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2009.11.04
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カテゴリ:読書
石田衣良の「約束」を読んだ。涙が出た。

     

この本は短編集。

「約束」

小学生が主人公。
クラスでも飛び切り優秀だった少年ヨウジが通り魔によって殺された。
「自分を助けたことによって彼は死んだ」と彼を尊敬するカンタは思う。
事件後、生き残った少年はこう考える。
「自分が死ぬべきだった」
学校にも行けなくなる少年。
台風の日、その少年は決意する。自分も死ぬことを。

「青いエグジット」

19歳の息子は引きこもり。
しかも事故で片足を大腿部から切断してしまう。

その父親もまた、会社内で左遷されていた。
戻ることのない研修センター行き。事実上のリストラだ。
若くない父親に希望などなかった。
妻も息子のことで神経をすり減らす毎日。

そんなある日、息子がダイビングをやりたいと言い出す。
水の中なら片足でも不自由さが地上ほどではないという。
わがままな息子に対し、両親はやらせてみることにする。

※この話の冒頭に出てくるラーメン屋。
高円寺駅近くで濃厚な豚骨とくれば「峰」しか考えられない。
石田も峰のラーメンを食べたのだろうか。

「天国のベル」

夫を交通事故で亡くした妻。
その事故は、不倫相手と旅行に行く夫が起こした。
妻には小学生の長男と8歳の長女が残された。

ある日、長男の耳が聞こえなくなる。
その原因は心因性のものと判断され、心療内科へ通うことになる。
そこで声を失った女児とその母親に出会う。

「冬のライダー」

モトクロスが好きになった高校生。
川原で練習するが、うまくいかず小学生にも負けてしまう。

そんな彼に声をかけた女性がいた。
彼女は厳しいことを言うが、何回か会ううちにコーチ役となる。
彼女にはモトクロスで悲しい過去があった。

「夕日へ続く道」

中学生の雄吾は不登校だった。
そんな彼に両親も無理に学校へ行かせようとはしない。
だが家にはおらず、公園で両親が選んだ「課題図書」を読む毎日。

そんなある日、廃品回収行の老人を手伝う雄吾。
何回か車に乗って源一老人と話をする。
そんなある日、源一が倒れ病院へ運ばれる。
体が不自由になった源一を、雄吾は世話しようとする。
だが源一は雄吾に勝負を持ちかける。

「ひとり桜」

独身の中年カメラマン溝口は風景専門。
信濃で桜を撮影しにやってきた。
何年もこの桜に執着する溝口。

そんな彼に声をかける女性が現れた。
彼女は溝口が撮影した桜の写真を持っていた。

最初の「約束」と比較すると、私は感情移入できなかった。
「うまく出来すぎている」「お涙頂戴」という感じで引いた。

「ハートストーン」

マンション暮らしの有坂一家。
一人息子が急病のため病院へ搬送された。
脳にできる髄芽腫という悪性腫瘍だった。
さらに有坂一家を悲劇が襲う。

村上春樹の小説はよく「再生と喪失」だと言われている。
だが、これは春樹の専売特許ではない。
いろんな作家が「再生と喪失」を描いている。

小説の大きなテーマ、それは「人間とは何か」。
「人生とは何か」でもいい。

「約束」を読んですぐに思い出したのは秋葉原通り魔事件
2008年に起きたこの事件では7人が死亡、負傷者は10人も出た。

石田が「約束」を書く意味として「あとがき」で語っている事件。
それは2001年に起きた附属池田小事件

刃物を持った男が大阪教育大学附属池田小学校に押し入った。
児童や教諭を次々と刺した事件だ。
8名の児童が亡くなり、児童と教諭15名が負傷した。
この事件へのエールとして書かれたのが「約束」だという。

前にも書いたが、石田の小説は「甘い」と言われる。
石田自身もそれを認め、テレビで話していたこともある。

だがそれでいいじゃないかと私は考える。
石田のいいところはその甘さだ。
読者から飽きられるまでその甘さを持ち続けてほしい。

もしこの短編集を重松清が書いたらどうなったか。
私は「約束」を読んだ後それを考えた。

通り魔事件に親のリストラ。
どれも重松が得意とするものだ。
読者として想像力を働かせるのはとても興味深い。

重松が生死について書いた「その日の前に」。
これに感動できたなら、「約束」でも感動するはずだ。

また、石田の「うつくしい子ども」は子どもが加害者。
別の角度から事件を考えることができる。

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約束/石田 衣良

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最終更新日  2009.11.06 12:07:03
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