第11話 コルボー・チームを探せ。第11話 コルボー・チームを探せ。ここは、セルヴォの部屋。 その部屋のカプセルで、ブルーは眠っていた。やはり寝顔が小さな子供のようである。 その様子を、ゼロは黙ってみていた。ゼクトも一緒にみている。 「調整完了。後は目覚めてくれるまで待つだけだ。」 セルヴォがそう言い、次の作業にかかる。 取り出したのは、ブルーの武器、ライトブレードだ。この武器は前にも言ったように、雷技しか使えない。そのためか、本人事態も雷の属性が備わっているようなのだ。 セルヴォはそれを知り、ブルーを調整するついでに、雷属性を無属性に変えた。そうすれば、属性に関するダメージが多少減るのである。 ブリザック・スタグロフと戦った時には、通常より2倍のダメージを受けていたことになる。だが、重傷には至らなかったのは、奇跡と言えよう。 セルヴォは、ライトブレードにコードをつなぎ、何かのプログラムを打ち込んでいた。カタカタとキーボードの打つ速さは尋常ではない。 小さな液晶画面に写し出されるライトブレードの回りには、色々なプログラムの名前が所狭しと並んでいる。 セルヴォは、何か新たな技を組み込んでいるように、ブツブツと技名をつぶやいていた。 だが、2人には全く聞こえてはいなかった。・・・というより、聞き取れなかったと言う方が正しい。 すると・・・、 「うぅん・・・。」 ブルーが目覚めた。 「目が覚めたか。どうだい、気分の方は?」 「えぇ、お陰様で良くなりました。でも、何か違和感が・・・。」 「君の属性を変えたのだよ。雷属性だけだと、後がつらいと思ってね。」 「そうなんですか、ありがとうございます。」 「礼には及ばないよ。」 「そういえば、僕のライトブレードは?」 辺りをキョロキョロと探すブルーに、セルヴォは、今はちょっとした改造を施しているところだと伝える。 「もうすぐ終わるから、待っていたまえ。」 セルヴォはいきいきとしたような感じで、作業を続けた。この時2人は思った。出来たら必ず性能を伝えたいんだと。 数分後。セルヴォは、改造を施したライトブレードをブルーに渡し、武器の性能を細かく伝えた。正直、聞いているとアンドリューじいさんの長話を聞いているような感じになってくる。セルヴォはそれほどの、武器マニアなのだ。 セルヴォが話していると、必ずと言っていいほど楽しそうに話す。言葉の一つ一つに、感情がこもっているのである。まぁ、説明したい気持ちも分からないわけではない。 とりあえず、セルヴォが話す改造版のライトブレードには、雷属性だけではなく、炎属性、氷属性、無属性が加わっていた。それ故、新しい技も組み込まれているのだ。 まずは炎属性の技。 名前は炎龍風砕牙(えんりゅうふうさいが)。ライトブレードが炎に包まれ、それを素早く縦に振ると炎の龍が現れて、相手を焼尽くす事が出来る。まぁ、普通に攻撃しても焼尽くす事が出来るが、こちらの方が攻撃力は高い。氷属性には効果抜群だ。 次は氷属性だ。 名前は、氷幻刃(ひょうげんじん)。横に振ると、氷属性を帯びた真空刃が飛ぶ。それで雑魚ならば凍る事間違いなしだ。 最後は、無属性。技が二つも組み込まれている。 一つ目は、瞬動翔烈破(しゅんどうしょうれっぱ)。名前のとおり瞬時に動き、相手を2回突き斬り上げる。そして、2mぐらい飛んで、ライトブレードを振り落とす、という何ともテクニックのいる技。 二つ目は、虎双牙斬(こそうがざん)。ライトブレードに新たなスイッチが備わっていて、そのスイッチを押すと反対側からも出て来る仕組みとなり、2つにわかれるのだ。つまり、ダブルブレードと言う事になる。斬り上げ斬り下ろし、ズバズバといくそうだ。これも、少しだかテクニックはいるようだ。 そして、雷属性の轟雷烈落斬の他に、轟雷翔(ごうらいしょう)と言う技が組み込まれているそうだ。この技は、轟雷烈落斬と同じで、雷を帯びさせてから攻撃するものだが、違うところは、瞬時に敵の懐へ近付き、斬り付けるというものである。 ≪セルヴォ、それ技つけすぎてないか?≫ セルヴォの説明にキリがついたところで、ゼクトが話しかける。 「ははは、勢いあまり過ぎてしまったようだね。」 と、セルヴォは笑ってごまかす。 「でも、この技は身軽なブルー君にしか出来ない技ばかりなんだ。だから、是非とも使いこなして欲しくてね。」 「そうだったんですか。じゃ、一刻もはやく使いこなさないといけませんね。」 と言いながら、いつ取り出したメモ帳に、さっきの技をメモしていた。戦闘になれば、メモ帳などろくに見ないのに。 ≪なぁ、セルヴォ~。≫ 「なんだね?」 ≪オレにも何か武器作って~。≫ ゼクトは突然、セルヴォに武器を作って欲しいと要求した。 だが・・・、 「お前には、スパイラルショットがあるだろ?」 ゼロにすぐに突っ込まれてしまった。 ≪何だよ!別にいいじゃねぇかよ!≫ 「いや、お前は援護出来ればそれでいいと思うが?」 ≪ぶ~。≫ ゼクトは顔を膨らました。 「とにかく、シエルさんのところへ行きましょう?」 「そうだな。」 2人はそう言い、セルヴォの部屋を後にする。 ≪ちょ、待てよ~!≫ 置いて行かれそうなやつが、1匹いたが。 -------------------------------------------------------------------------------- ―ウイィィン・・・ 3人(2人と1匹)がシエルの部屋へ入って行く。 「あ、お帰りなさい。」 ≪たっだいまぁ~!≫ 「ただいま。」 「・・・た、ただいま・・・。」 ゼロだけ、何故か恥ずかしそうに言っている。まぁ、そういう所は気にしない方向でいこう。 「気分の方はどう?」 「はい、セルヴォさんのお陰で元気になりました。」 「良かった。」 「とにかくシエル、次のミッションは?」 ゼロはせかすようにして、シエルに話しかける。 ミッションの内容はこうだ。 仲間のコルボー・チームがゼロやブルーばかりに戦ってもらって申し訳ないと言い、地下鉄のルートから敵の基地に侵入したのだが、そのまま帰って来ないのだ。敵に見つかって、大変な事になっていなければいいのだが、その「もしも」が当たっていれば、仲間がまた減りかねない。だから、様子を見に行って欲しいとの事だ。 「そうそう、あとゼクト君に言わないといけない事があったわ。」 シエルは、手をポンと叩いてそう言った。 ≪何、言わなきゃいけない事って?≫ 「ゼクト君を調べて、また判った事があるの。」 「判った事」。それは、ゼクトと他のサイバーエルフがシンクロすると、ゼクトがその能力を使えるようになると言う事。ただし、普通に使う時と同じように、シンクロして解除すればサイバーエルフは死んでしまう。そう、今の技術では、サイバーエルフを生かしたままには出来ないのだ。 ≪そうか・・・。オレ、サイバーエルフだけどさ、他のサイバーエルフみたいに能力使ったら死んじゃう訳じゃねぇから、なんか使う時、躊躇しちまうんだよな。≫ 「ごめんなさい、私にもっと技術があれば・・・。」 ≪いいって、いいって。あいつらも、オレ達に使われるなら、本望だってきっと思ってるし。≫ 「そう、それならいいんだけどね。」 ≪つーことだから、ナース系のジリフを連れてくよ。≫ 「判ったわ。じゃ、気を付けてね、みんな。」 「あぁ。」 「今度は足手まといにならないよう頑張ります。」 ≪じゃ、行くぜ!2人とも!≫ 「「だから、仕切るな!」」 やはり何故か仕切るゼクトであった。 -------------------------------------------------------------------------------- トランスサーバーで移動し、下に降りると、シエルから通信が入った。 『敵の活動が活発になってきてる・・・。』 「まさか・・・?」 『えぇ、敵に見つかったのかも・・・。さっきも言ったけど、気を付けてね。』 そこで通信は終わる。 このルートは、以前ゼロが輸送列車で通ったルートだか、輸送列車を破壊したせいもあるのか、ルートが多少崩れている。つまりは、輸送列車は愚か、普通に通るのも難しい状況なのだ。 だが、進まない訳には行かないのだ。コルボー・チームがこの先にいる可能性があるのだ。 とりあえず、間が開いている所を飛び越え、目の前にいるパンテオン・ハンター2体を斬り裂く。次いで、上にのぼりパンテオン・フライナーを破壊、そしてパンテオン・ハンターを破壊。目の前にまた間が開いていた。 だが、足場に違和感を覚えた。まさか、乗ったら崩れるんじゃないかと。 「ものは試しだ。」 そう言ってゼロは、大きくジャンプし、その足場に乗る。 予想は的中。足場は突然崩れだしたが、何とかそのまま落ちずにはすんだ。ゼロのまた目の前の足場も、いかにも崩れそうな雰囲気を漂わせている。実際ゼロが足を一歩前へ出しただけで、その足場は崩れてしまった。近くにパンテオン・フライナーが飛んでいたので、ゼクトがスパイラルショットを撃ち、破壊した。 「ブルー、何をしている。早く来い。」 ≪足手まといにならないんじゃなかったのか?≫ 「そ、そんな事判ってますよ!」 そう言って、勢いをつけその間をジャンプした。だが、勢いが余ったのか着地した時に失敗をし、ゼロに倒れかかった。そこでちょっとしたトラブルが・・・。 ≪大丈夫か、2人と・・・。≫ ゼクトの言葉が止まる。何故なら、ブルーが倒れかかった勢いがあり過ぎたため、ゼロとブルーが関節キスをしてしまったのだ。 キスしたまま、ボーッと見つめ合う2人は、やっと我にかえり勢いよくはなれる。 「ご、ごめんなさい!そういうつもりはなかったんです!」 謝るブルーに、ゼロは唇を押さえて外方を向いていた。頬が多少赤い。 「ごめんなさい・・・。」 「・・・とにかく、行くぞ。」 ゼロは次の足場へと飛ぶ、これまた崩れる足し場。だが落ちる事もなかった。ブルーはさっきの事をまだ気にしていて、前に進む事が出来なかった。 「いつまで気にしているつもりだ。そう言うのも、足手まといなんじゃないのか?」 「ごめんなさい・・・。」 「今度は、踏み外しても受け止めてやるから、早く来い。」 そう言って、ゼロは手をさし伸ばした。 ゼロのコメントとその仕草が嬉しかったのか、ブルーは笑顔で「はい!」と答えた。そして、足場から足場へと飛ぶ。 次の足場は、ゼクトが様子を見てみる事に。ゼクト曰く、この足場もといさっきの足場も切断された後があるという。つまりは、崩れる足場は、敵の罠だったという可能性が高い。まぁ、そうだとは思うが。 とにかく、目の前の足場は、2つぐらい落ちる事になっているようだ。1人ずつ飛んでいたら後がきつい。 「ブルー、こっちへ来い。」 「え?」 ゼロはブルーを呼ぶなり、突然お姫様抱っこで抱き上げたのだ。 「あのっ、ゼロさん?」 「飛ぶぞ。しっかりつかまってろ。」 ゼロはブルーを抱いたまま、足場に乗り崩れ出したら再び次の足場へ移り、もうひとつの足場が崩れたら安全地帯へと、着地する。が、目の前にバトルタトルBROS.がいたので、すぐに降ろし、ゼロではなくブルーがライトブレードで破壊した。 「あの、何でわざわざお姫様抱っこしたんですか?担ぐだけなら、両手ふさがらずにすみましたのに・・・。」 「細かい事は気にするな。行くぞ。」 「は、はぁ・・・。」 どうも理解が手出来なかったブルーであった。 とりあえず、前に進む。 次の足場に飛び移ると、梯子があった。だが、上に上ると、なんか、コマのような奴がいるとゼクトは言う。 その正体はトップガビョール。地面や壁を往復移動し、こちらが近付くと加速する。攻撃すれば一時的に停止させる事が出来るが、破壊は不能。だが、ダメージを与えていれば、停止させる事が出来るから、停止させてからのほうが無難だろう。 ≪とりあえず、あいつの動きはオレが止めて置くから、2人はそのすきにいってくれ。≫ 「あぁ、頼んだぞ。」 ゼクトはスパイラルショットを何度も撃ち、トップガビョールの動きを止める。そして、2人は先へ進む。といっても、次の足場は飛び下りる方。 2人は飛び下りようとしたのだが・・・、 「ゼロさん!危ない!」 「!!」 ―ドガッ! 目の前に敵がいたのだ。 その敵はレイブン。誘導ミサイルを撃った後に、突進してくる習性を持つ。ゼロは、レイブンに突進されたのだ。それも、腹の辺りに。もちろんすぐに破壊した。 「大丈夫ですか?」 「けほ、けほ・・・大丈夫だ、気にするな。これぐらいでバテる俺ではない。」 「そ、そうですよね。」 とりあえず、したに飛び下りて、バトルタトルBROS.を撃破する。そして、次の足場へと移る。その場所にも、トップガビョールがいるので、さっきの戦法で。再びレイブンがいたので、即撃破。 ゼクト曰く、トップガビョールがいる足場は次で最後らしい。さっきの戦法でトップガビョールの動きを止めてから次の足場へ。だが、目の前に次なる足場はなかった。あるのは、浮遊する足場。その足場には、パンテオン・ハンターが乗っている。 ふと、下を見てみると、浮遊する足場が1つだけあった。どうやらあの足場は、安全に移 動出来るものらしい。 「俺は、こっちを行く。ブルーは下の足場に乗って移動しろ。」 「でも・・・。」 ≪こういう事は、ゼロに任せておけよ。≫ 「判りました。」 ブルーは、さっきの足場から梯子をおり、したのルートからその足場に乗った。だが、動かない。 ≪なんだよこれ、見掛け倒しか!?≫ とか言いながら、その足場を蹴った。すると、その足場が動き出した。 ≪見掛け倒しじゃなかったぁ!!≫ 「まぁ、いいじゃないですか。動いたんですし。」 ≪そうだな。≫ さて、ゼロの方は順調に敵を倒して進んでいるようだ。 突き当たりの足場で、2人は合流する。 「ゼロさん、大丈夫でしたか?」 「あぁ、問題ない。」 ≪んじゃ、先へ進もうか!≫ 「「だから仕切るな。」」 2人は間を飛び、前に進む。 すると、レジスタンスの仲間が数人倒れていたのだ。 ブルーは彼らに寄る。 「大きな傷を負っていますが、気を失っているだけです。」 そう言って立ち上がる。 ふと前を見ると、誰かがそこに立っていた。その誰かに、今にもやられそうな仲間が1人いた。足がすくんで、動く事が出来ないようだ。 「何しているんですか!早く逃げてください!」 ブルーが、そう叫ぶ。 彼は振り向いて、安心したかのように、こちらの方に走ってきた。ブルーは、傷ついた彼らといっしょに、簡易転送装置でベースに送る。 彼らに攻撃をしたと思われる、その人物は口を開いた。 「お前がゼロか。我が名はハルピュイア。エックス様にお仕えする、四天王がひとり。そして・・・、」 ハルピュイアと名乗ったその人物は、ブルーの方を見た。ブルーもハルピュイアの方を見ている。 「久しぶりだな、ブルー。」 そう言った。 「ホントですね。まさかこのような形で出会うなんて、思ってもみませんでしたよ。」 呆然と、2人を見るゼロとゼクト。状況が掴めていないらしい。 ≪な、なぁブルー。こいつと知り合いなのか?≫ 「はい。ネオ・アルカディアにいた時、一ヵ月に一度のメンテナンスがあったんです。その四天王の担当が、僕だったんです。今はどうだか知りませんけど。」 そう言いながら、ハルピュイアを見続ける。 「まさか、お前が人間に仇なすイレギュラーどもと一緒にいるなんてな。」 「彼らがいつ、人間に仇なしたんですか。命令とはいえ、判断がおかしすぎますよ。」 「何を言う。今だって、こうして反逆をしているではないか。ネオ・アルカディアに反逆する事事態、イレギュラーのする事だ。」 「無実のレプリロイドまで処分しているから、レジスタンスというのが生まれたんじゃないんですか?」 「・・・・・・。」 ハルピュイアはその言葉を聞いて数秒黙る。 「あなたも心があるなら、無実のレプリロイドを処分するのはやめてください。」 「それは出来ない。エックス様の命令に反する事は許されない。」 「そう、ですか。」 そう言って、黙ってライトブレードを取り出し、ハルピュイアに向ける。 「あなたなら、判ってくれると思いました。期待外れです。ただ今から、全力であなたを倒します!」 ブルーは、ハルピュイアに向かって突進した。ライトブレードを2本にし、虎双牙斬を放つ。だが、ハルピュイアに簡単に受け止められてしまう。会話に付いて行けなく、出遅れたゼロも攻撃を仕掛けるべく、アイスチップを装備したゼットセイバーで迎え撃つ。だが、あっさりと避けられてしまう。 ハルピュイアは空を飛び、ソニッブームを放った。2人はわかれて避ける。 「ゼロもブルーも、よくやるな。」 「そっちこそ、です。」 「だが、お前たちの罪は重い。己が身で償え!・・・と、言いたいところだが、伝えなければならない事があったのを忘れていた。」 ≪拍子抜けだなぁ、おぃ。≫ と、ゼクトは突っ込んでみた。 「ブルー。お前にメッセージだ。」 「僕にですか。一体何なんです。」 疑問符を付けずに質問をする。 ハルピュイアは、少し間を置き、こう言った。 「ネオ・アルカディアに戻れ、ブルー。」 それを聞いたブルーは、「?」しか浮かばなかったと言う。 第12話へ続く。 ジャンル別一覧
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