バルセロ・オーガニック~Ron Barcelo Organic~
【バルセロ オーガニック】バルセロ・オーガニック。ドミニカのラムです。オーガニックの名のとおり、専用の畑で有機栽培されたサトウキビジュースから作られ、ラベルはバガス(サトウキビの搾りかす)に有機インクで印刷されているそうです。この製品に限らず、バルセロは生産の90%がバイオマスなどクリーンエネルギーで稼働されていて、発酵時のCO2はソフトドリンクの泡に使うなどしてカーボンニュートラル認証を受けている、サステナブル企業だそうです。スゴイですね。僕はバルセロが好きなのですが、海外のシリアスなラムマニアからは軽んじられる存在です。もちろん、サステナブルだろうがカーボンニュートラルだろうが、そういった点はマニアの評価対象にはなりません。軽んじられる理由の一つがアルコール度数で、代表的なバルセロ・インペリアルやオニキスは38%、グランアネホは37.5%と、一般的な40%より低いという点でしょう(プレミアムブレンドは43%)。確かにインペリアルやオニキスが43%とかだったらもっと美味しいだろうとは思いますが、38%でも僕は美味しいと思うのですが・・・また砂糖が加えられている、という点も軽んじられる理由の一つです。しかし海外で公表されているテストによるとその加糖量はごく微量で、例えばラムマニア大絶賛の旧エルドラドの5分の1くらい、旧パッサーズ15年の4分の1ほどです。もちろん、飲んでも甘すぎるということはなく、いいバランスだと思います。フォースクエア蒸留所の製品など、数々のシュガーフリーの高品質ラムを飲んできましたが、それでも依然としてバルセロは僕のお気に入りのラムの一つで、インペリアルやオニキスは常に僕の棚に在ります。さて、今回のバルセロ・オーガニック、公式サイトによると、糖蜜ではなく有機栽培されたサトウキビジュースから作られ、バーボンのようにバージンオークカスクで熟成されているそうです(熟成年数は不明)。アルコール度数は37,5%。非常に安価で、バルセロ・グランアネホと同じくらい。オーガニックであることや、新樽を使うという製造コストを考えると、グランアネホ以下の熟成年数かもしれません。どんな感じでしょうか。香りはさほど強くなく、バルセロ・グランアネホ的な感じで、マイルドなキャラメルやバニラが感じられる落ち着いた印象です。しかし、味は一転してかなり特徴的。バターキャラメル、チョコレート、バニラ、スパイス、柑橘などが感じられますが、なんといっても甘酸っぱい焦げたオークの風味が非常に印象的です。明確な焦げオーク風味が味わい全体をブーストしていて、香りから受ける印象をはるかに凌駕する満足感があります。味、風味の各要素のバランスが良く、度数が37,5%でも僕的には全くOKです。美味しい。定番であるバルセロ・インペリアルと飲み比べてみました。インペリアルは香り、味共にココアパウダー、ダークチョコレートの風味が前に出た濃厚系。今回のオーガニックは、香りの淡さは否めないものの、味わいはバーボン的焦げオークの風味によって外骨格的強靭さが備わっていて、独特の強さ・豊かさが感じられます。味わい・風味にかなり違いがあるので、優劣を決めるのは難しいのですが、「美味しさ」という抽象的な観点からすると、僕的には「香りインペリアル、味オーガニック」といったところです。新樽を使って、しかもドミニカでのトロピカルエイジングということで、熟成はかなり早く進むのでしょう。年間気温からすると、熟成の進行速度はバーボン以上だろうと思います。数年早く出荷できるという有利さはあるものの、新樽とオーガニックであることのコストを考えると、このバルセロ・オーガニックの価格設定は驚異的ではないでしょうか。オーガニック&サステナブルということもすごいですが、製品の味:価格比からすると超スゴイと思います。【僕の評価】5段階中の5ロン バルセロ オーガニック 37.5度 700ml価格:2780円(税込、送料別) (2021/9/25時点)