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2005.08.04
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昨日の日記 に書いた通り、
うちの少年たちは、カエル、クモ、昆虫類が大の苦手であった。


で、水田に囲まれるこの地は、当然の如くカエル天国である。


啓蟄を過ぎ、田んぼが耕され、水を張る頃になると、
カエルの声で眠れない。

そして夜も更けた頃、遠くの方で、
「んもーぅ、んもーぅ」というウシガエルの声がする。

昔は随分居たらしいが、ここ10年でも、めっきり聞かなくなってしまった。



この地への転居にあたり、心配のひとつはカエルだった。


昨日コメントいただいた、たかなさんのメッセージに、

『 カエルの大合唱のために中古住宅が大幅値下げしないと売れない 』とあった。

情けなくとも、我が子でもそうだった。 そういう時代なのである。




10年を経過し、さすがに少年たちもカエルには慣れ(慣れるしかない)、
先日、小さなアマガエルを手の上に乗せていた下の少年を見て驚いた。


かくも少年を取り巻く環境とは、凄いもの?

放っておいても子は育つ?





  ◆◆◆◆◆◆◆





さて、今春大学生となった上の少年が中学生時代、

彼が最も恐れていた、伝統のカエルの解剖のときを迎える。



うちの中学では、理科の時間に、必ずウシガエルの解剖を行っていた。

毎年、この解剖授業は、保護者をも巻き込んで多大なる悲喜劇を生むのである。



何故なら、子どもたちが解剖するウシガエルは、
解剖の日までに、子どもたちの各班で調達しないとならないからである!


田舎町故、昔は、何処にでも居たらしいのだが、
この地でも休耕田が増え、少しずつ「マチ化」していくにつれ、
さすがに近年は、めっきり数が減っている。


また、この町は、農業区ばかりではなく、
漁業区、商業区、山林区を抱えている。
そうそうウシガエルは入手できない。


夜中にウシガエルの鳴き声を聞き、だいたいのあたりをつけていても、
昼間に運良く遭遇できるかどうかは判らない。


子どもたちは、班でまとまって、
放課後・土日を駆使し、ウシガエル捕獲に駆けずり回る。

とはいえ、放課後・土日のクラブ、塾。
いまどきの子どもたちは忙しく、なかなか全員での行動はできない。


かくて、保護者をも巻き込み、当然の如く苦情も殺到し、
いつの頃からか、ウシガエル相当の大きさがあれば、
トノサマガエルでもOKということになった。



うちの上の少年も同様に、ウシガエル捕獲に毎日悩むこととなった。

最初の日は、班員全員が情報を持ち寄りって、
泥だらけの汗みずくで探し歩いたようだが、
そうそう見つかるはずもなく、翌日からは班長である上の少年ひとり。

半ベソをかきつつ、毎日カエルを探し歩いて2週間。

余りに可愛想で、私も重い腰をあげる。


灯台下暗しで、夫の実家の庭の池に、巨大なトノサマガエルが棲みついており、
最悪な場合は、そのカエルを持って行くことになって一息ついた。




結局、ウシガエルは見つからず、
その巨大トノサマガエルを持って行くこととなり、
3日間ほど、自宅玄関で飼った。

倉庫で埃を被っていた大きな水槽の出番である。

夜中になると、カエルが暴れる。
大きな水槽が動くほど、跳ねて身体をぶつけるのである。

1度、勢いで蓋を外して、出てきたので、
玄関で大騒動しながら捕まえ、また水槽にもどして、
蓋の上に大きな石を置いた。


それでもカエルは、自分の運命を諦めきれないように、
水槽のなかで大暴れをする。


我が家の少年たちは、最初は見るのも嫌がっていた。
が、夜に何度も何度もカエルが水槽に身体をぶつける音を聞き、
その音に身を竦ませながら、段々とカエルが可愛想になり、
逃がしてやりたい、と思うようになったようだった。


しかし、逃がせば、上の少年の2週間の苦労は無に帰し、
班長としての務めも全うできず、解剖学習ができない。


彼らは、相反する感情を持て余しつつ、
網を持ってハエを捕まえて来ては、
おそるおそるカエルに餌としてあげていた。



いよいよ、解剖学習の朝。


学校に持って行くために水槽を持ち上げた上の少年。
それを見上げる下の少年。

2人は声をあげて泣いた。


私まで、目頭が熱くなる。

蒼ざめた少年たちにかけてあげられる言の葉もない。


----------------------


その日。

帰宅し、ぼんやりした様子の少年に声をかけると、
同じ班の子がめでたくウシガエルを捕まえて来ていた、と。


 「 じゃぁ、うちのトノサマガエルは、助かったん?! 」


思わず、喜んで声をあげた私に、


 「 捕まえられなかった班があったから、その班にあげた 」


世にも暗い声で少年が言う。


 「 …んでも、たっくんがうちのカエルを解剖しなくて済んで良かったね? 」


 「 …ぅん…… 」



カエルたちは、解剖されたあと、お墓に埋められる。
骨は漂白され、黒の厚紙に、きれいに貼り付けられて骨格標本として、
文化祭で展示される。




ウシガエル解剖について、
毎年毎年、夏のPTA地区懇談会で話題にのぼる。


捕獲が大変なこと。
やっとのことで捕獲できたのに、夜に脱走され、
また探さなくてはならなかったこと。
解剖の日までの世話、特に活餌をあげるのが大変なこと。
保護者まで多大な負担である、なんとかならないのか、etc.


しかし、理科の先生の一声で、みんなの顔が笑顔に変わる。


「 子どもたちは、解剖前に自然と手を合わせます 」

「 殆どの子が涙を流します 」


-----------------------------------


私の子ども時代は、フナの解剖だった。
小学校のときか中学校のときか、記憶も定かでなく、
理科の実験室に用意されたフナを、ただ気持ち悪い、生臭い、と思いつつ、
嫌々解剖した記憶しかない。



うちの中学の子どもたちは、一生忘れられないだろう、と私は思う。

彼らは、「教材」として予め用意されたものを
機械的に解剖したのではない。

「 いのち 」を学習したのだ、と思う。

ウシガエルを捕獲するための班行動のなかで、
自主的班行動のしんどさを始め、様々なことを学び、
ウシガエルの生息地を掴むために、自分の町を識り、
地域のひとびとに聞いて回り、
ウシガエルを飼い、そして解剖した。

自分たちの手でカエルのいのちを摘み取ったことを、
決して忘れないだろう。
そして、この学習を決して、無為にはすまい、と
幼いこころに誓ったのではないだろうか。


賛否両論あるだろうが、
私は、生きた、いのちの総合学習をさせていただいた、と思う。


------------------


その後、理科の先生が異動となり、ウシガエルの解剖はなくなった。

下の少年に訊ねると、

 「 ○○先生は、解剖、嫌いなんだって 」

うちの中学の解剖学習は、ビデオになった。




減りつつあるうちの町のウシガエルにとっては僥倖だろう。


しかし、なんだか、途轍もなく、
大切なものを失ったような気がしてしまったのは、私だけだろうか。




      # この日記を書くきっかけとなった
         あそびすとさん にトラックバックさせていただきます。

ペン潤





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Last updated  2005.08.04 18:17:46
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