テーマ:本日の1冊(3685)
カテゴリ:読みました^^*☆
梨木氏の名前を耳にしたのは、 『 西の魔女が死んだ 』で、日本児童文学者協会新人賞、 新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を総ナメにした年。 いつだったか、、と調べて、もう14年も経っていることに愕然とする。 ファンタジー大好きな私のこと、 『 西の魔女 』というキーワードに、当時もしっかり反応し、食指が動く。 が、始末の悪いへそ曲り、天邪鬼でもある私は、 とかく、「 ベストセラー 」やら、話題の本にそっぽを向く傾向を持つ。 気になる『 西の魔女 』も、「 ほとぼりがさめてから 」、「 文庫化されて 」 書籍購入リストの先頭に掲げつつも、ずっと未ゲット・未読で、いた。 その後、梨木氏は、『 裏庭 』で児童文学ファンタジー大賞を受賞、 『 家守綺譚 』では本屋大賞3位入賞、 『 沼地のある森を抜けて 』で センス・オブ・ジェンダー賞大賞、紫式部文学賞を受賞。 華々しいご活躍とともに、書店では梨木本が至るところで平積みになり、 コーナーまでできていたが、私は、これらが百均となって、 大人買いすることを楽しみに、一切の書評その他の情報を意図的に断つ。 そんな私の元に、東方より届いた梨木本2冊! 私がこの御方の本をマークしていたことが、だうして判ったのでせぅ?? わーぃ\(^o^)/☆、と、カバーを掛けられた1冊を勢い込んで繙けば、 それは『 ぐるりのこと 』という、梨木氏のエッセイだった。 、、、、活字中毒の私ながら、正直言って、エッセイは苦手であったりする(汗)。 きちんとした構想の下に「 つくられた 」物語に比して、 往々にして、著者の「 ひととなり 」がストレートに出がちなそれ、は、 どうかすると、一人称で語られるそれらのイタさや、生臭さをはじめ、 何かしら鼻につくものがあったり、 底の浅さを感じてがっかりしたり。( ← 何様? > ぢぶん ) 以降、著作物を繙くにあたって、勝手にその印象が影響してしまい、 苦い想いを抱えてしまうことが多々、あるから、である。 勿論、中村うさぎ氏のレベルにまで行き着けば、 それはそれでむしろ爽快に笑えるのであるし、 ハイセンスなエッセイにだって、結構めぐり逢ってもいるのだが。 だが、梨木氏の場合はどうか? これまで、意図的に、彼女の情報をシャットアウトして来たので、 どんなものが飛び出して来るのか、一切判らないのが、不安、である。 だもんで、読み始めた途端、これがエッセイだと悟り、 これはもしかしたら、マズぃかも、と慌てる。 何年も楽しみにして来た梨木氏のご本を読む前に、 梨木氏を嫌いになっちゃったら、だぅしやう(゚゜)\バキ☆ エッセイは、読まない方がいいんと違うか? 文庫の表紙を検めれば、侘び寂びに通ずるセンスを感じるのではあるが。 どうしよう、どうしよう。。。 、、、そーんな傲岸不遜とも言える私の不安は、杞憂に終わる。 それどころか最初のページで、読むのは後回しにしよう、と思っていたのに、 ぐぃぐぃと惹きつけられ、梨木氏の文章にすっかり取り込まれてしまった。 なんというか、文章が、美しい、のである。 美しい 日本語、なのである。 美しい日本語のなかから、自身の心象にふさわしい言の葉を、 選びに選び抜いて、自分のこころを綴ろうとされて、いた。 でもそれは、梨木氏が特段、そう気負っておられる訳でもなく、 梨木氏の自然でやさしい佇まいが直に伝わってくる、言の葉、なのである。 それは、読む端から、私の血肉が洗われるような、 とんがってて、三角になっていたこころが、まぁるくなっていくような。 しっかりと情景をみつめ、しっとりと描写し、 浮かんでは消え逝く、移ろいやすい自分のこころをもしっかりと見据え、 掴んだところのものを表現しようとされる真摯さに胸打たれ、共感する。 その根幹には、他者にこころ寄せることの尊さ、みたいな、やさしきもの――。 ライトなものなら、日に10冊は軽く読み飛ばせる私、が、 このエッセイの1ページ1ページに長い時間が掛かる。 久々の、この感覚。 それは、文字通り、一言一句を噛み締めたい、から。 とても読み飛ばせない、ひとつひとつの表現を味わいたい、から。 彼女の紡ぐ言の葉に絡め取られ、私のこころがしっとりと潤って行く。 私の喪って来た、喪いそうになっていた、喪われてはならない視点。 言の葉を吟味することを日々怠り、曖昧に誤魔化し、 うやむやのまま見切り発車して来たようなところまで、そこかしこに見え隠れし、 しっとりと、でも鮮やかに。 一気に私自身の「 視点 」を取り戻せたような心地がする、そんな、感じ――。 いったい、この一体感?は 何だろう。 いったい、何処から生まれ、何処から来るものなのか。 、、、ということで、梨木氏の文庫化されている本を、 即、一気買いしました、とさ。 (o_ _)oポテッ 『 エンジェル エンジェル エンジェル 』は、 文庫本と単行本ではかなり異なり、ラストシーンも違うらしいので、 単行本も入手しなくちゃ(滝汗)。 次回のレビューは、 ぃょぃょ 彼女の小説 『 からくりからくさ 』 について。 ( って、自分からハードル上げてだうする>ぢぶん ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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