朝日新聞「患者を生きる」2014年10月8日の記事です。
「腹水がたまっている。婦人科を受診してください」。2013年1月。タレントの麻美ゆまさん(27)は、東京都内の総合病院で内科の医師からそう告げられた。
すぐに婦人科でCT撮影と超音波検査を受けた。詳しい結果は後日になるが、「子宮か卵巣の病気の疑いがある。いずれにしても、手術が必要になるでしょう」という。
婦人科の病気。しかも手術と聞いて、驚いた。体をみせる仕事だから、傷痕は小さくしたい。所属するアイドルグループ「恵比寿マスカッツ」の解散全国ツアーも迫り、早く復帰したい。「手術なら傷が小さくて済む腹腔(ふくくう)鏡手術がいいな。退院も早そう」と思った。
気がかりもあった。初めて耳にした「腹水」という単語。何を意味するのか。インターネットに「腹水」などのキーワードを入れ、婦人科の病名を検索した。
「卵巣がん」。表示された検索結果に、背筋が凍った。「違ってほしい」という願望。同時に、ある種の覚悟。
2月初め。検査結果が伝えられた。「卵巣は、おなかを開けて組織を調べるまで確定診断はつきません。でも、誰がみても悪性を疑う所見です」
涙がこぼれた。腫瘍(しゅよう)は左右の卵巣にある。医師からは、子宮と卵巣をすべて摘出し、抗がん剤治療を行うことになると説明された。さらにMRIを撮ると、腫瘍は直腸にも広がり、人工肛門(こうもん)が必要になる可能性もあるという。最初は「腸炎かな」と思っていたのに、思いもかけない展開だった。
自分には仕事しかない、と思った。解散を控えた「恵比寿マスカッツ」の活動をやれる限りやろう。手術前に行われるプロモーションビデオの撮影への参加を訴えた。だが、総監督が止めた。「今は病気を治すのが仕事だ」
はっとした。現実から逃げようとしていたのかも……。4月にある最後のコンサートに、絶対に立つ。治療を頑張ろう。
しかし、現実は厳しかった。将来、子どもを産みたい。卵巣と子宮を残せないか。人工肛門は回避できないか。三つの医療機関で意見を求めたが、望む見解は聞けなかった。毎日のように泣いて過ごした。
写真:「恵比寿マスカッツ」のメンバーとして活動していたころ
私は腫瘍を残った一つの腎臓ごと摘出する提案をされました。透析が前提になります。色んなリスクが増えるとともに、大きく生活の質を落とすことにはなります。これはこれで大変なのですが、女性にとって若くして卵巣、子宮摘出することは、全く次元の違う非常に厳しい道だと思います。
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