどうだか知りませんけど。」

そう言いながら、ハルピュイアを見続ける。

「まさか、お前が人間に仇なすイレギュラーどもと一緒にいるなんてな。」
「彼らがいつ、人間に仇なしたんですか。命令とはいえ、判断がおかしすぎますよ。」
「何を言う。今だって、こうして反逆をしているではないか。ネオ・アルカディアに反逆する事事態、イレギュラーのする事だ。」
「無実のレプリロイドまで処分しているから、レジスタンスというのが生まれたんじゃないんですか?」
「・・・・・・。」

ハルピュイアはその言葉を聞いて数秒黙る。

「あなたも心があるなら、無実のレプリロイドを処分するのはやめてください。」
「それは出来ない。エックス様の命令に反する事は許されない。」
「そう、ですか。」

そう言って、黙ってライトブレードを取り出し、ハルピュイアに向ける。

「あなたなら、判ってくれると思いました。期待外れです。ただ今から、全力であなたを倒します!」

ブルーは、ハルピュイアに向かって突進した。ライトブレードを2本にし、虎双牙斬を放つ。だが、ハルピュイアに簡単に受け止められてしまう。会話に付いて行けなく、出遅れたゼロも攻撃を仕掛けるべく、アイスチップを装備したゼットセイバーで迎え撃つ。だが、あっさりと避けられてしまう。
ハルピュイアは空を飛び、ソニッブームを放った。2人はわかれて避ける。

「ゼロもブルーも、よくやるな。」
「そっちこそ、です。」
「だが、お前たちの罪は重い。己が身で償え!・・・と、言いたいところだが、伝えなければならない事があったのを忘れていた。」
≪拍子抜けだなぁ、おぃ。≫

と、ゼクトは突っ込んでみた。

「ブルー。お前にメッセージだ。」
「僕にですか。一体何なんです。」

疑問符を付けずに質問をする。
ハルピュイアは、少し間を置き、こう言った。

「ネオ・アルカディアに戻れ、ブルー。」

それを聞いたブルーは、「?」しか浮かばなかったと言う。


第12話へ続く。


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