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はらぺこぐんだん2~殴りBISの破砕日記~

RS小説【謎の逃走者】:前章~2章

エブリスタでも公開している小説の第3作品目です
作品について、誹謗中傷・意見要望すべてお受けします
全てに返信するかは判りませんが、ご意見お待ちしています


他作品においてはこちらから参照下さい
→RS小説←






REDSTONE小説

 「謎の逃走者」




【プロローグ】

―――ある日

ゲーム内へ入り込めるシステム
【ブレインコントロールシステム】が開発された


当時のレッドストーンも例外ではなく

いち早くそのシステムを導入するべく、その前段階として

テストサーバーが解放された


だが・・・

相次ぐトラブル
渦巻く陰謀

人間の醜さを象徴するような事件が多発したのだった




そして現在

【ブレインコントロールシステム】通称【BCS】は

各種全ての業界から嫌煙され

闇に葬られたと思われた



だが所詮人間

その話題性と利便性に目を眩ませた一部の人間達が

過去の過ちを忘れ
今まさに【BCS】を復活させようとしていた


そして現在――――――






第1章
【ネクスト】




――西暦2018年
――――1月1日


都心の高級ホテルの巨大ホールに
マイクの声が響く


《それではこれより、新作オンラインゲーム【レッドストーン・ネクスト】の完成披露発表会を開催致します》


パチパチパチ

会場内からは
沢山の拍手が起こる



マイクの声の主【舞留紗炎】
(まいどめさえん)

彼はおもむろに会場を見渡す


ホール内には円形のテーブルが数十脚設置されており

記者や関係者
来賓が腰をかけている


そしてその周りには
テレビカメラや報道関係の機材が設置されていた


それらを一通り見渡した紗炎は
マイクを握りしめる

《司会は私、EM蒼炎こと舞留紗炎が努めさせて頂きます》

パチパチパチパチ

紗炎の自己紹介にまた拍手が鳴り響く

心なしか先程よりも拍手が大きい気がする


拍手がおさまったのを確認すると
紗炎は続ける

《本日はお集まりありがとうございます。早速ですが皆様、モニターをご覧下さい》

そう言われ皆の視線は
紗炎の右側に設置されている巨大なモニターへと注がれる


それを見て紗炎は指を鳴らす

パチンッ


すると会場全体が暗転し
モニターに映像が移し出される

暗くなったせいで
会場は少しざわつくが
映像が出た瞬間静かになる

皆の注目の中
スクリーンに写し出された映像が動き出した


《2018年・・・冬》

《あの事件から3年・・・》

《話題の問題作がついに実装!》

《その名は・・・》




《【レッドストーンネクスト】》







タイトルが出た瞬間
拍手と共に沢山のフラッシュが焚かれる

パシャパシャッ

そのフラッシュの中映像はなおも進む


《安全性・信頼性を極限まで修正した【ブレインコントロールシステム】改め、【リアルバーチャルシステム】

《今までのスキルやシステムに加え、新規スキルやシステムの追加!》

《さらには強力な新キャラクターの追加!》

《リアルタイムで繰り広げられるプレイヤーバトル!》

《ゲーム世界の中へ入り込み、君もレッドストーンを捜そう!》


《制作・・・・・・》

最後には長々と
制作会社等の名前が流れてゆく


そこまで流れたのを見て紗炎はまた指を鳴らす
それと共に会場は明るさを取り戻してゆく

《プロモーションビデオをご覧頂きましたが、いかがでしたでしょうか?》

紗炎の問い掛けに会場内は大いに盛り上がる

ワアアアァ~!

ピュ~イ

口笛で称賛を現す人までいる


《ありがとうございます・・・では、詳細については――――》

――――――
――――――――――――



《以上で全てのプログラムを終了致します。皆様、ご来場頂きありがとうございました》


全てのプログラムを終了し
来場者は会場から徐々に姿を消す


紗炎「ふぅ・・・」

緊張の糸が切れた紗炎は
ため息と共に椅子に腰かける

カツカツカツ・・・

そんな彼の元へ向かいハイヒールの音が鳴り響く

「お疲れ様」

紗炎はその声に気づき
うなだれていた頭を上げる

紗炎「芽羅さん・・・」

芽羅(めら)と呼ばれた女性は、微笑みながら缶コーヒーを紗炎に差し出す


紗炎「ありがとうございます」

芽羅「司会なんて大変な役割押し付けちゃってごめんね」

少し申し訳なさそうに苦笑いする芽羅


紗炎「いえいえ・・・僕こそ芽羅さんに裏方押し付けてしまいましたし」

少し疲れた様子で紗炎は目を抑える
司会というのは思ったより疲れるようだ

芽羅「いよいよ明後日に一般公開ね・・・3年前のようにならないように私達がしっかりしないと」

真剣な顔つきで
誰も居なくなった会場を見ながら芽羅はそう言う


紗炎は言葉こそ発っさないものの
深く頷き、賛同する


芽羅「よし、そろそろ行く?酷なようだけど皆が待ってるわよ」

そう言って歩き出す芽羅を見て
紗炎は椅子から静かに立ち上がると、その後を追って会場から去っていった



~1章完~






第2章
【謎多き始まり】




――――――
――――

スゥ・・・

僕がゆっくりと目を開けると
そこは知らない場所だった

「どこだここ・・・」


何か違和感を感じる


・・・・・・

「え・・・」

僕は気がついてしまった


「何も思い出せない・・・?」

そう声に出してみたが

その「思い出せない」という言葉にさえ違和感を感じた


「僕は一体・・・誰なんだ」

自分の事さえ知らない

その恐怖が全身を駆け巡る

ブルブル・・・

自然と体が震えだす

「・・・ッ!」

思わずしゃがみ込み、自分を抱きしめるようにうずくまる


「落ち着け・・・落ち着け・・・」


そう小さく何度も呟きながら必死にその恐怖に耐える


記憶がすっぽりと抜け落ちている彼には
ここがゲームの中だとは知るよしもない



「・・・・・・」


「・・・・・・?」


しばらくして
気持ちが落ち着いた為

ふと顔を上げてみると


今まで気がつかなかったのだが
ここは建物の中だった


スッ

静かに立ち上がると
内部を見渡してみる


ショーケースや棚
カウンターが設置されている

どうやらここは
何かの店のようだ


ショーケースには
頑丈そうな造りの金属性のベルトや兜が陳列されている
それらは、ほのかに光っているように見える

カウンターに人が居たので
とりあえず何か情報を得ようと話し掛けてみる

「あの~・・・」

〔ようこそ!クリムスン商店へ!今日はどうするんだい?〕

笑顔で言うじいさん

ここはクリムスン商店という
名前の店のようだ

「・・・」

僕は何だかこの人に話し掛けても無駄だと思い

無言で店の出入り口へ向かう


〔まいど!また来てくれよ!〕

何も買っていないのに
クリムスンは笑顔で手を振る


ちらりとクリムスンを見ると
僕は店の出入り口をまたいだ


その時


ドンッ

よそ見をしてしまっていたせいで
店内に入ろうとしていた何者かにぶつかってしまった

「いてっ、あ・・・すいません」

僕はとっさにその人に謝る


「オイ貴様!カスター様にぶつかるとは何事だ!」

僕がぶつかった人の
取り巻きのような2人のうち片割れが僕を指差しながら激昂する

スラッ

その取り巻きは小さなナイフを腰の脇から抜き切っ先を俺に向ける

それを見たカスターと呼ばれた、僕がぶつかってしまった人は
それを制止して言う


「まぁ待て、今日はクリムスンに用がある」

そう言われ取り巻きはナイフを腰に戻す

「命拾いしたなガキ」

そしてカスターとその取り巻き達は商店へと足を踏み入れる


「オイ、クリムスン!今月分を取りに来たぞ!」

店に入るなりカスターは
乱暴にそう言い放つ

「あぁ・・・カスターさん、今月分はもう少し待って頂けないでしょうか」

オロオロとしながら
クリムスンは冷や汗をかく

ガシャンッ!

「あ?毎月この日付に取りに来るって言ったよな?」

ショーケースのガラスを足で破壊しながら、カスターはナイフを腰から抜く

それに続くように
取り巻き達もナイフを抜く

「痛い目に遭いたいか」
「この店ツブしてやろうか?」

それを聞いて
クリムスンはビクビクしながら
3人をなだめ始める


「こ、この店の商品で手を打って頂けませんか?・・・こ、これなんて10万Goldは下りませんぜ」

少し輝きを放つ兜を手に
クリムスンは必死だ

「足りんな、コイツとコイツも貰っていくとしよう」

そう言ってカスターが手に取ったのは、金属製のベルトとティアラだった

兜と同じくほのかに光を放っているように見える


「そ、そんな!その3つで45万Goldは下らない!約束の額は15万Goldじゃないですか!?」

クリムスンは顔面蒼白で
カスターを止めに掛かる


「あ?文句あるのか?」
「死にたいのか?」

取り巻き達はクリムスンに向かい
ナイフを突き付けて脅す

「ヒッ!い、いえ・・・お納め下さい・・・」

ナイフに怯えながら
クリムスンは後ずさりして言う

「そうか、では貰っていくぞ」


そう言うと、カスターは兜とその2品を持ち、店の出入り口をへ向かう

僕は入口の真ん中に居たので
とっさに道を開ける

「まだ居たのかガキ」

すれ違いざまに取り巻きが
ギロリと睨みながら去って行った


「ふぅ・・・何だったんだ」

僕はため息をつきながら
店を早々に出た

これ以上ここに居ても厄介事に巻き込まれる予感がしたからだ


「これから・・・どうしよう」

右も左も解らず
僕は歩きだす

クリムスン商店を出て解った事

それは
ここが大きな街だという事

綺麗に整った石畳の道

それに沿うように建てられた
西洋風の古風な家や商店


たまに道端で露店を開いている人達もおり、人通りも多い


行き交う人達は
浮いている不思議な絨毯や見たことの無い生物に乗って移動している

何故かその人達は
皆、腕に機械を着けている

「僕の腕にもついてる・・・何なんだろうこれ」


小さい画面がついており

見た感じ、スマートフォンを少し小さくしたような見た目だ


ボタンが右側の横面に1個だけある事から、タッチパネル式だと解る

その唯一あるボタンは
恐らく電源だと思い押してみるが


「・・・反応が無いな」

起動するのを半ば諦めて顔をあげると

周囲の人達がチラチラと
こちらを見ていた

「僕の顔に何かついてるのかな・・・?」

不思議に思い、通りかかった店の窓に自分を写してみると


「これは・・・」

僕の体には銀色にまばゆい光を放つ、兜や鎧が装備されていた


直接自分の体を見ると
普通の軽装なのだが

窓や鏡を通すと
光を放つ装備が見える


__________________________________________________________

後で解った事だが

これはこのゲームの
プレイヤーに対する考慮であり

鎧や兜を着ける事で視界が悪くなる事を懸念し
自分視点では装備を見えなくする事が出来る機能らしい


これは効果をON、OFFできるのだが、そのやり方を知らない僕は
ただ戸惑うだけだった
___________________________________________________________


僕は

僕を注目している人の会話に気づかないフリをしながら

耳を傾けてみる


「おい、アイツの装備・・・3OPのDXUじゃないか?」
「あの光り方・・・見たことないぞ・・・そもそも実装1日目だぞ」
「そんなレベル高いヤツまだ居るわけないだろ」
「確かにな、ランキング見てみるか・・・確かTOPは239・・・は?」
「どうした?」

話している3人のうちの1人が
腕の機械を見て驚いている

僕はそのまま耳を傾けた


「ランキングがおかしい・・・」
「ん?・・・何だこれ」
「TOPがLv888ってオイオイ、バグなんじゃね?」
「アイツ・・・まさかな」

「確かめてみようぜ」

1人がそう言って僕に近づいてくる

僕はそれに気づかないフリをしながら、空を見上げる


「なぁ、そこの人」

どうしよう話し掛けてきた・・・
僕は不安に感じながら悩んだ末、返事をした


「な、何?」

空からその人へ視線を移す

「君さ、Lvいくつ?」

レベル?何の事だろう


「さ、さぁ?」

とりあえず返事はしたが何が何だか解らない


「まぁいいや、勝手に見させてもらうぜ。【スコープ】

そう言うとその人は腕の機械を操作する


「・・・マジか」


その時、僕は見ていないが
腕の機械にはこう表示されていた


____________________

検索対象:プレイヤー
検索能力:スコープ

名前:ジグ=ヴェルディ
職業:???
Level:888
能力:【MOC】【輝翼】
出身:古都ブルンネンシュティグ
____________________



先程話し掛けて来た人は

一旦他の2人の元へ戻り
何やらワヤワヤと騒ぐ


「・・・今のうちに」

僕は逃げだそうと
気付かれないように歩き出す

・・・が


「あ、ちょっと待って~」

先程話し掛けて来た人が
気づいて声を掛けてきた

「・・・。」

仕方なく僕は立ち止まりそちらへ顔を向ける


すると

今度は3人で駆け寄ってきた

「君運営の人?」

3人のうちの1人
先程とは違う女性が聞いてきた


「運営?違いますけど」

僕の返事を聞き
その女性は怪訝しそうに僕を見る

「というか、僕・・・記憶が無いんですよね・・・」

俯きながらボソリと言うと

3人は「えっ!」っといったような表情になる

「おいおい・・・それ相当ヤバくないか?」
「信じるかは別として、それが本当ならヤバいわね」


「記憶が『モガッ!』」

3人の内の1人
チャラ男のような風貌の男が何か言いかけた時

最初に話し掛けてきた男が慌ててチャラ男の口を塞いだ


「不用意に口に出すんじゃねえよ・・・危険だろ」

危険?何故喋る事が危険なんだろうか・・・


「どうしたんですか?」

「いやな・・・まだ開始間もないゲームで不具合が出た、しかも記憶障害なんてものが公表されたら・・・」

「ええ・・・このゲームは文字通り【終わり】よね」


2人は周りを気にしながら
小声でそう言う

「なるほど・・・」

僕はそう言うと
顎に手を当てて頷く

この【なるほど】は

彼らの言葉に対するものではなく
彼らの話しから推測するに

【ここはゲーム内】であることを把握したからである

(ここはゲーム内なのか・・・それが解っただけでも吉だ)

「それは解ったけどさ~」

チャラ男が
少し不満そうに言う

「Lv888って時点で運営だろコイツ。流石に不具合利用で最初から目立つとか自殺行為だしよ」


確かに最初からレベルをとんでもない数値に不具合利用で設定しても

目立ってしまい、すぐに運営に見つかり
アカウント削除などの処分を喰らうだろう

そうなれば逆に不具合利用する意味がなくなる


「確かにな・・・」

「その可能性が一番高いわね。何故EMがプレイヤーランキングに適応されてるかは謎だけど・・・」


また新しい言葉が出てきたな・・・

確かEMって
【イベントマスター】の略で

ゲーム内で色々なイベントや企画を立てる人だよな・・・

だけどRVSが導入されているゲームは、大体EMがゲーム内から不具合とかの対応したりしてるんだっけ・・・


そんな事を考えながら
僕が俯いていると

「ねぇ、聞いてる?」

女性が顔を近づけ
そう言いながら覗き込んでいた


「え、な、何ですか?」

考えている間に話し掛けられていたようだが、全く聞いていなかった・・・

近い女性の顔に
少しドキッとしながら顔を上げる


「だーかーら!とりあえず運営に報告しましょうって言ったの!」

女性は僕の腕をつかみ
腕の機械のボタンを押す

「起動」

押しながら女性はそう言う

ブゥン

今まで真っ黒だった画面は
白く光り、真ん中には

《ロード中》

と表示されていた


「ほら、後はミニメール機能で不具合報告から連絡して」

「あ、うん」

僕は言われるままに
ミニメールから運営宛てに

記憶障害の旨を書き込み
送信ボタンを押した


《送信中》

《エラー》

「あ、あれ?」


エラーが出た為、何度か送信ボタンを押してみるが


《エラー》

うまくいかないようだった


「サーバーが不安定なのかもしれないな」

「仕方ないからシステムビルに行ってみる?」


システムビルとは
EMやそれをサポートする運営チームの社員が拠点とする建物らしく

話によると
すぐ近くにあるらしい


「そうですね・・・行きましょう」


僕は言われるがまま、3人と共にシステムビルへ向かった



~2章完~




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