チーム・バチスタの栄光
「このミステリーがすごい!2006」の大賞作品です。一時期携帯での楽天ブックスのページで無料試読をやっていて、ちょっと面白そうかなーと思って購入しました。お話の舞台はとある大学病院。主人公は、神経内科の万年講師。彼は広大な大学病院の、増改築を繰り返した複雑な建物の中で十年以上のあいだほとんどの人に知られていなかった小部屋を根城に外来をしています。その外来の名は「不定愁訴外来」別名「愚痴外来」明らかな原因がない、色々な症状を訴える、しかし精神病ではない患者さんの相手をするという一風変わったまったり外来をして日々きままに過ごしている彼が、ある日突然病院長に呼び出され、ある依頼をされます。その依頼の内容とは、この大学病院が世界に誇る名医の心臓外科医が、驚異的な成績で成功を収めていた「バチスタ術」にて立て続けに3例術中死が起こり、その死が患者さんの心臓が悪すぎてなってしまったのか、なんらかの医療事故が起こったのか、何者かの意志により起こったのか・・・つまり殺人ですが・・・について調べて欲しい、というところから始まります。悩みながらも手術スタッフ達と面談しながら原因究明に努めますが、立ち会い手術の最中にまたもや術中死が・・・!手術は完璧にできていたはずなのに・・・そして、物語中盤から主人公とコンビを組む強烈な探偵役が登場します。彼の外見の印象は「ゴキ○リ」!性格もウルトラスーパーマイペースで超変人。しかも調査の仕方はめちゃくちゃ!主人公と違った切り口で手術スタッフの素顔を鮮やかに暴き、前半では語られなかった深刻な問題が明らかになっていきます。しかしいずれも「殺意」の決め手にならない・・・そもそもこれらは「殺人」なのか?それぞれ別個にたまたま生じた事故なのか??そのあと怒濤の勢いで物語は進んでいきます。最期の締めも納得のエンディング。とても面白かったです。まだの方、是非ご一読をお奨めします!