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2021/05/24
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テーマ:京都。(6074)
カテゴリ:若冲と応挙
【2021年5月24日(月)】

 午前中は歯医者でした。この頃1週間に一度のペースで治療が続いています。今日から、左上奥歯(親知らず)の治療が始まりました。もともとは弱ってきているので、抜いてしまいましょうということだったのですが、再考の結果、何とか残しましょうということになりました。根の治療したうえ、土台を作って被せをします。帰ってきてから、月イチの高血圧薬、抗尿酸薬の投薬で、近所の医者通いでした。いつものアムロジピンとフェブリクをいただきました。あとの半日は、会のこと色々でした。


 「奇想の画家 若冲と応挙」の10回目です。有名な若冲の鶏を飼って写生をした時代のことです。



◆第2章 伊藤若冲(続き)

2-5 自分で見る「物」を描く

 さて、そうやって中国画から学ぼうとした若冲ですが、またまた行き詰まりを感じます。いくら模写をしたり、絵から学んだりしても、絵を手本とする限りは、「宋元画の画人と肩を並べることはできない。模写では、自分と物が隔たるばかり。」 そんななか、37歳で描いた「松樹番鶏図」に初めて「若冲居士(こじ)」という落款を使います。「居士」とは男子の戒名の下につける称号の一つですが、ここでは、在家の仏道帰依者という意味です。「若冲」の名の由来については、後ほど触れます。

 さて再び行き詰った若冲はどうしたのでしょう。引き続き「寿蔵碣銘」からです。「自分が見ることのできる『物』を描くべきだ。」と結論付けます。そして皆さんよくご存知の「鶏」を写生する時代が来るわけですが、何故「鶏」なのかということも「寿蔵碣銘」には書かれています。「では何を描くか。雲の上を飛ぶ麒麟や中国故事人物は実存しない。月代頭(さかやきあたま=前頭部から頭頂部にかけての範囲の頭髪を剃った髪型)の日本人を描くのは嫌である。日本の山水も描くほどのものはない。では動植物だ。孔雀やカワセミ、鸚鵡(おうむ)や錦鶏鳥などは美しいが、いつも目にすることはできない。鶏であればいつでも見られるし、羽は五色の美しさをもっている。そうだ鶏を描くことから始めよう。」 鶏というのは、現在では、食用や産卵用の鶏だけを想像しがちなので、鶏を描くというのは、奇異にも思いますが、江戸時代には観賞用の鶏が流行したという文化的背景があったことを書き添えておきます。

 「数十羽の鶏を窓から見える庭で放し飼いにし、その姿かたちを観察しきったうえで、初めてそれを写し取った。それが数年に及んだ。」「その姿かたちを観察しきったうえで、それを写し取った。」というところが、若冲の写生術の真骨頂のように思います。後述する応挙も写生を重要視した画家です。想像の域を出ませんが、応挙はまずは見たままをすぐ写生したと思います。若冲は「観察しきったうえで・・・」とあります。印象に強く残ったところが絵に現われることになり、若冲独特のインパクトのある絵になったのだと思います。その頃描いた鶏の絵の一つが下の図1「旭日雄鶏図」です。

 若冲は絵の対象を拡げます。「草木や他の鳥、虫や獣、魚といった動植物の姿を知り尽くすことによって、それらに潜む『神』に出会うことが可能になり、手が動いて描けるようになった。」 こうやって、鶏以外の動植物や架空の鳥などを描く力をつけていきました。下に昆虫が描かれた図2「糸瓜(へちま)群虫図」、架空の鳥、鳳凰を描いた図3「旭日鳳凰図」を示します。

  図4に「旭日鳳凰図」と「旭日雄鶏図」の落款を拡大してみます。字が少し斜めになったり、字がヨタヨタとしていたりするのが分かります。若冲の生い立ちのところで、「藤景和画記」に「字が下手」と書かれていることを述べましたが、これら落款はその事実を示すものではないかと思われます。若冲の初期の作品群のなかには、このような落款が見られます。


図1 旭日雄鶏図       図2 糸瓜群虫図 宝暦3(1754)頃
  プライス・コレクション    細見美術館蔵(右は部分拡大)

  



図3 旭日鳳凰図 宝暦5年(1755)  図4 字が斜めになった落款
   宮内庁三の丸尚蔵館        旭日鳳凰図(図3)     旭日雄鶏図(図1)

 


  

2-6 プライス・コレクション

 ここでちょっと寄り道します。前述の「旭日雄鶏図」は「プライス・コレクション」からの作品です。若冲の展覧会には、この「プライス・コレクション」の作品群が出展されることがよくあります。

 「プライス・コレクション」のフルネームは「エツコ&ジョー・プライス・コレクション」です。ジョー・D・プライス氏(1929年10月20日生まれ。今もご存命です。)の所蔵する日本絵画コレクションです。コレクションのフルネームから分かるように、奥様は日本人です。しかし、日本絵画を蒐集するようになったのは、奥様と知り合う前です。

 1953年(昭和28年)にニューヨークの古美術店で伊藤若冲『葡萄図』に出会います。当時、伊藤若冲は日本でも無名に近く、プライス氏もただただ絵に惚れて買った訳です。その後もプライス氏は自らの審美眼を頼りに蒐集を続け、世界でも有数の日本絵画コレクションを築きました。蒐集した作品は伊藤若冲を中心に当時日本であまり人気のない作者のものが多くありましたが、次第に日本で逆輸入的に評価されていきました。ロサンゼルス郊外に鑑賞室などを併設した豪邸を構え、全コレクションは約600点に及びました。ただ、近年は高齢などを理由に、一部を「日本の専門美術館に引き継いでほしい」と受け入れ先を探していたようで、2019年に190点が出光美術館に売却され話題になりました。


 若冲はいよいよ代表作「動植綵絵」の制作にとりかかります。


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最終更新日  2021/05/25 12:34:03 AM
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